環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

環境問題に潜むウソ

2007年07月26日 | 暮らし全般
環境問題は複雑・多岐にわたっており、これに関連する各種のビジネスも増えています。しかし、その一方で、環境問題にはいろいろなウソもまかり通っているのが現状です。今、本当に重要な環境問題とは何なのでしょうか?


18世紀末の産業革命以降、人口の急激な増加と、これに伴う化石燃料や天然資源の大量使用で環境は大きく悪化しています。
(1800年:約10億人⇒2007年7月末予測:約66億人、2050年予測:約90億人
eco検定公式テキスト(東京商工会議所編著)によると、環境問題は次のように分類されています。

《環境問題》
 【典型7公害】
  ●大気汚染     ●振動
  ●水質汚濁     ●地盤沈下
  ●土壌汚染     ●悪臭
  ●騒音

 【9大地球環境問題】
  ●地球温暖化    ●砂漠化
  ●オゾン層破壊   ●海洋汚染
  ●酸性雨      ●有害化学物質の越境移動
  ●野生生物種の減少 ●開発途上国の環境問題
  ●森林の減少

そして、これらの環境問題に関わる施策やビジネスも増加の一途をたどっています。それは、とりもなおさず環境に関するビジネスで着実に収益が得られるようになってきたためです。


中部大学教授で、『リサイクル幻想』や『「リサイクル」してはいけない』などの著者である武田邦彦氏が、本年3月(2007.3)に『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)を発刊しました。武田氏は、いろいろな事例をあげて、私たちの身の回りには「環境活動」という大義名分の下、「環境問題のウソ」がまかり通っていると言います。そしてこれは、販売部数や視聴率を伸ばしたいマスコミや、国民の合意を形成して税金を投入しやすくする政府などの「故意の誤報」によるものだと指摘しています。

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks (024))
武田 邦彦
洋泉社

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本の内容は、個人的には極論にすぎると思われるものもありますが、確かにリサイクルしているという部分だけがクローズアップされて、それに費やされるコストや資源について科学的な分析がなされていないものも多いと思います。

武田氏は、事例のひとつにペットボトルのリサイクルをあげ、次のようなことを書いています。

・ペットボトルはリサイクルするということで気軽に使われるようになり、消費量の増加を加速させた。
 (2004年は1993年の約4倍、51万トン)
・ペットボトルは、作るよりもリサイクルする方が資源を7倍も使う。
・ペットボトルの販売量51万トン(2004年)に対し、再利用は3万トンである。
 (この数値には疑問の声が多く論議になっています。下記の※を参照してください。)
・ペットボトルのリサイクルは環境に対して逆効果だが、リサイクルが横行しているのは利権構造があるためである。



※武田氏の本では、PETボトルリサイクル推進協議会からの出所のデータとして、2004年のペットボトルの販売量が51万トンなのに対し、再利用できたのはたった3万トンであると指摘していますが、これは自身の調査を基に独自に推定したもののようです。(この推定は、商品化までの材料ロスや海外輸出量等を差し引き、独自の市場調査を加味したもののようです。)
これに対し、PETボトルリサイクル推進協議会は6月28日に、当該データは同協議会の名前を騙った捏造データだとしてホームページに反論を掲載しています。武田氏も誤りを認め、次著では訂正するとしています。


確かに、PETボトルリサイクル推進協議会のレポート「2005年度PETボトルリサイクル概況」の数値から計算すると、回収率は上昇しても生産量が増加しているため、未回収のペットボトルは2002年から2005年の間では、毎年170~194千トンの範囲を上下しています。
また、リサイクルするものによっては、洗浄用の水やエネルギーを多く使うものもあります。
ペットボトルがリサイクルされてどのような商品になり、どの程度販売されているのかという統計的な資料も目にしたことがありません。

リサイクルを考える場合、その手法のひとつにライフサイクルアセスメント(LCA)があります。これは、ある製品が製造、使用、廃棄(または再利用)されるまでのすべてのプロセスで、環境に負荷を与える物質を定量的・科学的に分析し、その影響を評価するものです。LCAは製品やサービスの環境への影響を定量的に評価できるので、環境問題を考えるには有効な手法です。
しかし、製品のライフサイクルを考える場合、それに関連する要素や組み合わせは多く、かなり複雑であるため、誰もが納得する評価は難しいのが現状です。

