環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

世界的な水不足は日本の食料問題・経済問題と直結

2008年02月24日 | エネルギー・食料・資源
21世紀は水問題が極めて深刻になってくるといわれています。
世界的な水不足は、日本の食料問題や経済問題に直結するだけに、私たちの生活に大きな影響を与えることになります。

WHO(世界保健機関)によると、現在世界中で安全な水を飲めない人の数は11億人以上で、世界人口の約6分の1を占めています。また、トイレなどの適切な衛生施設を利用できない人は、26億人(世界人口の約4割)にものぼります。

水問題は日本とは無関係のように思われますが、近年、日本国内でも水不足が深刻になってきていますし、世界各地の水不足も日本に影響を与えています。そして、これらの水事情は、今後ますます深刻になっていくと予測されています。

【日本国内の水事情】
日本の年間降水量は約1,700ミリで、世界平均(約970ミリ)の約1.8倍もあります。しかしながら、各地で慢性的な渇水の問題が深刻になってきています。

徳島県の那珂川水系は年間降水量3,000ミリの多雨地域であるにもかかわらず、夏場の慢性的な渇水で、工業用水を大量に使う製紙会社など10社は、取水制限を余儀なくされています。この慢性的な渇水は、企業10社の機会損失(2005年78億円、2007年33億円)を招いており、日本製紙は今秋(2008年)、小松工場の閉鎖を決めています。

また、香川県の早明浦ダム(サメウラダム)では、2007年に数回にわたる取水制限を行い、2008年に入ってもダムの貯水率に注意しながら、いつでも取水制限を行えるように準備しています。
その他、岡山県の高梁川水系や広島・山口県境の小瀬川水系など、昨年は各地で渇水による取水制限が行われています。

最近の傾向としては、地球温暖化等の影響で気象パターンが変化し、同一地域で、多雨の年と少雨の年の差が大きいことがあげられます。
国土交通省水資源部の「水の循環と水資源」によると、全国51地点における平成14年の降水量の平均は1,408mmとなっていますが、その経年変化を見ると、昭和40年ごろから少雨の年が多くなっています。特に最近20~30年間は、少雨と多雨の開きが大きくなっています。

これは、渇水の起こる確率が高くなるとともに、多雨の年でも必要な時に十分な水が使えず、逆に災害のリスクが増えることを意味します。



【世界の水事情】
世界的に見ても、人口の急増や経済の発展により、各地で水不足や水質汚染が深刻になっています。
過去ブログ「中国の深刻な水質汚染と水不足」でも書いたように、中国では水質汚染と水不足が大きな問題となっており、これらを解消するための南水北調プロジェクトや三峡ダム建設が新たな問題を引き起こすことが懸念されています。

また、地球温暖化等の影響で気象パターンが変化し、洪水や旱魃が頻繁に起きています。今月(2008年2月)も、南米のエクアドルでは大洪水で5万人以上が被害を受け、同じく南米のチリでは逆に干ばつで深刻な水不足となっています。

複数の国を流れる国際河川流域では、すでに水資源をめぐる争いが始まっています。チグリス・ユーフラテス川流域のトルコ・シリア・イラクや、ヨルダン川流域のイスラエル・シリアなど、世界各地で水をめぐる地域紛争が起こっています。

「世界水会議」(注1)主催の第2回世界水フォーラム(2000年3月、オランダ)で採択された「世界水ビジョン」では、2025年までに40億人(注2)の人間が高い水ストレスがある国に住むことになると予想しています。「世界水ビジョン」では、水ストレスとは、『降雨のうち河川及び地下水系に入る水量に占める人間が取水する水量の割合』とされており、40%を超えると高い水ストレスの状態にあるとされています。

2025年の世界の人口は80億人超との予測がありますので、概ね世界中の2人に1人は高い水ストレスを受けることになります。グローバル経済のなかにあっては、当然のことながら日本も直接または間接的に大きな影響を被ることとなると思われます。

注1)世界水会議(WWC:World Water Council)は、1996年に、世界銀行や国連開発計画(UNDP)等の国際機関や水に関する国際学会等が参加して設立されたNGO
世界水フォーラムは、1997年から3年に1回行われ、次回は2009年(第5回)です。世界水フォーラムの動向は、経済産業省のサイト「(参考)世界水フォーラムの動向について」で確認できます。
注2)予測には複数のパターンがあり、当該数字は現在の政策が維持され、現在の傾向が将来に向けてそのまま延長されると仮定した場合のもの。


【世界的な水不足は日本の食料問題・経済問題と直結】
世界的な水不足は、日本国民の生活にも大きな影響をもたらします。
特に影響を受けるのは、食料問題です。

過去ブログ「日本も本当は水不足の国?」で書いたように、日本は大量の農産物を輸入することで、間接的に農産物や製品の生産に使用された水(バーチャルウォーター・仮想水)を輸入しています。この水の量は、日本国内における年間灌漑用水使用量590億m3(立方メートル)を上回り、約640億m3にものぼると推計されています。(東京大学生産技術研究所 沖 大幹准教授らのグループによる試算)

