環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

技術開発が化石燃料の採掘・枯渇を促進

2008年09月24日 | 環境問題
エネルギー資源の不足や高騰が深刻になるにつれて、新たな燃料の創出に向けた技術開発が活発化しています。その中には、これまで「採算が合わないと。」とか「技術が伴わない。」などの理由で利用されていなかった化石燃料の採掘も含まれています。
そしてこれらの技術開発による新たな化石燃料の採掘が、環境破壊、温暖化ガスの増加、大気汚染、水質汚染、生物多様性の喪失に拍車をかけています。そのひとつがオイルサンドです。

オイルサンドとは、その名のとおり油を含んだ砂(砂岩層)で、カナダのアルバータ州で発見されたものが最も大きく、その量は石油埋蔵量の最も多いサウジアラビアに次ぐ世界第2位といわれています。オイルサンドの採算ラインは1バレル60ドル程度といわれていますが、技術開発によってさらに低コスト化を図る努力がなされています。近年の原油価格の高騰で、オイルサンドによる油の採算性が良くなり、生産量が増えてきています。

オイルサンドは地中や地表付近に存在し、採掘には原生林を切り開く必要があります。このため、森林破壊とそこに住む生物の多様性が失われています。また、EROEI(Energy Returned On Energy Invested、投入エネルギーと回収エネルギーの比)は、1:3で、原油の1:30と比べ採掘のエネルギー効率がかなり悪いのが現状です。
大量のエネルギーの使用に伴って、温暖化ガスが発生するほか、窒素酸化物(NOX)、硫黄酸化物(SOX)、浮遊粒子状物質(SPM)などによる大気汚染も問題です。さらに、採掘には大量の温水や蒸気を必要とし、これによって生じた大量の排水が水質汚染を引き起こすことも懸念されています。

排水については、日本企業の開発による超電導磁石を利用した排水処理技術で、その処理が短時間に低コストでできることが実証され、実用化が期待されています。このように、新たな技術が開発されることで、これまであまり見向きもされなかった化石燃料の採掘が進み、地球温暖化や環境破壊、環境汚染が加速することが危惧されます。

オイルサンドの他にも、次のように技術開発による化石燃料の採掘が進んでいます。

[二酸化炭素回収技術による石油の増産]
火力発電所などから排出される二酸化炭素(CO2)を、高い純度で回収する技術が日本の企業で開発されたことにより、このCO2を油田に注入して原油の流動性を活発化し増産することが可能になりました。現在、実用化に向けてプロジェクトが進行中です。

[ハイドレート技術による天然ガス油田採掘の効率化]
天然ガスは運搬時の効率化を図るため、マイナス162℃で約600分の1に圧縮して液化天然ガス(LNG)にしていますが、この設備コストは高価で、圧縮時には多くのエネルギーも必要とします。このため、水分子の籠構造の中に可燃性ガスの分子を閉じ込めるハイドレートという技術を用いて天然ガスハイドレート(NGH)にする実用化研究が日本の企業で進められています。これが実用化されると、これまで採算が合わなかった中小の油田でも採掘が可能になります。

天然ガスは世界中に広く存在し、石油や石炭などの他の化石燃料と比べて燃焼時のCO2発生量は少ないといわれていますが、それでも石炭の約60%、石油の約75%のCO2が発生します。(窒素酸化物は石炭の20~40%、硫黄酸化物は0)


資源エネルギー庁の公表している「日本のエネルギー2008」によると、2005年度の日本の一次エネルギー自給率は6%足らず(水力2.9%:、新エネルギー・地熱等:2.8%)で、原子力を入れても約17%です。このため、エネルギー資源に乏しい日本は、新たな技術を開発して資源国と提携することで、必要なエネルギーを確保することは確かに必要です。

しかし、技術開発による化石燃料の採掘は、資源の枯渇と環境破壊を促進します。その意味では、化石燃料に頼らない新しいエネルギーの創出が必要ですが、最も大切なのは、エネルギー節約の心掛けと更なる省エネ技術の開発でしょう。

