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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

人工林から天然林への誘導

2006-08-21 | フィールドから
・午前中,ストローブマツ人工林内に設定した皆伐地での実生調査.ここ富良野には北米原産の五葉松であるストローブマツの人工林がたくさんある.富良野の気候では,植栽して確実に成林する外来樹種はこのストローブマツとヨーロッパトウヒ(ドイツトウヒ)の2種といってよいだろう.

・最近,このストローブマツ人工林をいかにして,天然林に誘導するかというのが一つの課題となっている.そこで,ストローブマツの人工林内に25×25mの小面積皆伐地をあちこちに作って(場合によっては,その後ブルドーザによる地表処理も行って),そこに自生種の天然更新を図ろうとしているわけである.そんなこんなで,今年の調査は皆伐放置の場所と,皆伐+地表処理の場所で実生の発生定着の状態が違うかどうかの調査である.

・皆伐放置区では,昨年とは様相が一変し,なんとも見事なイチゴ畑になっている.これはおそらく,埋土種子から発芽定着したものであろう.イチゴは森林内の埋土種子の常連ではあるが,ここまで繁茂するとは全くもって予想外だ.

・一方,皆伐地では,想像以上に定着できておらず,場所によっては全く更新していないようなところもある.おそらく乾燥と強光による発芽阻害かあるいは発芽後のかなり早期に死亡しているのかもしれない.もしかすると,皆伐範囲は25m×25mでも広すぎるのかもしれないという感じ.いずれにしても,炎天下の調査は頭をもうろうとさせ,これなら実生も厳しかろうと実感したのであった.

ゆずごしょうの味

2006-08-20 | その他あれこれ
・ここ富良野では,小学校は明日から新学期です.あちらこちらで,夏休みの宿題の総仕上げにあわてていることでは・・・.我が家では,なんとか午前中で気になっていた工作も終わり,親としてもほっと一息です.

・昼ごはんは,冷やしうどん.もちろん(!?),柚子ごしょうが欠かせない.ピリッと辛いけど,慣れるとコレなしではどうにも物足りないよね(焼肉を食す際に,ポン酢と一緒にしても美味しい)・・・などと話しつつ,改めて瓶を見たら,なんと柚子ごしょうではなく,「かぼすごしょう」だった.かぼすごしょう,などというものがあるのは初めて知ったが,そういわれると若干,柚子ごしょうとは風味が違う気がしてくるんだから,いい加減なものである.

Home-site advantage仮説

2006-08-19 | 研究ノート
・9月7日に北海道大学のTrendyゼミで話題提供させてもらえることになったので,その要旨をつくる.タイトルは,「連続分布する針葉樹でHome-site advantage仮説は成り立つか?-異なる標高間で相互移植されたトドマツが語ること-」にした.

・Home-site advantage仮説とは,最近流行のRestration Ecology (いつも,この和訳がうまくできないのだが,再生生態学でいいのだろうか・・・?)では大事な概念で,これを理解するのにはMontalvo and Ellstrand 2000 ConservBiolを読むのが分かりやすい.Hufford and Mazer 2003 TREEによると,「Local genotypeの方がIntoroduced genotypeよりも適応度が高い」ということになる.もともと遺伝的分化度の低い森林樹木では,この仮説がそもそも成り立つのか,成り立つとすればどのくらいの地理的スケールなのかといった,基本的なところに答えうる実証的データが少ないわけで,それに対する一つの答えを示したいと思っている.

・それにしても,他の機関のゼミで発表するのは,全体のメンバーをよく知らないだけに楽しみやら,反応が怖いやら,色々とありますが,普段,なかなか深い議論ができない私のような遠隔地に生息する研究者にとっては,大きな収穫を得るチャンスでもある.そういう意味では「でかせぎゼミ」とでもいえそうだが,そんなことはともかく,プレゼン準備を急がねば・・・.

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2006-08-18 | 研究ノート
 D論作成のときから始めた研究ノートは早くも28冊目になりました.最近では,論文や研究のアイデアだけでなく,感じたことあれこれも書き記しています.このブログでは,フィールドでの発見,論文執筆にまつわる格闘の様子,気になる論文の紹介など,研究ノートの一部を少しずつ紹介していこうと思っています.

 ブログ初心者ということで,しばらくは手探りでの立ち上げとなります.8月末から本格始動を行う予定ということで,しばしお待ちください・・・.