また、水不足は、前述の那珂川水系の企業に見るように、日本国内はもとより世界各地に進出している日本企業の経営にも大きな影響を与えることになります。


日本では、ミネラルウォーターの購入が日常化しながらも、いまだに心の奥底には「水と空気はタダ」という感覚があります。しかし、近い将来、確実に水問題は深刻になると思われます。
そして、この水問題は、温暖化等による気象パターンの変化だけでなく複数の要因が複雑に絡み合っているため、解決が容易ではありません。

私たちは、もっと水問題に関心を持ち、生活者の立場から少なくともできるところから、節水に努めることが大切です。



【主な参考文献】
・日経エコロジー 2008.03号 水資源国・日本の幻想
アジア・太平洋水フォーラム ポリシーブリーフ2007(仮訳暫定版)
・国土交通省 水の循環と水資源
・農林水産省 世界の水資源とわが国の農業用水について 平成14年9月30日
・経済産業省 (参考)世界水フォーラムの動向について


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賞味期限、消費期限、もったいない

2008年02月11日 | 食生活等
食品偽装問題等で、食の安全、安心が揺らいでいます。
食品を購入する際には多くの人が、これまで以上に、生産地や原材料、賞味期限などの表示を注意していることと思います。

しかし、表示の中には、信頼性に欠けるものや、見ても理解できないものなども含まれています。また、普段何気なく目にしているものでも、正しく理解していないものもあります。『消費期限』『賞味期限』についてもそうではないでしょうか?

『消費期限』や『賞味期限』は、『期限表示』と呼ばれ、すべての加工食品には、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)や食品衛生法に基づいて、どちらかが表示されています。(一部の食品を除く)
それぞれの意味は次のとおりです。

【賞味期限 Best-before】
おいしく食べることができる期限で、この期限を過ぎても、すぐに食べられないということではありません。
3ヶ月を超えるものは年月で表示し、3ヶ月以内のものは年月日で表示されます。

【消費期限 Use-by date】
表示の期限を過ぎたら食べない方がよいという期限で、年月日で表示されます。品質が劣化しやすい食品が該当します。
なお、弁当類に時間まで記載されているものがありますが、これは「弁当及びそうざいの衛生規範」に基づき、必要に応じて「時間」まで記載する必要があるとされていることによるものです。

注意することは、賞味期限、消費期限ともに開封前の期限が表示されており、一度開封した食品はこれらに該当しないので、消費者自らが判断して、表示期限にかかわらず早めに食べたほうがいいということです。

それでは、これらの表示期限は誰が設定しているのでしょうか?
期限の設定は、食品等の特性、品質変化の要因や原材料の衛生状態、製造・加工時の衛生管理の状態、保存状態等を考慮して、科学的、合理的に行う必要があるという理由から、その食品等について一番よく知っている食品等事業者が行うことになっています。

食品等事業者とは、
1.輸入食品等以外の食品等は、製造または加工を行う者(販売業者がこれらの者との合意等により、代わって表示をする場合は、その販売業者)
2.輸入食品等については輸入業者。

です。なお、一部の業界団体では、自主的に期限表示設定のためのガイドライン等が作成されています。

また、平成17年2月には、「食品期限表示のためのガイドライン(厚生労働省・農林水産省)」が出されていますが、食品の特性は各々異なることから、その名のとおり指針としての位置づけにとどまっています。
すなわち、賞味期限や消費期限の設定は、ほとんど食品等事業者の裁量に任されているというのが現状です。

私たち消費者は、期限表示の根拠には曖昧なものが多く、また食品の状態も保存方法で変わることを認識すべきでしょう。そして、少なくとも賞味期限と消費期限を混同しないで、たとえ賞味期限を過ぎていてもすぐに捨てずに、自身の五感(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる)を使って、確認する習慣をつけるべきでしょう。
こうすることが、自分の五官(目・耳・鼻・舌・皮膚)の機能を高め、「もったいない」というモノを大事にする意識にもつながるのではないかと思います。



【参考文献等】
農林水産省/JAS法および食品衛生法に基づく期限表示について
農林水産省/食品の期限表示について
食品の表示に関する共通Q&A
食品期限表示のためのガイドライン
いばらき食の安全情報 Web Site中の「弁当及びそうざいの衛生規範について」
・日経ビジネス2008年2月4日号 偽装の裏にあるもの


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資源争奪世界大戦と日本没落

2008年02月06日 | エネルギー・食料・資源
世界の流れが大きく変わろうとしています。しかし、日本はこの流れにうまく乗れずに(気づかずに)、近い将来、取り返しのつかない大きな痛手を被ることになるのではないでしょうか?