一方で、グローバル化した経済の中では、気の遠くなるような永い年月をかけてできた化石燃料を今後の人類のために残して置くよりも、今を生きる人類のために極限まで採掘しようという方向へ進んでいくような気がしてなりません。



【参考文献等】
・「オイルサンド開発のサンコア社 新技術で環境負荷を大幅に改善」日経BP社 日経エコロジー 2007年11月号
・「急拡大するオイルサンド開発 温暖化や環境破壊の元凶に」日経BP社 日経エコロジー 2007年11月号
・「資源創造 日本の技術が枯渇に挑む」日経BP社 日経ビジネス 2008年9月8日号


(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)



電子書籍「環境と体にやさしい生き方」の無償配布中!!
1人でも多くの人に、読んでいただきたいとの思いから、電子書籍「環境と体にやさしい生き方」を無償配布中です。よろしければ、家族、友人、知人へご紹介ください。
下記の書籍表紙をクリックすれば、228ページのPDFの書籍がお読みいただけます。

書籍名:<環境と体にやさしい生き方(平成20 年10 月19 日 発行)
副 題:自分自身愛する人、そして人類地球未来のために、、知っておきたいこと

PDF、916KB(228ページ)


(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)

【gooブログ投稿記事一覧】
gooブログ投稿記事一覧(http://www1.bbiq.jp/ecoecoweb/gooblog.html)のサイトを作成しました。
ここから関連のある記事にアクセスしやすくなりました。
カテゴリー:[環境問題全般]・[地球温暖化]・[水質汚染・水不足]・[大気汚染]・[食料・エネルギー・資源]・[暮らし全般]・[食生活全般]・[食品添加物・化学物質]・[遺伝子組み換え作物・食品]・[電磁波]・[病気・アレルギー・薬]・[心の健康](今後、追加や変更の可能性があります。)


下記のサイトもご覧ください。

・ホームページ「環境と体にやさしい生き方」
おすすめの環境・健康商品や本などの紹介も行っています。


・姉妹ブログ「環境とからだにやさしい生活」

製品偽装より怖い原料偽装(汚染米ビジネス)

2008年09月11日 | 食生活等
三笠フーズ(大阪市)による事故米の不正転売は、多くの企業、消費者に影響を与えています。この事件は、三笠フーズが基準値を超えた農薬やカビ毒が検出された事故米を、工業用のりなどの原料として安い価格で購入しながら、食用として不正転売したというものです。

9月10日(2008年)現在で判明している「三笠フーズによる事故米穀横流しの流通経路」は、農林水産省のサイトで確認できます。
三笠フーズによる事故米穀横流しの流通経路(農林水産省)

これをみると、三笠フーズは政府や商社、福岡県内の米穀販売業者から800トンの事故米を購入しています。三笠フーズが不正転売した業者のうち早い段階で公表されたのは、鹿児島県や熊本県内の酒造業者ですが、これは、直接または仲介業者1社を介しての販売で業者の特定が容易だったことが大きな理由です。
これに対して、菓子製造業者や食材卸業者が購入した分については、流通過程で多くの業者が介在しており、その特定や解明に時間を要しています。

今回の汚染米ビジネスが、これまでの「うなぎの産地偽装」や「食肉の産地偽装」などの食品偽装と異なるのは、食品原料の段階で不正が行われたということです。このように、食品製造のスタート地点である原料の段階で不正が行われると、その影響はかなり広範囲に及ぶこととなります。また、流通経路や加工段階が増えれば増えるほど、その原因の特定は難しくなります。

農林水産省は、今回の事故米の不正転売事件に伴って、同様の事故米を購入した業者を対象として、全国一斉点検を行っています。
対象事業者全国一斉点検対象事業者

この一斉点検で農水省は、新たに愛知県内の2社が国との契約で定められた使用目的(工業用のり原料)以外に使用していたことを確認したとして公表しています。今後の調査でその詳細が明らかになることと思います。
事故米穀の全国一斉点検における確認状況について

