環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

危ない中国製品の今後のゆくえは?

2007年08月04日 | 食生活等
中国製品に対する安全性への不安が高まって、輸入国では規制措置をとる動きが活発になってきています。これに対して、中国政府もさまざまな手段を使って反撃に出ています。危ない中国製品の今後のゆくえはどうなるのでしょうか?

中国の総輸出高の約20%を占めている米国では、これまで中国製品のペットフードや歯磨き粉、風邪薬、タイヤ、オモチャ、魚介類などから有害物質が検出されています。(2007年1~4月の対米輸出:950億ドル)
これらの中国製品の安全性を巡る問題に対して、中国政府は当初、米国の対中貿易赤字が膨らんでいることへの過剰な反応だと抵抗していましたが、6月(2007年)になって対応に変化が表れてきています。

【中国国内における対応】
・2007年6月末、国家品質監督検査検疫総局は、調査の結果、中国製品の5分の1近くは国内の安全品質基準を満たしていないと報告しています。同時に当局の一斉調査で、180ヵ所の食品加工工場で重大な違法行為があったとして、工場閉鎖命令が出されています。

・新薬承認をめぐって約1億円相当のわいろを受け取っていた国家食品薬品監督管理局の前局長に、7月10日、死刑が執行されました。また、同管理局で薬品の認可を統括していた曹文庄も収賄罪で死刑の判決をうけています。

・国家品質監督検査検疫総局は、7月16日までに安全性に問題があったとして食品会社52社の食品の輸出を禁止し、企業名をウェブサイトで公表しました。(当該41社のうち日本向けに輸出していたのは15社)

・7月25日に、温家宝首相は、中国食品・製品の安全性確保のための総合対策として、「食品など製品の安全監督管理強化に関する国務院特別規定」案を審議して原則承認しました。(時事通信社) この案は、食品などの安全性を確保するためのメーカーの対応や地方当局の責任などについてまとめられています。


【輸出国に対する中国政府の対応】
・ワシントンでは中国外務省の人員を増やして、米国議会に対して中国製品への不安を抑えて、対米貿易黒字への対抗法案を阻止、または遅らせようとしています。

・6月28日、中国政府高官が米国記者数人との会合の際に、「昨年FDA(米食品医薬品局)が不合格にした中国産食品は全体の1%足らずで、中国が拒否した米国産食品の割合よりわずかに少なかった。」という内容の資料を配布しています。

・他国に比べ規模は小さいですが、米議会に対するロビー活動のため、法律事務所パットン・ボグズと月2万2000ドルの契約を結んでいます。

・米国の中国製品への規制に対して、中国政府は報復措置ともとれるような手段に出ています。例えば、中国輸出入食品安全局は米国産健康補助食品などを不合格にしています。


気になる中国製品の今後のゆくえ】
それでは、今後、中国製品の安全性は高まっていくのでしょうか?

アジア・ソサエティー米中関係ディレクターのオービル・シェル氏は、「中国流の資本主義はずっと無秩序な混乱状態にあった。中国の食品の約75%は、規制が難しい小さな無認可工場で作られている。」と言っています。
先日もテレビで、工場からのどす黒い廃液が流れ込むバナナ園で生産されているバナナを安全だといって販売する農家や、スッポンの重量を増やすために注射器で水を注入する業者などの取材レポートが報道されていましたが、これらは中小零細の企業や農家です。

また、中国では、贈収賄での立件が1979年の703件から、2000年~04年の5年間で1845万件に激増し、各々の賄賂の金額も高額になっています。特に特徴的なのは、高い地位にある官僚が贈収賄に関わるケースが多くなっていることです。
2000年には収賄を受けた官僚に死刑判決が下されていますが、その後も贈収賄事件は減るどころか増加の一途をたどっています。これらの収賄を受けた官僚の多くは海外へ逃亡しており、2004年末までの時点で、不正蓄財で海外逃亡した官僚は6,500人を超え、450億元が不正に持ち出されています。
(「中国という大難」から抜粋)
450億元は日本円で約7,000億円であり、中国の生活物価から考えると相当な金額です。

