環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

メタン発酵設備に見るバイオマスエネルギーの課題

2010年04月12日 | 環境問題
バイオマスエネルギーとは、生物資源を原料として得られる再生可能なエネルギーのことをいいます。
代表的な種類としては次のようなものがあります。

①木質系、農業・畜産・水産系の残さなどの乾燥系
②食品廃棄物、バガス(サトウキビの搾りかす)、家畜ふん尿、下水汚泥、生ゴミなどの湿潤系
③製糸工場の廃液、古紙、糖・でんぷん、廃食用油など

(日経エコロジー 環境経営事典2009 「バイオマスエネルギー」より)

農水省では、「バイオマスは、生物が光合成によって生成した有機物であり、バイオマスを燃焼すること等により放出される二酸化炭素は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素であることから、バイオマスは、ライフサイクルの中では大気中の二酸化炭素を増加させない。」(カーボンニュートラル)と説明しています。

そして、地球温暖化を防止し、持続的な循環型社会を構築するためには、バイオマスの利活用が重要だとしています。
しかし、日本ではこれらバイオマスエネルギーの利活用がなかなか進んでいないのが現状です。

前述の湿潤系のバイオマスについては、酸素を遮断して微生物分解させる嫌気発酵によってバイオガスエネルギーを取り出す方法があります。このバイオガスの成分はメタンガスが65%前後を占めるため、メタン発酵と呼ばれることもあります。(その他の成分はほとんどが二酸化炭素で、微量の硫化水素も含まれます。)

ヨーロッパでは、デンマークやドイツを中心に多くのメタン発酵設備が稼動していますが、日本ではまだ数が少ないのが現状です。


【ドイツの農家にある小型のメタン発酵施設】(以下4点とも筆者撮影)


【ドイツの農家にある小型のメタン発酵施設】


【ドイツの農家にある小型のメタン発酵施設】


【ドイツのコーンスターチ工場にある大型メタン発酵施設】

バイオマスの特徴や日本でメタン発酵が進まない理由には次のようなことが上げられます。
・バイオマスは、広く(広範囲)、薄く(少量ずつ)存在するために、収集コストがかかる。
・初期投資が高い。
・ドイツなどと比べ、バイオガス発電の買い取り価格が安いため、維持費とのバランスがとれない。
・ガスを取り出した後に残る消化液の利用が難しい。
(液体の肥料として使用するには、利用時期や量に応じた貯留設備、耕地面積が必要)

ヨーロッパでは、従来のバイオガスの発電利用から、最近ではガス精製によって純度の高いメタンガスを作り、都市ガス原料として使用するケースが増えつつあります。

日本では、現状特に、バイオマスの利活用に関する国の政策や法律が中途半端であり、たとえ設備ができても長期的に安定した稼動を維持することは困難です。このため、日本ではうまく稼動していない設備も少なくありません。

エネルギー資源の多くを輸入に頼る日本は、もっと国内に賦存するバイオマスのエネルギー利用を検討すべきです。



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中国の報道規制が日本の安全を脅かす

2010年04月07日 | 国際問題
中国政府のメディア規制が強まっています。
共産党中央宣伝部は、3月21日(2010年)に報道機関に対して、報道や独自の取材を禁じる通達を出しました。

朝日新聞(2010.3.25)によると、報道規制の対象とされているのは次の18分野で、通達は中国の主要な新聞、テレビ、ラジオ、インターネットニュース各社にファクスで送られています。

・人民元切り上げ問題
・官僚の腐敗
・高額な医療費
・食品安全問題・事件
・新疆ウイグル騒乱
・チベット騒乱
・貧富の格差
・戸籍制度改革
・食用油の価格高騰
・党幹部の人事予想
・大学の自治権拡大
・大学生の就職難
・四川大地震の学校倒壊問題や復興の遅れ
・山西省の不良ワクチン注射事件
・吉林省の製鉄所社長の殴殺事件
・重慶の警察と暴力団の癒着
・不動産価格の上昇と住宅難
・地価高騰をあおる不動産開発業者


これを見ると、元相場(元切り上げ)、食品や医薬品の安全、権力者の腐敗・汚職、物価上昇、格差社会(戸籍制度を含む)、雇用問題、社会保障問題、民族問題などであり、その多くが政府への不満につながるものです。

中国政府は、報道の規制だけでなく、米国が迫っている人民元の対ドルレート切り上げ問題などのように、メディアに対して、評論を書く場合は相手国の対応を批判する内容にするように半ば強制しています。

最近中国では、これまでの農民や少民族による散発的な暴動から、知識人を含めた組織的で大規模な政府体制への批判が増えつつあります。世界でもっともインターネット人口の多い中国では、国民の不満が一気に全国に拡大する恐れがあり、中国共産党・政府は一党独裁の安定を脅かしかねないと危機感を強めています。

今回の報道規制はこれまでにない大規模なものとなっていますが、今後は環境汚染や健康被害、水不足、食料不足等に至るまで規制が拡大する可能性が高いと考えられます。

中国では過去に、悪質な隠ぺいによって世界を恐怖に陥れた重症急性呼吸器症候群(SARS)があります。SARSは、2002年末に広東省で確認された新型の感染症ですが、中国政府はこの事実を3ヶ月も隠し、国内はもとより国外へもその情報を公開しませんでした。このため、瞬く間に感染症が世界に拡大し、人々を恐怖に陥れ、世界経済に打撃を与えることになったのです。