この際、農水省は徹底的な調査を行ってほしいと思います。これまでの同省の立ち入り検査は、検査日を事前に連絡する方法で行われており、これでは不正を行っている業者に隠蔽工作の時間的猶予を与えているようなものです。

食の安全、安心を第一に一生懸命に努力している業者がいる一方で、残念なことに、「稼ぐが勝ち」的な発想の経営者が少なからずいるのが現実です。今回の汚染米を焼酎原料に使用した焼酎業者の中には、より品質のよい米を手に入れるために従来の原料よりも高くで購入した結果、被害者となったところもあります。悪徳業者は、取引先も消費者も欺いていたということになります。

食の安全・安心を考えた場合、そのおおもととなる食品素材(原料)そのものの安全性がもっとも重要視されます。そのため、食品偽装とは異なりますが、安全性に疑問を残しながらも海外での生産や国内への輸入が急増している「遺伝子組み換え作物」についても、もっと議論されるべきではないかと思います。(「遺伝子組み換え作物・食品」については、過去ブログをご覧ください。)



【主な参考文献等】
・三笠フーズによる事故米穀横流しの流通経路
・対象事業者全国一斉点検対象事業者
・事故米穀の全国一斉点検における確認状況について


(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)


電子書籍「環境と体にやさしい生き方」の無償配布中!!
1人でも多くの人に、読んでいただきたいとの思いから、電子書籍「環境と体にやさしい生き方」を無償配布中です。よろしければ、家族、友人、知人へご紹介ください。
下記の書籍表紙をクリックすれば、228ページのPDFの書籍がお読みいただけます。

書籍名:<環境と体にやさしい生き方(平成20 年10 月19 日 発行)
副 題:自分自身愛する人、そして人類地球未来のために、、知っておきたいこと

PDF、916KB(228ページ)


(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)


【gooブログ投稿記事一覧】
gooブログ投稿記事一覧(http://www1.bbiq.jp/ecoecoweb/gooblog.html)のサイトを作成しました。
ここから関連のある記事にアクセスしやすくなりました。
カテゴリー:[環境問題全般]・[地球温暖化]・[水質汚染・水不足]・[大気汚染]・[食料・エネルギー・資源]・[暮らし全般]・[食生活全般]・[食品添加物・化学物質]・[遺伝子組み換え作物・食品]・[電磁波]・[病気・アレルギー・薬]・[心の健康](今後、追加や変更の可能性があります。)


下記のサイトもご覧ください。

・ホームページ「環境と体にやさしい生き方」
おすすめの環境・健康商品や本などの紹介も行っています。


・姉妹ブログ「環境とからだにやさしい生活」

難病(特定疾患)と難治性疾患克服研究事業

2008年09月03日 | 病気・アレルギー
医学が進歩しているにもかかわらず、人間やペットの原因不明の難病が増えています。これは、生活が便利になった反面、化学物質の増加や食生活習慣の変化等で、免疫系のバランスが崩れていることにも原因があるようです。
(財)難病医学研究財団では、難病情報センター事業としてホームページ上で関連情報の提供等を行っています。

[難病とは](参考:難病情報センター ホームページ
「難病」は、医学的に定義された病気の名称ではなく、治療がむずかしく、慢性の経過をたどるいわゆる「不治の病」に対して社会通念として用いられてきた言葉です。難病であるか否かは、その時代の医療水準や社会事情によって変化します。

昭和47年に、厚生省(現厚生労働省)は難病対策要綱で、難病対策として取り上げるべき疾病の範囲を次のように定めています。

(1) 原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病(例:ベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス)
(2) 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病(例:小児がん、小児慢性腎炎、ネフローゼ、小児ぜんそく、進行性筋ジストロフィー、腎不全(人工透析対象者)、小児異常行動、重症心身障害児)