いずれにせよ、環境問題には既述したようなさまざまな理由で、「ウソがまかり通ることもある」ということを念頭に置いて、ひとつの情報を鵜呑みにするのではなく複数の情報をもとに自分なりに考えていくことが必要です。
(これは、健康問題についても同様です。松永和紀氏の書いた「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」が参考になります。いずれ、ブログで紹介の予定です。)

前述の武田氏は、本当の環境問題は、「石油の枯渇問題とそれに伴う食糧問題」だと指摘しています。そして、マサチューセッツ工科大学メドウス博士の「21世紀中頃には石油の枯渇で世界中で約30億人が餓死するだろう」との予測を例に、子孫が生き残れるような対策こそが優先されるべきと書いています。また、石油の枯渇で日本の工業国としての製品輸出力がなくなれば、食糧輸入もできないうえに、石油を大量に使っている国内農業の効率も低下し、食料自給率も40%から25%程度まで低下すると指摘しています。
これまでのブログで私が書いてきたことを端的に表現しており、まったく同感です。

最後に...
本も商品のひとつであり、中には消費者の関心を引きつけるために自分の都合のよいデータだけをピックアップし、それをことさら強調しているものもあることに注意が必要です。

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書 (298))
松永 和紀
光文社

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【主な参考資料】
・「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」 武田邦彦著 洋泉社
・日経エコロジー2007.08号「25万部の”環境本”に疑問の声 ペットボトルの再利用量で論議」
・eco検定公式テキスト 東京商工会議所編著
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食料問題とWTO、EPA/FTA

2007年07月17日 | エネルギー・食料・資源
日本は世界最大の食料純輸入国です。政府は、先進国では極めて低い食料自給率を高めるためいろいろな施策を行っていますが、その一方で、さらに自給率を低下させかねないWTO交渉やEPA/FTAの問題がクローズアップされてきています。


周知のとおり、日本のカロリーベースの食料自給率は40%(平成17年度)とかなり低く、8年連続の横ばい状態です。一方、主要先進国における食料自給率は下記の表のとおりで、ほとんどの国が日本と比べてかなり高くなっています。
(以下の2つの表のデータは、「我が国の食料自給率 -平成17年度 食料自給率レポート-」から抜粋)


主要先進国の食料自給率(2003年)
 オーストラリア
  237%
 カナダ
  145%
 米 国
  128%
 フランス
  122%
 スペイン
  89%
 ドイツ
  84%
 スウェーデン
  84%
 イギリス
  70%
 イタリア
  62%
 オランダ
  58%
 スイス
   49%

※カロリーベースの食料自給率とは、その国に供給されている食料のカロリー(熱量)のうち、国産のものがどの程度あるかを示したものです。この場合、たとえ国産の畜産物であっても、輸入した飼料で生産された分は自給率に算入されません。


また、日本における主な食料の自給率は次のとおりで、総合食料自給率40%を上回るのは米、野菜、魚介類のみです。表には明記していませんが、畜産物は輸入飼料による生産部分が49%です。

主な食料の自給率(2005年)
 米
  95%
 野 菜
  76%
 魚介類
  57%
 果 実
  37%
 砂 糖
  34%
 大 豆
  24%
 畜産物
  17%
 小 麦
  13%
 油脂類
  3%
 その他
  25%



一方、主要農産物の貿易率と輸出国別のシェアをみると、下表のとおり貿易に供される農産物の比率は低く、少数の特定国や地域による寡占化が生じていることがわかります。

主要農産物の貿易率と輸出国別シェア(2004年)
「海外食料需給レポート2006」抜粋)
農産物
貿易率
主な輸出国とシェア
 穀 物
 10.4% 米 国 37.7% オーストラリア 11.0% アルゼンチン 9.1%
 小 麦
 17.3% 米 国 29.3% オーストラリア 17.3% カ ナ ダ 14.2%
 米
  7.0% タ  イ 36.1% イ ン ド 17.3% ベトナム 14.8%
 大 麦
 10.2% オーストラリア 42.9% ウクライナ 23.7% カ ナ ダ 10.6%
 トウモロコシ
 10.2% 米 国 65.7% アルゼンチン 14.4% ブラジル 6.8%
 大 豆
 27.3% 米 国 45.8% ブラジル 34.4% アルゼンチン 11.7%
 牛 肉
  9.5% ブラジル 23.7% オーストラリア 20.9% カ ナ ダ 9.2%
 豚 肉
  4.4% EU25 27.6% カ ナ ダ 19.8% 米 国 18.9%
 柑橘類
  7.0% 米 国 22.8% 南アフリカ 19.6% ト ル コ 9.2%


