環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

ただちに影響を及ぼすものではない・・・とは

2011年04月25日 | 環境問題
今回の東日本大震災に伴う原発事故で、大気・水・土壌・作物等の放射線量の測定結果について、次のような報道をよく耳にします。

・ただちに人体に影響を及ぼす数値ではない。
・ただちに健康に影響を及ぼす数値ではない
・すぐに健康に影響が出るものではない。


これらの表現はこれまで、野菜や加工食品等から規制値を上回る農薬等が検出された場合でもよく使われています。

これらの意味するところは、あくまでも、「問題のあるとされる対象物に触れたり体内に取り込んだ場合に、すぐに生命や健康に異常を来たすことはない。」ということです。
これは、裏を返せば、「中長期的な観点からは安全であると断定できない。」とも受け取れます。

報道する側としては、「いたずらに不安を煽ってはいけない。」という思いと、「事実を隠蔽してはならない。」という考えの間で悩んだ上での表現でしょう。

情報を受け取る私たち国民は、情報の裏に隠されているものは何かを自分なりにしっかり見極めることが必要です。
また、見極めるための情報が少なければ、自ら必要な情報を探す努力も必要です。
それでなければ、報道内容や風評に振り回されるだけになってしまいます。

前記の例で言えば、長期間蓄積した場合にどの程度の影響が出るかを、過去の事例等を参考に自ら判断することです。

一方、報道する側には、国民が判断するに必要な情報を適宜適切に公開していくことが求められます。



覇権大国中国が小日本を消す日―汚染された日本海と日本国土を廃棄せよ!
クリエーター情報なし
ごま書房新社



人気ブログランキング「健康・医療」へ
人気ブログランキングへ

(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)

天気予報が環境予報へ変わる時代

2011年04月21日 | 環境問題
東日本大震災では、大津波によって多くのものが海中に沈みました。漁業を再開するには、これらの除去も今後の大きな課題です。

また、福島第一原発事故で放射能に汚染された低濃度の水が海へ排出されたことで、風評被害が広がっています。
中国では、ネット上で「放射線で汚染された水産物を満載した6隻の日本漁船が中国にやって来る」というデマまで広がっています。
(中国でデマ広がる「日本の漁船、放射能汚染魚を満載して中国へ(2011.4.17サーチナ)」)

確かに、東日本大震災が環境に与える影響には注意していく必要があります。
正確な情報を集めて、適切な判断をしていくことが、各人に求められます。

しかし、環境問題は何も東日本大震災に限ったことではありません。
深刻な環境問題は世界の至るところで続き、徐々に蓄積して地球や人類、生物を蝕んでいます。

深刻な海洋汚染については、下記の過去ブログでも取り上げました。
魚の食品としての安全性(2007.10.17)

また、拙著「覇権大国中国が小日本を消す日」では、「黄砂被害と酸性雨」の関係や、途上国で不適切に処理されている「電子ゴミによる環境汚染」、「エチゼンクラゲ大量発生の原因」、「太平洋を漂う1億トンともいわれるゴミベルト」など、世界中で進行する深刻な環境問題を取り上げました。

お隣の韓国では、今でも大量の廃棄物を海に投棄しています。
投棄している廃棄物は、下水汚泥、畜産排水、生ゴミから出た液体、魚介類の食べかすなど、多岐にわたっています。その量は、1988年の55万トンから、2005年は993万トン、2007年は745万トンと20年足らずの間で10倍以上にも急増しています。

特に有害物質であるカドミウムや鉛、水銀、ヒ素や亜鉛などを含む下水汚泥は、その70%もの量を海洋に捨てているのが実態です。
また、2008年2月の朝鮮日報の報道によると、韓国政府は、東海(日本海)に設定した2カ所の「廃棄物海洋投棄区域」の一部が、日本の管轄下にある大陸棚と排他的経済水域(EEZ)を侵犯していたにもかかわらず、15年間も放置されたことが明らかになっています。これらの詳細についても、拙著にて紹介しています。

レイチェルカーソンは、半世紀ほど前に「沈黙の春」で農薬などの化学物質の恐怖を明らかにしました。
しかし現状は、その時以上に複雑で大量の環境阻害要因が地球を蝕んでいるのです。

沈黙の春 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


古来、人類は自然の恵みを受け、天候や天気を気にして暮らしてきました。
しかしこれからは、生き延びるために、「天気予報」ではなく「環境予報」が不可欠な時代となるのかもしれません。


覇権大国中国が小日本を消す日―汚染された日本海と日本国土を廃棄せよ!
クリエーター情報なし
ごま書房新社



人気ブログランキング「健康・医療」へ
人気ブログランキングへ

(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)

高齢化する原発と原子力政策

2011年04月04日 | エネルギー・食料・資源
約1年前の2010年3月16日に、「高齢化する原発、増加する原発」のタイトルでブログを書きました。下記に再掲します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1970年に日本で原子力発電の1号機(敦賀原発1号機、沸騰水型炉出力35.7万kw)が運転を開始してから、本年(2010年)3月14日で40年を迎えました。
日本では、今後10年間で18機の原発が40年を超えると言われています。

敦賀原発1号機は当初、本年末で廃炉とする予定だったにもかかわらず、代わりの3、4号機の許可や着工の遅れで2016年まで延長することとなったようです。
そしてその他の高齢化した原発も、50~60年の長期運転へ変更していく見通しです。
原発先進国の米国では、104基の原発のうち54基が今後10年間で40年を超えると言われ、60年までの運転延長をめざしています。

