健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

運動中の突然死に関連する遺伝子

2015-10-18 08:30:46 | 研究
運動中に発生する致死性不整脈に関係する新たな遺伝子「IRX3」が特定されたという研究結果がEuropean Heart Journalに発表されたそうです(財経新聞)。マラソン大会などの運動中に、約1万人に1人の頻度で突然死が発生するそうです。その原因として、肥大型心筋症などの遺伝性疾患の関与が知られていますが、それは運動時突然死のごく一部であり、一見心臓に異常がない人でも運動時の突然死は同程度の頻度で見られ、その原因はほとんど分かっていないのが現状です。致死的不整脈が起こる場である心室には、哺乳類になってから出現した電気信号を伝達することに特化した細胞集団 His-Purkinje 系が存在し、この系は心機能強化に寄与することが知られています。そこで研究では His-Purkinje 系に特異的に発現し、電気信号の伝達に関与する遺伝子 IRX3 に注目し、マウスとヒトでIRX3 の遺伝子異常が運動中に起こる致死的不整脈に関連するかの検討を行なったそうです。その結果、IRX3の遺伝子異常がマウスとヒトの両方で一見正常な心臓でみられる致死的不整脈に関与すること、また致死的不整脈は運動などの交感神経の緊張が高まったストレス下で生じることが明らかになったというものです。
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