石油資源についてはいろいろと話題に上がりますが、石炭についてマスコミ等で取り上げられることはあまりありません。このため、日本は石炭の最大輸入国だと認識している人は、少ないのではないかと思います。
この石炭の価格が、2007年以降、急騰しています。
日本では、一般に、無煙炭、瀝青炭(れきせいたん)、亜瀝青炭、褐炭を総称して石炭と呼んでいます。また、用途別では、原料炭(主に製鉄の原料)と一般炭(主に発電用)に分類しています。
石炭は石油や天然ガスと比べて世界的に広く存在し、可採年数が長いのが特徴です。2004年末の可採埋蔵量を2004年の生産量で割った可採年数は164年(BP統計2005年版)といわれています。
【世界の石炭生産量と消費量】
2004年の世界の石炭生産量は前年対比7.5%増の55億800万トンで、このうち84%の46.29億トンが褐炭以外の石炭です。主な生産国は、①中国(19.56億トン)、②米国(10.08億トン)、③インド(4.03億トン)、④豪州(3.55億トン)、⑤ロシア(2.80億トン)、⑥南アフリカ(2.38億トン)となっています。(エネルギー白書2006版)
一方、消費量は55億3,500万トンで、このうち84%の46.46億トンが褐炭以外の石炭です。主な消費国は、①中国(18.88億トン)、②米国(10.06億トン)、③インド(4.03億トン)、④ドイツ(2.50億トン)、⑤ロシア(2.37億トン)、⑥日本(1.83億トン)、⑦南アフリカ(1.73億トン)となっています。(エネルギー白書2006版より計算)
なお、日本で消費する石炭はほとんどすべて褐炭以外のものであり、褐炭を除く石炭の消費量では、日本はインドに続き世界第4位です。
また、世界の電力用燃料として使われているものの4割は石炭です。
【世界の石炭の貿易量】
世界の石炭生産量と消費量の比較からもわかるように、主な生産国はそのほとんどを国内で消費するため、2004年の石炭の輸出量(褐炭を除く)は、生産量の16%(約7.55億トンに)すぎません。このうち、主な輸出国は、①豪州(世界の輸出量の28.9%)、②インドネシア(同14.2%)、③中国(同11.5%)、④南アフリカ、⑤ロシア、⑥コロンビア、⑦アメリカで、これら7カ国で輸出量の約85%を占めています。
一方、最大の輸入国は日本であり、世界の石炭貿易量(褐炭を除く)の約4分の1を輸入しています。日本が輸入している主な国は、豪州(57%)、中国(16%)、インドネシア(14%)です。(2004年実績)
また、日本国内における石炭の生産量は、北海道の釧路コールマイン株式会社が釧路炭鉱で採掘している年間70万トン程度のみです。
そして、日本では一次エネルギーの約21%(2004年実績)を石炭に依存しているのです。
【石炭需給の現状と見通し】
IEA(国際エネルギー機関)では、石炭の需要は今後、アジア地域、とりわけ中国とインドの伸びが大きいと見ています。
「THE WALL STREET JOURNAL」によると、2007年の中国の石炭消費量は、世界の消費量の4分の1を占め、すでに、2007年上半期に石炭の輸入量が輸出量を上回っています。
また、石炭需給のひっ迫には、次のような要因もあります。
・石炭の品質の良さで知られるオーストラリアで、本年(2008年)1月の豪雨による主要鉱山の冠水で輸出が激減
・南アフリカ共和国で石炭需要が拡大し、輸出量が減少。
・日本では、昨年(2007年)の中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原子力発電所が停止して、火力発電用の石炭需要が増加。
・インドの石炭輸入量の増加。石炭火力発電所の大規模計画に着手。
・インドネシアで輸出から国内向けに大幅に転換
・米国でも多くの石炭火力発電所を建設中。
これらの要因の相乗・相加作用で、アジアの一般炭の基準相場は、2007年はじめの1トン当り50ドル程度が、2008年2月11日には、125ドルまで倍以上に上昇しています。(注:価格は、オーストラリア・ニューカッスル港積みの一般炭)
今後、石炭の生産量は増えていくと思われますが、需要増加が著しいため価格は高止まりすると推測されます。また、石炭火力発電は、地球温暖化に起因する二酸化炭素の排出量が最も多い発電方法であり、環境面からの問題も深刻になると考えられます。
【主な参考文献】
・資源エネルギー庁 エネルギー白書2007年版、2006年版
・日経ビジネス 2008年3月3日号 世界鳥瞰