農畜産物は、一部例外はありますが基本的に生産国内での消費が優先され、余剰分が輸出に回されます。しかし、干ばつや大雨などの被害で生産量が減ると、これまで輸出に供されていたものが国内消費用として振り向けられます。特に、既出の「主要農産物の貿易率と輸出国別シェア」でもわかるように、主要農産物のうち貿易に供される比率は低い上に、その多くを少数の国で占めているため、これらの輸出国で生産量が減ると、日本はたちどころに食料危機に陥りかねません。

最近、異常気象のほかに、食料と燃料(バイオエタノール)の競合、途上国の経済発展、人口増加などで、食料自給率の低い日本では、食料危機を招く危険が極めて大きいと考えられます。

これらの状況にさらに追い討ちをかけるのが、WTO農業交渉やEPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)の問題です。(各用語の説明については文末を参照してください。)
WTO(世界貿易機関)には150の国と地域が加盟(2007年2月26日現在)し、関税や輸出入条件を減らしたり無くしたりすることで、貿易の円滑化を促進しています。また、日本とオーストラリアの間で交渉が続いている日豪EPAでは、オーストラリアが輸出を目指している品目が、牛肉や乳製品、小麦、大麦、砂糖、米など、日本の重要品目と一致しているため、日本の農業に大きなダメージを与えることが危惧されています。

経済財政諮問会議WG資料(「国境措置を撤廃した場合の国内農業等への影響について」2007.2.26)によると、国境措置としての関税を撤廃すれば、安価な外国産農産物が大量に国内に流入して、約3兆6千億円もの国内生産額が減少するとしています。また、これらの問題の影響が他の産業にも波及して、国内総生産(GDP)が合計で約9兆円も減少するとともに、多くの失業者が発生、食料自給率も10%台前半までに低下すると指摘しています。

ただでさえ国内農業は、
・農家戸数、農業就業人口の減少と高齢化
 (45年前と比べて、農家戸数は半分弱、農業就業人口は4分の一以下、2005年の65歳以上の農業従事者58%)
・耕地面積の減少1990~2005年のわずか15年でも11%も減少)
が続いており、極めて脆弱なのが現状です。

WTO交渉、EPA/FTAは、それらの関係者だけの問題ではなく、国民それぞれの身近な問題としてとらえ、もっと関心を持つことが必要だと思います。
そして、世論の高まりによって、政府に対して食料自給率を高めるためのより抜本的な施策の企画立案を促していくことが大切ではないでしょうか。


【用語の説明】農林水産省・農林水産関係用語集より引用
・WTO
World Trade Organization(世界貿易機関)の略。ウルグアイ・ラウンド合意を受け、関税及び貿易に関する一般協定(ガット)に代わり、1995年1月に発足した国際機関。本部はジュネーブにあり、貿易障壁の除去による自由貿易推進を目的とし、多角的貿易交渉の場を提供するとともに、国際貿易紛争を処理する。

・WTO農業交渉
WTO農業協定20条の規定に基づき、2000年3月に開始。2001年11月に立ち上げられた新ラウンドの一部として交渉が行われている。2004年7月にジュネーブで開催された一般理事会において、農業分野を含め、枠組み合意がなされた。

・モダリティ(交渉の大枠)
WTO農業交渉においては、市場アクセス、国内支持、輸出競争の3分野等について、具体的な削減率等の各国に共通に適用されるルールをいう。ウルグアイ・ラウンド農業合意でみると、「助成合計量の実施期間中の20%削減」や「農産物全体で平均36%(品目ごとに最低15%)の関税削減」等がこれに当たる。

・EPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)
Economic Partnership Agreement/Free Trade Agreementの略。2以上の国が関税の撤廃や制度の調整等による相互の貿易促進を目的として他の国を排除する形で締結されるもので、物やサービスの貿易を自由にする協定をFTAという。FTAの内容を含みつつ、市場制度や経済活動等、幅広く経済的な関係を強化する協定をEPAという。これらは本来、WTOの最恵国待遇に反するものとされている。しかしながら、その貿易自由化効果ゆえに、一定の要件([1]「実質上のすべての貿易」について「関税その他の制限的通商規則を廃止」すること、[2]廃止は、妥当な期間内(原則10年以内)に行うこと、[3]域外国に対して関税その他の通商障壁を高めないこと等)のもとに認められている(貿易及び関税に関する一般協定(ガット)第24条他)。