そして対策の進め方として、「調査研究の推進」、「 医療施設の整備」、「医療費の自己負担の解消」の三点を柱として考えています。(ただし、すでに別個の対策の体系が存するものについては、この対策から除外)

[特定疾患とは](参考:難病情報センター ホームページ)
「特定疾病」とは、難病のうち、原因不明が不明で治療が極めて困難であり、病状が慢性化し、後遺症が残って社会復帰が極度に困難か不可能であり、医療費や介護等の負担が大きく、また症例が少ないために全国的規模での研究が必要な疾病のことをいいます。
2008年9月現在、特定疾患には123疾患があり、そのうち45疾患が医療費の公費負担助成対象となっています。

特定疾患(123疾患:難治性疾患克服研究事業対象疾患)一覧

医療費が公費負担助成の対象疾患(45疾患:特定疾患治療研究事業対象疾患)


[特定疾患に指定されない化学物質過敏症]
特定疾患に指定される疾患は年々増えていますが、最近増えている化学物質過敏症については、いまだに指定されていません。化学物質過敏症とは、過去にかなり大量の化学物質の暴露を一度受けた後、あるいは長期にわたって少量の化学物質の暴露を受けた後に、きわめて微量の同種または同系統の化学物質に対して現れることのある免疫反応のような症状です。

化学物質過敏症を発症した人の中には、内装材や洗濯物、隣家から入ってくる空気などに含まれる微量の化学物質の影響で家の中に住めずに改装した車中に寝泊りしたり、公共交通機関の中や病院内の化学物質に反応して通院さえもできない人がいます。

化学物質過敏症については、過去ブログも参照してください。
→過去ブログ「化学物質過敏症」

また、原因不明で全身や特定の部分が痛む線維筋痛症に悩む人は、200万人に上るとも言われていますが、これも特定疾病に指定されていません。

厚生労働省は2009年度から、研究費を助成する難病を研究者からの公募で選ぶ方針のようです。一般的に公募による研究とは、研究者自らが、研究対象の疾病を決めて行うもので、研究の性格から、これまでにある程度のデータの集積や知見が得られていることが前提条件になるのではないかと思います。その場合、発症者が多くても、研究の俎上に上らない難病が出てくる可能性があります。

疫学的調査等に基づいて、原因不明で疾病者数の多い難病については、その研究を促進するために国が研究する疾病を指定して、指定公募や応募による研究事業も進める必要があると思います。



【主な参考文献等】
・「化学物質過敏」手つかず(医療ルネサンス 変わる難病対策)、読売新聞 2008.8.29
難病情報センター ホームページ


(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)


電子書籍「環境と体にやさしい生き方」の無償配布中!!
1人でも多くの人に、読んでいただきたいとの思いから、電子書籍「環境と体にやさしい生き方」を無償配布中です。よろしければ、家族、友人、知人へご紹介ください。
下記の書籍表紙をクリックすれば、228ページのPDFの書籍がお読みいただけます。

書籍名:<環境と体にやさしい生き方(平成20 年10 月19 日 発行)
副 題:自分自身愛する人、そして人類地球未来のために、、知っておきたいこと

PDF、916KB(228ページ)


(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)


【gooブログ投稿記事一覧】
gooブログ投稿記事一覧(http://www1.bbiq.jp/ecoecoweb/gooblog.html)のサイトを作成しました。
ここから関連のある記事にアクセスしやすくなりました。
カテゴリー:[環境問題全般]・[地球温暖化]・[水質汚染・水不足]・[大気汚染]・[食料・エネルギー・資源]・[暮らし全般]・[食生活全般]・[食品添加物・化学物質]・[遺伝子組み換え作物・食品]・[電磁波]・[病気・アレルギー・薬]・[心の健康](今後、追加や変更の可能性があります。)


下記のサイトもご覧ください。

・ホームページ「環境と体にやさしい生き方」
おすすめの環境・健康商品や本などの紹介も行っています。


・姉妹ブログ「環境とからだにやさしい生活」