THE WALL STREET JOURNAL 中国が火をつけた石炭高騰
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石炭は石油や天然ガスと比べて世界的に広く存在し、可採年数が長いのが特徴です。2004年末の可採埋蔵量を2004年の生産量で割った可採年数は164年(BP統計2005年版)といわれています。
【世界の石炭生産量と消費量】
2004年の世界の石炭生産量は前年対比7.5%増の55億800万トンで、このうち84%の46.29億トンが褐炭以外の石炭です。主な生産国は、①中国(19.56億トン)、②米国(10.08億トン)、③インド(4.03億トン)、④豪州(3.55億トン)、⑤ロシア(2.80億トン)、⑥南アフリカ(2.38億トン)となっています。(エネルギー白書2006版)
一方、消費量は55億3,500万トンで、このうち84%の46.46億トンが褐炭以外の石炭です。主な消費国は、①中国(18.88億トン)、②米国(10.06億トン)、③インド(4.03億トン)、④ドイツ(2.50億トン)、⑤ロシア(2.37億トン)、⑥日本(1.83億トン)、⑦南アフリカ(1.73億トン)となっています。(エネルギー白書2006版より計算)
なお、日本で消費する石炭はほとんどすべて褐炭以外のものであり、褐炭を除く石炭の消費量では、日本はインドに続き世界第4位です。
また、世界の電力用燃料として使われているものの4割は石炭です。
【世界の石炭の貿易量】
世界の石炭生産量と消費量の比較からもわかるように、主な生産国はそのほとんどを国内で消費するため、2004年の石炭の輸出量(褐炭を除く)は、生産量の16%(約7.55億トンに)すぎません。このうち、主な輸出国は、①豪州(世界の輸出量の28.9%)、②インドネシア(同14.2%)、③中国(同11.5%)、④南アフリカ、⑤ロシア、⑥コロンビア、⑦アメリカで、これら7カ国で輸出量の約85%を占めています。
一方、最大の輸入国は日本であり、世界の石炭貿易量(褐炭を除く)の約4分の1を輸入しています。日本が輸入している主な国は、豪州(57%)、中国(16%)、インドネシア(14%)です。(2004年実績)
また、日本国内における石炭の生産量は、北海道の釧路コールマイン株式会社が釧路炭鉱で採掘している年間70万トン程度のみです。
そして、日本では一次エネルギーの約21%(2004年実績)を石炭に依存しているのです。
【石炭需給の現状と見通し】
IEA(国際エネルギー機関)では、石炭の需要は今後、アジア地域、とりわけ中国とインドの伸びが大きいと見ています。
「THE WALL STREET JOURNAL」によると、2007年の中国の石炭消費量は、世界の消費量の4分の1を占め、すでに、2007年上半期に石炭の輸入量が輸出量を上回っています。
また、石炭需給のひっ迫には、次のような要因もあります。
・石炭の品質の良さで知られるオーストラリアで、本年(2008年)1月の豪雨による主要鉱山の冠水で輸出が激減
・南アフリカ共和国で石炭需要が拡大し、輸出量が減少。
・日本では、昨年(2007年)の中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原子力発電所が停止して、火力発電用の石炭需要が増加。
・インドの石炭輸入量の増加。石炭火力発電所の大規模計画に着手。
・インドネシアで輸出から国内向けに大幅に転換
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これらの要因の相乗・相加作用で、アジアの一般炭の基準相場は、2007年はじめの1トン当り50ドル程度が、2008年2月11日には、125ドルまで倍以上に上昇しています。(注:価格は、オーストラリア・ニューカッスル港積みの一般炭)
今後、石炭の生産量は増えていくと思われますが、需要増加が著しいため価格は高止まりすると推測されます。また、石炭火力発電は、地球温暖化に起因する二酸化炭素の排出量が最も多い発電方法であり、環境面からの問題も深刻になると考えられます。
【主な参考文献】
・資源エネルギー庁 エネルギー白書2007年版、2006年版
・日経ビジネス 2008年3月3日号 世界鳥瞰
THE WALL STREET JOURNAL 中国が火をつけた石炭高騰
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