【主な参考文献等】
・農林水産省「我が国の食料自給率 -平成17年度 食料自給率レポート-」
・農林水産省「海外食料需給レポート2006」
農林水産省 「WTO農業交渉をめぐる情勢について 平成19年4月」
農林水産省 「日豪EPA/FTAの交渉に当たって」
・JAグループパンフレット「貿易のために食を売り渡すな!」
・日経ビジネス2007.7.9号「置いてきぼりニッポン 出遅れFTA戦略のツケ」


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安全・安心と正常化の偏見

2007年07月09日 | 暮らし全般
「安全・安心」といったことばをよく耳にしますが、安全と安心は同列に並べられるものではありません。「安全」と「安全」の関係、安全を妨げる「正常化の偏見」について書いていきたいと思います。


最近よく使われることばに「安全・安心」があります。「食の安全・安心」、「住まいの安全・安心」、「老後の安全・安心」などのように、さまざまなところで違和感なく使われています。

「安全・安心」ということばは語呂がいいので、私たちは日常、ほとんど気にすることなく聞き流していますが、辞書(広辞苑 第五版)では次のように説明されています。

【安全】
 ① 安らかで危険のないこと。平穏無事。
 ② 物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれのないこと。


【安心】
 心配・不安がなくて心が安らぐこと。また、安らかなこと。

また、以前、大妻女子大教授の藤吉洋一郎氏がNHKラジオで、安全と安心について次のような意味のことを言っていました。
『安全だから安心できる社会であるといえる。』
『たとえ危険があってもそれを知らなければ、安心でいられる。』というものです。

これらのことから、『安全』と『安心』は同列に並べられるものではなく、「安全であるから安心である。たとえ安全でなくても、その危険性に気がつかなければ、心配や不安が生じないので安心でいられる。」ということになります。

藤吉氏の話は途中から聴いたので、どのようなテーマだったのかわかりませんが、この中で「正常化の偏見」ということも言われています。正常化の偏見とは、社会心理学や災害心理学などで用いられる用語で、危険が生じているにも関わらずそれを楽観視したり、自分だけは大丈夫と考えてしまうことを言います。

飲酒運転による事故が後を絶たないのは、この「自分だけは大丈夫。この前も問題なかったから、今度も大丈夫。」という考えを持つ人が多いからでしょう。機械の故障で人身事故が頻繁に生じるのも「これまでも事故が起きたことは無いから、問題は無い。」という考えで、点検・修理を行わずに使い続けることに起因することが少なくありません。機械を使い続けることによって、磨耗や劣化等の要因で故障の可能性は高まっていくのに、その危険性には考えが至らないのです。

この「正常化の偏見」という心理は、環境や健康を考える際も注意が必要です。
近年になって、毎年本州の3分の2の面積に相当する熱帯林が消滅し、毎年九州と四国の面積に相当する土地が砂漠化していますが、決して私たち日本人の生活と無関係ではありません。
偏った食生活でもこれまで病気になったことは無いからといって、これからも健康でいられるという保証はどこにもありません。また、自分だけはガンとは無関係と思っていても、必ずしもそうとは限りません。

健康や環境を考える上で、毎日の生活を「この安心は、安全に基づくものか?」「正常化の偏見は働いていないか?」といった観点から見直してみることも必要ではないでしょうか?


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トランス脂肪酸がニューヨークで全面禁止に!

2007年07月03日 | 食生活等
ニューヨーク市では、2006年12月に可決された「外食産業でトランス脂肪酸(TFA)の使用を事実上禁止する条例」が、2007年7月1日から施行されました。条例では揚げ物用の油などに含まれているトランス脂肪酸を1食当たり0.5グラム未満に抑えるよう義務付けています。2008年7月にはすべての食品に同様の基準を適用することになっています。(2007.7.3加筆)

油(脂)は、もっとも酸化が進みやすい食物ですが、一般的に市販されている油の多くは「溶剤抽出法」という方法で作られており、「トランス脂肪酸(TFA)」という成分に変わっています。この油は、「腐食しないかわりに体にとって非常に悪い成分に変わっているのです。

