環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

遺伝子組み換え食品最大輸入国日本

2007年02月26日 | 食生活等
最近、『遺伝子組み換え技術』、『遺伝子組み換え作物』、『遺伝子組み換え食品』などのことばを聞いたり見たりすることが多くなりました。
日本は遺伝子組み換え食品の最大輸入国でありながら、その正確な内容や安全性については知らない人も多いのではないかと思います。また、遺伝子組み換え技術の開発の目的についても、必ずしも「食糧不足」を解消するためのものではないということを認識している人も少ないのが現状ではないかと思います。

そこで、今回から数回にわたって、遺伝子組み換え作物の現状や安全性、私たち消費者が日々心掛けるべきことなどについて書いていこうと思います。

【遺伝子組み換え作物について】
あらゆる動植物は細胞からできていますが、その中には、核・ミトコンドリア・葉緑体(植物のみ)などがあって細胞としての生命活動を営んでいます。細胞の核の中にはDNA(デオキシリボ核酸)があり、体を作り動かすのに必要なタンパク質などを作るための設計図ともいうべき遺伝子があります。

遺伝子組み換え技術とは、この特定のタンパク質に対応する遺伝子を取り出して改良しようとする生物の細胞に導入し、新しい形質(形状と性質)をつくる技術であり、この技術によってつくられたのが遺伝子組み換え作物(GMO:Genetically Modified Organisms)です。
現在、遺伝子組み換え作物として流通しているもので最も多いのが「除草剤に対して耐性を持つように設計されたもの」で、次いで多いのが「殺虫性をもつように設計されたもの」です。

【除草剤耐性遺伝子組み換え作物】
除草剤に対して耐性をもつ遺伝子組み換え作物HRCs(Herbicide Resistant Crops)の場合、使用する除草剤の種類と回数を減らすことができるので、農家にとってはコストの軽減というメリットがあるといわれています。実用化されている作物には、大豆、トウモロコシ、ナタネなどがあります。

除草剤耐性作物の例としては、除草剤ラウンドアップに抵抗力を持たせたものがあり、作物の種子も除草剤ラウンドアップもモンサント社が開発したものです。このように、除草剤耐性のある遺伝子組み換え作物は、これに適応する除草剤と一式で販売されるのが一般的です。

(ちなみに、ラウンドアップは世界中で最も買われている除草剤で、ラウンドアップ(有効成分グリホサートをベースとしたその他の除草剤を含む)の2006年度決算における売上高は226,200万ドルで前年比10%の伸びを示しています。)

【殺虫型遺伝子組み換え作物】
殺虫型の遺伝子組み換え作物には、その作物に対して害を及ぼす昆虫を殺す能力をもった物質を生産する「土壌菌Bt(Bacillus thuringiensis)」の遺伝子が組込まれています。作物自体に殺虫能力があるので、殺虫剤の使用量を減らすことが可能になりコストダウンにもつながるといわれています。実用化されている作物に、トウモロコシ、ワタ、ジャガイモなどがあります。



【遺伝子組み換え作物を開発した本当の目的】
遺伝子組み換え作物の開発を推進している企業などは、「遺伝子組み換え技術は食糧難の問題を解決し、地球環境問題にも貢献する。」と主張していますが、現実は、農薬関連企業が売上を増大するために開発した技術です。

農薬関連企業は、『農薬と除草剤耐性遺伝子組み換え作物の種苗をセットで販売』することで売上の増大が図れます。また、Bt作物は殺虫剤の使用量を減らすことで生産コストの低減ができても、種子の価格が高いのであまりメリットはありません。

さらに問題なのは、作物の品種だけでなく特別な遺伝子にも特許が認められるようになっていることです。このために、企業は特許の使用料でも収益が得られます。また、企業は農家と「自家採取の禁止、種子の保存禁止」という契約を結び、農家が毎年種子を購入しなければならない仕組みになっており、これに違反して高額の罰金を支払った農家もあります。

近年、自家採取・種子の保存ができなくなるターミネーター技術も開発され、米国やEU、カナダで許可されています。これは、農家が自家採取して種を撒いても発芽しないので、実質的に企業が種子を支配することで作物を支配することにつながります。

現在、このターミネーター技術よりも進んだトレーター技術も開発されており、採取した種子は開発した企業が販売している薬剤を使用しないと発芽しないように条件付けられています。米国では2005年5月に特許が承認されています。

このように、遺伝子組み換え作物の開発の目的は、開発企業の売上増大が本当の目的なのです。


次回から、遺伝子組み換え作物の安全性や日本の現状などについて紹介していく予定です。


関連記事
  1.遺伝子組み換え食品最大輸入国日本(2007.02.26)
  2.身近にある遺伝子組み換え食品(2007.03.05)
  3.遺伝子組み換え食品は安全か?(2007.03.11)
  4.遺伝子組み換え食品の安全性と対策(2007.03.17)



主な参考文献等
・「遺伝子組換え農作物を知るためにステップアップ編」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「バイテク小事典」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「レスター・ブラウンの環境革命」レスター・R・ブラウン編著、松野弘監修 朔北社
・「日経エコロジー2004年7月号」日経BP社
・「地球とからだに優しい生き方・暮らし方」 天笠啓祐 つげ書房新社
・「安田節子公式ウェブサイト」http://www.yasudasetsuko.com/


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