一生

人生観と死生観

今日は何の日

2008-07-03 17:41:08 | 哲学
7月3日 曇り一時雨
 今朝家内にメールが来て仙台の河北新報紙朝刊に記者A氏が書いた化学史学会学術賞の記事があり、おめでとうとのことであった。差出人は仙台のBさんという女性で、家内が懇意にしている方である。まだ5日の授賞式前なのであまり大きく取り扱われることを遠慮していたのだが、考えてみれば今日は7月3日ニッポニウム発見の小川正孝が急性胆嚢炎のため東北大学の実験室で動けなくなった日である。彼は東北大病院に入院し、8日後に亡くなる。最期まで新元素にこだわっていたのに気の毒であった。まだ日本の化学が黎明期の頃、大変な奮闘努力によって折角見つけた新元素が、後に幻扱いとは割り切れぬことであったであろうと、心から同情を禁じえない。このニッポニウムを再評価し、それが現在のレニウムであったことを裏付けた私の活動が賞になったことは、とりもなおさず、小川正孝の功績の再認識である。私も肩の荷が下りた気がするけれども、5日にはフランスからの客人も来ることであり、これをヨーロッパ大陸に伝えたいものである。
 それにしてもほぼ十年かかった仕事であった。一つのことはしつこいと思われてもまとまるまで、また徹底するまでやり抜かねばならない。中途半端ではいけない。それは先人のためであり、またこれからの世の中への示しのためでもある。もし仮に私が5年でこの仕事を打ち切っていたら今日はなかった。研究は十年かかる積りで取り組めと誰かの奨めがあるが、本物は十年経てば必ず光る。