環境と体にやさしい生き方
環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。




遺伝子組み換え作物・食品の流通がはじまって10年が経過し、現在ではいたるところに組み換え食品が出回っていますが、多くの実験結果や事件などからこれらの安全性に関する評価はまだまだ不十分なのが現状です。今回は少々ボリュームがありますが、安全性に関する問題と対策について紹介します。

遺伝子組み換え食品に関する事件は過去にいろいろと起こっており、また問題となる実験結果も多数報告されています。以下にそのいくつかを紹介します。

【L‐トリプトファン事件】
1988年から89年に米国で、昭和電工製造の必須アミノ酸のサプリメント「L‐トリプトファン」を食べた人のうち38人が死亡した事件です。健康被害者は、米国を中心に6,000人にものぼるといわれており、日本でも被害者が出ています。
原因は、製造の過程で用いられた遺伝子組み換え微生物が予期しない2種類のタンパク質を作って、これがサプリメントに混入したものと見られています。

【遺伝子組み換え作物の花粉でチョウが死んだ】
1999年5月の「ネイチャー」誌に、コーネル大学のジョン・ロージー博士が発表した研究結果です。これによると、トウワタの葉についた殺虫型トウモロコシ(Btコーン)の花粉を食べたチョウ(オオカバマダラ)の幼虫が4日間で44%死に、残ったチョウも小さいものや活動不良のものが見られたということです。(オオカバマダラは、北米に生息して、その幼虫はトウワタだけに寄生します。)

同様の実験は、2000年にアイオワ州大学のオブリキ博士らも行なっており、実験室でBtコーンから一定の距離を置いて設置したトウワタに、オオカマダラの幼虫を寄生させてその生育状況を調べたところ、最初の2日間で20%が、さらにその後の3日間で37から70%が死亡したと発表しています。

【スターリンク事件】
アレルギー誘発の可能性があるBt毒素遺伝子(Cry9c)を含むBtコーン(スターリンク)が、日本では飼料、食品ともに使用が認可されていなかった(現在も未承認)にもかかわらず、2000年に家畜飼料や菓子用コーン粉から検出された事件です。
このスターリンクはアベンティス社(現バイエル・クロップサイエンス社)が開発したもので、消費者団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の調査で発覚しました。

米国でも人に対してはアレルギーを誘発する可能性があるとして、食品としての使用は禁止されていましたが、2000年9月にタコスの皮から検出されています。米国では、スターリンクの入った食品を食べて、数十人が病院に運ばれました。米国食品医薬品局(FDA)は、2000年11月に、スターリンクの混入に伴うリコールが300種ものトウモロコシ食品に及ぶと発表しています。なお、米国では動物試験で毒性上の問題は認められなかったため、飼料としては認可されています。
スターリンクは、その後も米国、カナダ、メキシコ、日本などで、コーン種子、ビール原料、ポップコーン、飼料などから検出されています。

事件の原因として、流通や加工段階での混入のほかに、非遺伝子組み換えコーンの畑にBtコーンが混ざってしまった可能性も指摘されています。


その他にも世界各地で多数報告されて枚挙に暇がありませんが、いくつかを列記します。

・米国の複数の農場でBtコーンを食べた母豚の出産頭数が激減しました。
・ドイツでBtコーンを食べた牛が変死しました。
・フランスで行なった実験で、遺伝子組み換えナタネの花の蜜を吸ったミツバチの寿命や嗅覚能力が半減しました。
・デンマークの国立リソ研究所ジョーゲンセン博士らによって、除草剤ナタネが雑草と交雑して除草剤耐性を持ち3世代先まで伝えたことが確認されました。(1996年ネイチャー)

・イギリスでロウェット研究所アパード・パズタイ博士が、遺伝子組み換えジャガイモをネズミに食べさせたところ、脳や臓器が小さかったり免疫力が低下した実験結果が得られました。(1998年)
・殺虫型遺伝子組み換え作物の根から毒素が染み出して土壌を汚染し、微生物やミミズが減少していることが報告されています。
・遺伝子組み換え作物に対して害虫や雑草が耐性を持つことで、逆に害虫の異常発生や雑草の繁殖を促すことにつながるという問題も指摘されています。