これらの動きは、先進諸国では原発の新設がなかなか地元住民の理解を得られないため、既設の延命化を図らざるを得ないといった差し迫った問題にも関係しています。
鳩山政権は3月12日に閣議決定した地球温暖化対策基本法案で、温室効果ガス削減のために原子力発電を推進する方針を明確にしていますが、新たな施設の建設には時間がかかることから、既設原発の高齢化は避けられないと思います。

しかし、原発のトラブルは、一歩間違えば取り返しのつかない惨事を引き起こします。
1986年4月26日未明にソ連(現在のウクライナ)で起こったチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故は、住民のパニックや機密漏えいを恐れた政府の対応の遅れで、その影響が広範囲に拡大し甚大な被害を受けました。

ソ連が公表したのは2日後の28日で、爆発後の火災は10日間も続きました。
原子力事故が発生したという初期情報が伝えられたのは、ソ連ではなくスウェーデンからでした。
チェルノブイリから約1100km離れた同国のフォシュマルク原子力発電所で、労働者の衣服に付着した放射性粒子の発生源を探る過程で明らかになったのです。

事故を起こした原子炉から大気中に放出された放射線量は、広島に投下された原子爆弾の100倍とも500倍ともいわれています。事故発生の7日後の5月3日には、日本でも雨水から事故の影響と思われる放射性物質が確認され、その後、アメリカのアラスカ州でも放射性降下物が観測されています。

この事故の影響で少なくとも1900万haが高濃度の放射線で汚染されたと考えられていますが、住民や事故の対応に当たった消防士・軍隊を含む労働者も、その危険性をほとんど知らされること無く大量の放射線を被爆しました。

05年9月には、7つの国連機関と世界銀行、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの政府関係者で作る「チェルノブイリフォーラム」が、事故による健康影響に関する報告書をまとめています。
報告書では、この事故に起因すると疑われる死者は、除外作業者などを除けばわずか50人で、最終的には4000人にとどまるとしています。(日経エコロジー2006.09)
事故との因果関係を明確にすることは困難ですが、実際にはもっと多くの人々の死因に関係し、今なお直接の被爆者の健康や新生児の出産に影響を及ぼしているとみられています。

一般的に機械や設備の故障は運転初期に多く発生し、その後安定するものの、老朽化すると再び増加します。時間をX軸、故障件数をY軸にとったグラフを描くと、ちょうど浴槽の輪郭に似ていることから、これをバスタブ曲線と呼ぶこともあります。


一方、新興国中国では今、原子力発電の建設が急ピッチで進められています。
チャイナネットによると、中国国家発展改革委員会は09年11月に、建設中の発電ユニットは24基で設備総容量は2540万kwに達し、建設中の原子力発電ユニットの規模は世界最大となったと発表しています。

現在中国で稼動している原子炉の設備容量は、総電力設備容量の1.3%程度ですが、20年までには約4倍の4000万kw程度まで高める計画を持っています。
原子力発電所の建設には、通常7年もの期間と多額の費用がかかり、稼動後は厳格な安全管理が要求されます。

しかしながら、中国ではこの期間の大幅な短縮を図ろうとしています。
中国では、東芝が子会社化したウエスチングハウスが沸騰水型軽水炉(PWR)4基を受注しましたが、近い将来、国産による原発の建設を目論んでいます。

共産党一党支配による中国では、世界最速の時速350kmで走る新幹線を猛スピードで建設しています。建設現場の指揮官は、「工事なんて、立ち退きから開通まで1年半しかかからない」(2010.3.7朝日新聞)と豪語しています。

原発もこの調子で建設が推進されると、安全面の不安は募ります。
これまで起きた中国由来の多くの事故にみるように、情報の隠ぺいが行われた場合、日本が被る被害はいっそう甚大なものになります。

エネルギー問題は世界的に深刻ですが、高齢化する原発、増加する原発のいずれも安全面の不安は増えており、新たなエネルギーの開発やさらなる省エネ化のための技術開発が求められます。


【主な参考文献】
・「チェルノブイリ原子力発電所事故」 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
・「惨劇から20年、止まらぬ被害 第2のチェルノブイリは防げるか?」 日経エコロジー 2006.09
・「原発漂流」 日経ビジネス 2010.1.18
・「「新幹線」建設、猛スピード」 朝日新聞 2010.3.7
・「原発40歳 高齢時代」 朝日新聞 2010.3.11
・「温暖化と原発 依存強めぬ長期戦略を」 朝日新聞 2010.3.13

(ここまで)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

また、この「環境と体にやさしい生き方」の第1回目のブログ「温暖化は既に引き返せる地点を越えてしまった」(2006.12.5)では、ガイア理論の創始者として有名なジェームズ・ラブロック氏がインディペンデント紙に発表した「今世紀が終わるまでに温暖化が原因で10億人以上が死ぬだろう。」という論文を紹介しました。

このブログでは、ラブロック氏が、「日本や英国、ドイツのような人口密度の高い大都市を抱える国では、今の文明水準を維持しようとすれば、自然エネルギーに頼るのは無理であり、原子力が唯一の選択肢である」と主張していることについても触れました。

しかし、今回の東日本大震災を契機に、多くの国で原子力発電の見直し論が活発化しています。
高齢化した原発をどうしていくかも、議論されていくものと思われます。

一方、温暖化等の影響で、台風や豪雨などの自然災害は大規模化しています。
世界は今、気候変動等による将来的な危険性を極小化しながら、安全なエネルギーを確保するという非常に難しい道を新しく切り開くことが求められています。

今後の原子力発電の見直し如何では、石油エネルギー資源のひっ迫、高騰で世界経済はますます混迷の度を深めていく恐れがあります。



人気ブログランキング「健康・医療」へ
人気ブログランキングへ

(ランキング参加中)
日記@BlogRanking
(よろしかったらクリックをお願いします。)