今朝の冷え込みは緩い。雨上がりで、まだ南からの暖気が残っているのかも知れない。
厨房はフルメンバーだった。丸ちゃんはおでんを6パック作り、完売して喜んでいた。そりゃぁ~自分が作った商品が売れていくと面白いものだろう。この喜びを丸ちゃんに知ってほしかったのだ。でも、まだまだ商品としては雑だ、今後も手を添えてやり、完成品に近づけてやりたいと思う。
高校を卒業し、直ぐに総菜部門に配属された丸ちゃん。素直な心を持つ青年だが、ちょいと総菜ではお荷物だった。そりゃそうだろう、母の手料理で育ち、素朴な地方の環境で学び、真っ白なキャンパスという表現が似合うほど純な男の子だ。それが地方とはいえ、初めての労働社会にでてみて、相当なカルチャーショックだったろうな。(笑)
そんな丸ちゃんにも、春になると後輩がやってくる、1年とは早いものだ。しかし、そこでおいらは思ったのだった。万一総菜部に新人が配属される事になれば、確実に丸ちゃんは配置転換となるだろう。それほど店の彼を見る評価は低いのだ。数々のクレームや失敗は、決して怠慢などからではなかったのだが、それを育てる余裕が今の店、また、即戦力を望む組織にあるのだろうか。
なにか一つ、丸ちゃんに作れる商品を身に着けさせてやることだ。一つで良い、例え僅かな売り上げでも、彼にできる「お金を稼ぎ出す商品」があれば、評価は大きく変わってくるだろう。
春までにはまだ時間がある。実績を作ってやることが、おいらやFさんにできることだと考えたのだった。