中国の報道規制でもっとも被害を被る国のひとつが、中国からの輸入依存度が高く、地理的にも東方に位置している日本であるといえます。
日本は中国の内憂外患の状況を他人事と捉えるのではなく、日本に深刻な影響をもたらす危険性がきわめて高い、あるいはもう既にかなりの被害を被っているということをもっと認識すべきです。
(現在共同で執筆中の本では、日本列島とそこに住む私たち日本人がいかに危険な環境下で生活しているかを具体的に紹介することとしています。)

【主な参考文献】
・「中国、18分野報道禁じる」(2010.3.25 朝日新聞)


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花粉症の原因と対策

2010年04月01日 | 暮らし全般
今や、国民の2割以上が花粉症患者といわれるほど、花粉症で悩まされる人が増えています。
厚生省によると、近年特に小児花粉症が増えているようです。


【花粉症を引き起こす原因】

花粉症の原因は、一般的にスギやヒノキなどの花粉に、生体の防御システムで免疫が過剰に反応して起きると考えられています。花粉症を起こす植物としては、他に、カモガヤなどのイネ科のもの、ブタクサやヨモギなどの雑草類、シラカバなどがあります。

花粉症を患う人が増えているのは、日本特有のスギの多くが樹齢30以上となって、飛散する花粉の量が増えていることが主な原因とされています。

しかしながら、花粉症の原因が完全に特定できたわけではなく、ディーゼルエンジンの排気ガスなどに含まれるPM2.5(直径2.5μm以下の微小粒子状物質)をはじめとした大気汚染物質や、化学合成物質、ハウスダストなど、免疫機能を弱めるさまざまなものも起因しているとの研究報告もあります。

生活が便利になった反面、もともと自然界に無かった化学物質や添加物などが増え、これらが花粉症患者の増加に拍車をかけているとも言えます。
多くの要因が複雑に絡みあっているとすれば、『花粉症』という名前そのものも的を得ていないのかもしれません。


【花粉症対策】

前述したように、花粉症の原因は、生体の防御システムである免疫機能が本来体にとって害を及ぼすものでない物質に過度に反応して起こるものです。
原因が完全に解明された訳ではないため根本的な治療方法が無く、もっぱら対処療法に頼っているの現状です。

基本的な対策を以下に列記します。

1.原因物質との接触を極力避ける。
免疫の過剰反応によって引き起こされる花粉症のアレルギー症状を抑えるためには、その原因となる物質との接触を極力避けることです。

マスクやメガネ、帽子の着用の他、うがい、洗顔も効果があります。
また、服装には、花粉が付着しにくいポリエステルなどがの化学繊維や綿などが適しています。

厚生労働省の「花粉症Q&A集」が参考になります。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/ippan-qa.html

2.薬物療法
いずれも、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどを抑えるための療法になります。
内服薬として抗ヒスタミン薬や、これと副腎皮質ホルモン剤を調合したものなどがあります。また、点鼻薬や点眼薬もあります。

下記サイトが参考になると思います。
花粉症の薬(薬の種類、効果、見分け方)
http://silver-tone.com/kafun/kafun_allergy.asp

3.手術、治療等
減感作遼療法
花粉に触れても、体がアレルギーを起こす物質(アレルゲン)として反応しなくなる(免疫寛容)ように、アレルゲンとなる物質を少量ずつ注射する方法です。ただ、この方法は、アレルギー反応を示さない程度の微量の注射となるため、2~3年かけ50~60回の皮下注射が必要です。

レーザー療法
鼻の粘膜を焼き切る方法ですが、鼻の上皮全部と下層の一部を損傷して、鼻の防衛機能が低下してしまいます。

鼻粘膜注射療法
現在注目されている療法で、腫れた鼻の粘膜に組織の収縮効果を持つ薬を1回注射することで、粘膜表面をほとんど傷つけずに炎症を抑えられるようです。同療法はアレジオ銀座クリニックで行われており、250例以上の治療実績があり、副作用もなく、有効率は100%とのとこです。
(参考:ZAKZAK スギ花粉症を引き金に起こるアレルギー連鎖「多重花粉症」2010.2.24

舌下減感作療法
現在臨床試験中の療法で、免疫寛容を目的として、花粉症のエキスをパンにしみ込ませて舌下に2分置いて、その後吐き出すというものです。自宅療法が可能で、5年後には保険の対象になる見込みです。
詳しくは、「gooヘルスケア:花粉症対策 舌下減感作療法に期待」を参照して下さい。

花粉症の主因はスギやヒノキなどの花粉だと言われていますが、さまざまな有害物質が増えている環境で人間の免疫機能が低下してきているのも事実であり、食べ物や日用品の選択にも注意が必要です。


【主な参考文献】
・「環境の科学 花粉症」(日経エコロジー 2010.04号)
・「花粉症Q&A集」(厚生労働省 ホームページ)


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