トランス脂肪酸は、大量に摂取すると心臓周辺の冠動脈が詰まる心筋梗塞などの問題を引き起こします。このトランス脂肪酸を大量に使用したジャンクフードなどの食べ物の消費量が、世界的に増加しています。
このため、米国では肥満が20年で2倍以上に増加し、今や21%に達し、年率5%で増え続けています。肥満が原因で生じる病気は、全医療費の12%(1000億ドル)を占めているといわれています。(2005.12日経エコロジー)

また、ニューヨーク市では、飲食店や家庭から流される使用済み油や食品残渣中の油分によって下水管が詰まり、年間5000件ものトラブルが発生しているようです。油脂は、下水管を詰まらせて未処理の汚水が河川を汚染するだけでなく、これを餌としたネズミの増殖を促し、環境衛生上の問題も大きくなっています。


油を多く使う食習慣の急増は日本も例外ではなく、ここ20~30年ほどで大人だけでなく子どもの肥満もかなり増えています。身近なところでは、小学校の運動会などでその現状を知ることができます。かけっこの競技では、太った子どもの姿がよく目につきますし、このような子どものほとんどが最下位でゴールしています。確かに20年ほど前も太った子どもはいましたが、どちらかというと筋肉質でむしろ速い子どもの方が多かったように思います。

今や、栄養の不良は、貧しい国だけの問題ではなくて、日本のような先進国においても深刻な問題なのです。WHO(世界保健機関)によると、世界的に過食による栄養不良が急増して、過食の人口は飢餓の人口と同じく推定で11億人に達しているようです。
トランス脂肪酸を含んだ、高カロリー・高脂肪で栄養価の乏しい安い食品が多くなり、本来必要とされている微量栄養素を含んだ食品にとって替わられているのです。

自身や家族の健康をまもるためにも、まず大人自身が自分の食生活を見直して範を示し、子どもの食習慣を変えていくことが必要でしょう。
国家レベルでは、これまで以上に食習慣の改善にかかわるキャンペーンを展開することが必要でしょう。とられる方法によっては、医療費の大幅な削減も可能でしょう。また、英国が来年1月末から16歳以上の子どもを対象としたテレビ番組でジャンクフードのコマーシャルを禁止することとなったように、日本においても同様の施策についても早急に検討すべきでしょう。

【主な参考資料】
・日経エコロジー 2005.12号
・時事通信 WEB トランス脂肪酸、使用禁止=積極PRのレストランも―NY市 2007.7.2


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中国製品にひそむ健康リスク

2007年07月01日 | 食生活等
中国産の食品や医薬品、ペットフードなどによる事故が各国で起こっています。
過去に中国で問題になった危険な食品で内容が明らかになったものをみてみると、思わず自分の目を疑いたくなるようなことばかりです。そのいくつかを列記します。

・プラスチックで光沢をつけた毒コメ(2001年4月、広東省)
・ブタのふんで調味した臭み豆腐(2001年10月、江蘇省)
・下水から抽出した油で揚げたパン(2003年9月、貴州省)
・でんぷんでつくった偽粉ミルク(2004年5月、案徽省)
・髪の毛を混ぜた偽しょうゆ(2004年10月、遼寧省)
・古革靴を煮てつくった偽牛乳(2005年3月、山東省)
・ブタの廃棄物でつくった肉まん(2005年11月、広東省)
・でんぷんや樹脂でつくった偽卵(2006年11月、山東省)

           (南日本新聞2007.6.4より抜粋)

中国政府は管理を強化することでこれらの事件の発生を絶とうとしていますが、事はそのような簡単なものではないようです。中国は、毛沢東(1976年死去)により発動された1965年から1977年の「文化大革命による国内の混乱」と1978年12月の中全会で指導体制を確立した小平(1997年死去)の「改革・開放路線による市場経済化」で、官も民も「儲かりさえすれば何をやってもいい。お金がすべて。」という拝金主義におちいっており、これが大きなモラル低下の原因となっています。

中国では、儲けることだけを考えている企業も少なくなく、そこには法律の遵守やモラルに基づく行動規範などはありません。また、地方政府の役人は企業からの賄賂を受けることが常態化しているのです。さらには、輸出品の検査を担当する検疫当局までもが企業と癒着しており、市場経済の発展によって海外への輸出が増えてきたことで、数年前から中国国内では起こっていたこれらの問題が顕在化してきたというのが現状のようです。

中国では、しばらく前に次のような小話が流行ったそうです。
『農民が稲を植えたが芽が出ず、服毒自殺をしたが死ねなかった。助かったことを喜んだ妻と祝いの酒を酌み交わしたら二人とも死んだ。』
稲の苗、毒薬、酒がいずれもニセモノだったというのがオチですが、現実問題として同様のことが起こっており、笑い話ではすまされない状況にあるのが今の中国です。