現在の中国は前述した状況にある上に、中国共産党一党独裁による情報の規制と統制で、腐敗の現状をメディアが自由に報道できないために抑止力となり得ず、また安全面に対する法的規制の遅れなどから、中国製品の安全性が早急に向上することはほとんど期待できません。

中国という大難

新潮社

このアイテムの詳細を見る



それでは日本政府は有害な中国製品を阻止するできるのでしょうか?

7月20日に官邸で「輸入品の安全確保に関する緊急官民合同会議」が開催されています。当会議には、厚生労働省、農林水産省、外務省などの関係省庁と日本冷凍食品協会や対日貿易投資交流促進協会など、中国製品の輸入・販売に関わる91団体が参加しています。
この会議は、中国製品だけを対象としたものではありませんが、今回、政府として中国に対して食品の安全に関する協議開催の申し入れの方針を打ち出しました。一方、国内の業界団体には輸入品の安全管理強化を要請しています。


輸入品の安全確保に関する緊急官民合同会議 配布資料
 ・資料1 輸入品に関する対応について
 ・資料2 政府の対応事例


この資料1の冒頭には、「我が国においては、海外からの輸入品については、これまでの安全対策により、現時点において問題事案が頻発する状況ではない。」と書かれています。しかし、果たしてそう言い切れるのでしょうか。日本の輸入食品の検査官は300人程度(米国の約10分の1)で、抜き取り検査ですので、問題が発見されていないケースも十分に考えられます。
また、中国による報復措置を考えると輸入品の規制にも限界があります。

製品を輸入・販売する企業は、安全性確保に向けて自ら検査結果のチェックを強化してきています。この傾向はますます強まるものと思われますが、安全性に100%はあり得ません。
安全性確保のためには、私たち消費者自身が複数の情報を参考に、個々の責任において商品を購入する以外ありません。また、安全性が確認されないものについては、極力避けるという意識も必要です。


※最後に
現在は大量に出回っている中国産について安全性の問題がクローズアップされていますが、
『12日付のニューヨーク・タイムズ(電子版)は、2006年に禁止薬剤などの検出などで米国への食品輸入が差し止められた回数は、中国産よりもドミニカ共和国やデンマーク産の方が多かったと報じた。』(2007年7月12日時事通信社)
という記事もあるように、グローバル経済の中では至るところに危険が潜んでいるのが現状です。


過去ブログ「中国製品にひそむ健康リスク」も合わせてご覧下さい。



【主な参考文献等】
・日経ビジネス 2007.7.16号 「メード・イン・チャイナ」が危ない
・日経ビジネス 2007.7.30号 「中国の工業化の悪夢」
・産経新聞WEB 2007.7.18 「反撃? 中国が米国肉を輸入禁止 貿易摩擦の様相」
・中国という大難 富坂聰著 新潮社 2007.4.25


【gooブログ投稿記事一覧】
gooブログ投稿記事一覧(http://www1.bbiq.jp/ecoecoweb/gooblog.html)のサイトを作成しました。
ここから関連のある記事にアクセスしやすくなりました。
カテゴリー:[環境問題全般]・[地球温暖化]・[水質汚染・水不足]・[大気汚染]・[食料・エネルギー・資源]・[暮らし全般]・[食生活全般]・[食品添加物・化学物質]・[遺伝子組み換え作物・食品]・[電磁波]・[病気・アレルギー・薬]・[心の健康](今後、追加や変更の可能性があります。)



(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)


下記のサイトもご覧ください。

・ホームページ「環境と体にやさしい生き方」
おすすめの環境・健康商品や本などの紹介も行っています。


・姉妹ブログ「環境とからだにやさしい生活」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。