これらの事件や実験結果に対して、遺伝子組み換え技術推進派のなかには、管理方法や実験方法に不備があるなどと指摘して組み換え技術の安全性を強調している人もいます。
日本政府も遺伝子組み換え技術推進の立場から、遺伝子組み換え作物・食品は従来のものと同程度の安全性を有しているというのが基本的な考えです。

たとえば、殺虫効果のあるBtタンパク質遺伝子を導入したトウモロコシを、人間を含むほ乳類が食べた場合の安全性について、(社)農林水産先端技術産業振興センターのバイテク小事典では、次のように説明しています。
すなわち、胃の中は酸性なのでBtタンパク質は変性して消化酵素(ペプシン)により切断され、また、小腸内細胞には一致する受容体がなく、消化酵素(トリプシン)などによりアミノ酸にまで分解されるので安全上、問題はないという説明です。
しかしながら、タンパク質の15%程度は分解されずにそのまま吸収されるためアレルギーが起こると指摘している専門医もおり、安全上の評価が不十分です。

それではなぜ、このような事件や実験によって遺伝子組み換え技術の安全上の問題が指摘されているにもかかわらず、日本では「遺伝子組み換え作物・食品の安全性は、従来のものと同様である」として、導入に前向きなのでしょうか?

そのもっとも大きな原因は、EC諸国が食品をほぼ自給できているのに対して、日本の自給率は40%程度と低いことにあります。そして日本はこれらの主要穀物の多くを米国に頼っているのです。
これに対して、食品自給率の高いEC諸国では、一般的に遺伝子組み換え食品に対してはその安全性に懐疑的な国もあり、厳しい態度で臨んでいます。


このように安全性の評価が不十分な環境のなかでとるべき対策としては、下記のようなものが考えられます。


1.政府が中心となってすすめる対策
・主要な穀物である米や麦、豆類の自給を図る。
・家畜飼料についても輸入を減らして自給率向上を図る。
 (現在、農林水産省では食品残渣の飼料化などを推し進めようとしていますが安全衛生上や取扱い上の問題から、なかなか普及しないのが現状です。飼料作物栽培の推進などの、抜本的な施策が必要でしょう。)
・消費者のわかりやすい遺伝子組み換え表示制度に改める。


2.私たち消費者のとるべき対策
・地産地消を中心とした食生活をおくる。
・国産原料100%のものを選ぶ
(例:豆腐、納豆、醤油、味噌などは国産大豆100%使用のものを選ぶ。)
・清涼飲料水に使用されている異性化液糖には遺伝子組み換えトウモロコシが使用されている可能性があるので、購入を避ける。

・植物油は国産を選ぶか、遺伝子組み換え品としてまだ商品化されていないもの(ひまわり油、紅花油、ごま油、オリーブ油など)を選ぶ。
(注:大豆油、コーン油、なたね油、綿実油、醤油、異性化液糖などは、導入DNA及びそれによって生じたタンパク質が残存しないという理由で、遺伝子組み換えの表示が不要ですので、無表示の場合は遺伝子組み換え作物由来かどうかわかりません。)
・輸入品でも遺伝子組み換え作物でないものを買う。
・飼料を海外に依存している食肉の消費を抑える。


そして、私たち一人ひとりが、安全性評価が不十分な現状では「遺伝子組み換え食品は食べない、買わない」態度をとることが、食の安全・安心に対する大きなうねりを起こして国を動かしていくことにつながると思います。


関連記事
  1.遺伝子組み換え食品最大輸入国日本(2007.02.26)
  2.身近にある遺伝子組み換え食品(2007.03.05)
  3.遺伝子組み換え食品は安全か?(2007.03.11)
  4.遺伝子組み換え食品の安全性と対策(2007.03.17)



【主な参考文献等】
・「遺伝子組換え農作物を知るためにステップアップ編」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「バイテク小事典」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「レスター・ブラウンの環境革命」レスター・R・ブラウン編著、松野弘監修 朔北社
・「日経エコロジー2004年7月号」日経BP社
・「地球とからだに優しい生き方・暮らし方」 天笠啓祐 つげ書房新社
・「安田節子公式ウェブサイト」http://www.yasudasetsuko.com/ 【遺伝子組み換え作物について】
・独立行政法人農業環境技術研究所ホームページhttp://www.niaes.affrc.go.jp/index.html


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