中国では、経済発展優先で環境汚染も深刻になっており、これが国民の健康悪化を加速しています。これを裏付けるデータとして、ガン患者の急増が上げられます。衛生省によると2005年には、中国全土でガンによって死亡した人が760万人にも達したそうです。2006年にはガンによる死亡者数が脳血管疾病をこえて1位になっており、死亡原因の4分の1以上がガンによるものです。

中国医学科学院腫瘍研究所の陳智周研究員は、ガン急増の原因として下記を指摘しています。
1.空気、水などの環境汚染、特に地下水汚染
2.食品汚染
3.細菌・ウイルスの増加


特に食品汚染では、「家畜に投与している薬品や飼料添加剤」、「野菜やくだものに使われている成長剤や殺虫剤」などがガン急増に起因しているとしています。


日本でも、安い中国製品が手に入る一方で、これらの製品による健康問題が懸念されています。日本や海外での最近の事例のいくつかを紹介します。

【ピーマンからピリメタニル検出】
冷凍食品用のピーマンから基準値を超えた殺虫剤のピリメタニルが検出され、厚生労働省が6月20日に食品衛生法に基づく検査命令を出しています。
なお、モニタリング検査の実施率は全輸入件数の3~5%程度ですので、検査対象とならずに日本国内で流通している食品の中に、危険なものが無いという保証はありません。

【練り歯磨きからジエチレングリコール検出】
中国製の練り歯磨きから、毒性のあるジエチレングリコール(DEG)が検出されました。
DEGは工業用溶剤などに使われ、大量摂取すると急性中毒症状を起こし、腎臓や心臓、神経系に影響を及ぼします。DEG入り歯磨きは複数の業者によって輸入され、旅館・ホテルで使用されていたほか、100円ショップや化粧品販売店などでも販売されており、現在自主回収されています。

【ペットフードに含まれた化学物質でペットが死亡】
米国で中国製のペットフードを食べた猫や犬が腎不全を起こして、数千匹が死亡しました。カナダのペットフード大手メニュー・フーズが3月に犬猫用フードのリコール(自主回収)を発表したのが発端で、FDA(米食品医薬品局)の調査によると、原因は原料の小麦グルテンに混入した有機化合物のメラミンだといわれています。メラミンは合板用の接着剤やプラスチック製品、塗料などの原料に使われ、発がん性やアレルギー性があるとされています。ペットフードのメラミン混入は、製造業者がタンパク質の含有量を増やすために意図的にやったものだと考えられています。
また、製品化されなかったペットフードは豚や鶏の飼料としても出荷され、メラミンに汚染された小麦グルテンは養魚用餌料の原料としても使用されていたようです。

このほかに昨年パナマで、中国産の原料が含まれるせき止め薬を服用して約100人が死亡しています。原因は、医薬品には使えないグリセリンだとされていますが、中国の検疫当局は主な責任はパナマの企業にあるとして反論しており、逆に不信感の増大を招いています。


問題が発覚した食品などの中には、人間の健康に与える危険度は極めて少ないといわれているものもありますが、そのようなものが製造・流通されていること自体が問題です。しかしながら現状では、中国国内で規制が強化されて危険な製品が生産されなくなることは、早々には期待できません。また、これらの危険な製品が日本国内に入ってくる前に水際で完全にシャットアウトすることも不可能です。

詰まるところ私たちが消費者自身が、単に安いというだけの理由で中国製の商品を買うことを控える以外に方策はないというのが現状ではないでしょうか。


【新刊紹介】
現在の中国が抱える、深刻な環境汚染・貧富の差の拡大・汚職の蔓延などさまざまな問題について書かれた本です。中国では工場廃水などによる水の汚染が進み、淡水の60%が重度の汚染にさらされ、きれいな水は5%程度しかないとされています。
中国という大難

新潮社

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【主な参考資料】
・厚生労働省報道発表資料 輸入食品に対する検査命令の実施について(中国産ピーマン) 平成19年6月20日
・産経新聞WEB 中国産ペットフード禍 背景に食のグローバル化 2007.5.18
・産経新聞WEB 中国でがん患者急増 環境汚染と因果関係? 2007.6.20
・南日本新聞 食品、医薬品事故相次ぐ中国 2007.6.4


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