「ミスター円」と呼ばれ、大蔵省国際金融局長、同財務官などを歴任した榊原英資氏は、著書『日本は没落する』の中で、次のような内容のことを書いています。


・先進諸国は、経済的な成熟と金融技術の発達で金余りの状態であり、この資金が世界中を駆け回っている。

・中国やインドなどの新興市場の発展で、アジアの市場が欧米の経済圏を上回る時代が到来しつつある。

・一方、日本は技術力を失いつつある。日本が生き残るためには、知的エリートの養成と現場職人の技術力向上が必要である。

・日本の企業は他の先進国と比べて、まだ依然として欧米市場を中心とした戦略に重心を置いており、発展するBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に対する戦略がない。

・中国やインドには国家としての明確な戦略があるのに、
日本の政治には国家としての長期戦略を描く力がなくなってしまった。(エネルギー問題、食糧資源問題、環境対策など)

・官も民も、お金さえ出せば石油も食糧も手に入ると考え、危機感が希薄である。



日本は没落する―国家戦略なき日本の危うい現実、没落の近未来。この混迷は始まりでしかない
日本は没落する
榊原 英資
朝日新聞社

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この中で、特に問題なのは、日本の政治に中長期的な戦略がないということではないでしょうか。これは、現在の政治の仕組みが基本的に地域利益誘導型であり、いくら中長期的な国家戦略を唱えても、最終的に選挙区の利益につながらなければ、政治家としての存続が難しいという問題があるからでしょう。このような環境の中では、短視眼的な対応にならざるを得ないのかもしれません。

また、石油も食糧もお金さえ出せば手に入るという危機感の無さも問題です。今、世界のあちこちで石油や鉱物などの資源を巡って争いが起こっているのです。これらの現状は、NHKのニューヨーク支局長やワシントン支局長を歴任(現在ハーバード大学タウブマン・センター諮問委員)された日高義樹氏の著書『資源世界大戦が始まった―2015年日本の国家戦略』に詳しく書かれています。


資源世界大戦が始まった―2015年日本の国家戦略
資源世界大戦が始まった―2015年日本の国家戦略
日高 義樹
ダイヤモンド社

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日高氏はこの本の中で、地球温暖化で北極海の氷が解け始めたことで、ロシア、米国、デンマーク、カナダ、ノルウェーなどの国々の間で、石油などの海底資源の争奪が始まっているといいます。専門家の推定では、北極海の石油資源は、世界中の埋蔵量の5分の1にものぼるといわれています。
また、アフリカでは、部族紛争の続くスーダンをはじめ多くの国で石油が産出されるようになって、背後で米国や中国が争奪戦を繰り広げています。

一方、地球温暖化問題やエネルギー問題により、世界各地で原子力発電の計画が増えています。2005年12月現在、世界で439基の原子炉が稼動(日本原子力産業会議「世界の原子力発電開発の動向2005年次報告」)していますが、今後、50年間で2000以上の原子力発電が建設されるという予測もあるようです。

(国内及び海外の原子力発電の現状は、「日本の原子力」が参考になります。)


原子炉の数が増えるということは、重大事故発生のリスクが高まることを意味します。前出の日高氏は、原子炉を通常爆弾で攻撃すれば、核爆弾で攻撃するのと同様の効果を得ることになり、世界に新しい軍事状況が生まれつつあるといいます。


また、ロシアでは、プーチン政権下で石油資源の半分を国有化して、これを外交上の武器として強いロシアの復活再生を図ろうとしています。しかしながら、ロシア国家を運営しているのが自由経済を理解できないKGBをはじめとした共産主義者であり、この石油政策は失敗に終わるというのが専門家の一致した意見のようです。

さらに、米国防総省のシンクタンクは、地下資源の豊富な中央アジアが2015年にもロシアから独立し、ロシアは混乱に陥ると予測しています。この混乱を機に中国は、これらの国々をもともと中国の領土だったと主張して取りもどす行動に出ると予想されています。

米国は、サブプライムローン問題や新たな問題として浮かび上がってきたホームエクイティローン問題などで、経済の弱体化が進み、ドルがユーロに対し相対的に弱くなってきています。これまでの世界の基軸通貨としての役割は、急速に低下するものと思われます。

しかしながら、ユーロ圏の経済も磐石ではありません。スペインやアイルランド、ポルトガルなどでは、住宅バブルで経済状況悪化の兆候も出てきているようです。


世の中はますます混沌としてきており、至るところに危機の兆候が表れてきています。これらの危機に気づく感性と、それへの対策を自ら考え実行していく知恵と勇気が求められている時代だと思います。



【主な参考文献】
・日本は没落する 榊原英資著 朝日新聞社 2007.12.30 
・資源世界大戦が始まった 日高義樹著 ダイヤモンド社 2007.12.13
・日経ビジネス 2008.2.4号 米国を襲うもう1つの危機
・日経ビジネス 2008.2.4号 ユーロ、住宅バブル崩壊で売りも


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