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最近ウクレレの専門店ウクレレぷあぷあにラップスチールに加えてハワイアン・ギター(アコースティック・スチール・ギター)も並ぶようになりました。
その昔のアコースチック・ハワイアン・ギターはピックアップが組み込まれていなかったために大きなステージでの演奏ではスタンドマイクを使わざるを得ず、不便でしたが、最近の製品にはピックアップとイコライザーまで組み込まれたものが登場したため以前よりは使いやすくなりました。
ここでちょっとハワイアン・ギター誕生秘話?と私のハワイアン・ギター電化作戦?をご紹介しましょう。
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カメハメハスクールの生徒だったジョセフ・ケクク(この写真はもちろん成人してからのものですが)が
それまで弾いていたギターを膝の上に載せていたときに、市街電車の線路を歩いていて拾ったボルトを偶然弦の上に落としたところ今まで聴いたことのない音(グライドドーンのことでしょうか)が出たので、それを追求して行ってスチール・ギターとなった、という伝説を聞いたことがあります。
しかしながら「The Golden Years of Hawaiian Entertainment」
をはじめ、「Hawaiian Hall of Fame Museum」や「Hawaiian Steel Guitar Association」
のサイト等で紹介されているように1885年、彼が11歳のときにギターの上に「何か」を滑らせた際に発生した音に興味を持ってスチール誕生に至ったのは確かのようですが、「線路で拾ったボルト」ではない可能性があります。というのも「ボルト」だとすると「ネジ」ですのでネジ山があってうまく弦に接触しないのではないか、という疑問が生じるためです。もしかするとボルトではなく似たような部品である「犬釘」かも知れません、これでしたらアタマの片側を削り落とせばトーンバーの役割を果たしますので。
いずれにしても1885年ということは「市街電車」の登場する16年も前のことです、もしかしたら市街電車が登場する前に運行されていた市街馬車?の線路から拾ったのかもしれませんが・・・。もっとも線路に犬釘やボルトが落ちているというのは「安全運行上」穏やかではないですね。
さらに彼は金属製の櫛やナイフの背、タンブラーなどいろいろな素材を試したようですが、最終的には技術科の先生の作ってくれた部品で演奏するようになったのでしょう。
彼はその後自分のグループ「Kekuku's Hawaiian Quintet」
を結成するとともに米国各地を中心にこの新しい楽器を紹介して歩きました。そしてハワイから遠く離れたニュージャージー州で亡くなったのですが、彼の墓地を探し出した記事
もインターネットに紹介されていました。上記の写真のように解読が難しそうな墓石をこのかたはよく見つけ出したものです。
場所はニューアーク近くのドーバーという町で
オーチャード通りの墓地
に埋葬されていたようです。ここはその墓地の入り口です。
もしこの墓地がハワイにあったら、皆さんのご期待通り探訪に出かけたところでしたが、残念ながら(というか幸運にも)ハワイではなかったのでこれまた「対象外」と判定?いたしました。
ジョセフ・ケククの「発明」したハワイアン・ギターは当初ガット弦でしたが、すぐに音が長く延びるスチール弦に切り替わり、そのことによってなのか「ハワイアン・スチール・ギター」とも呼ばれるようになりました。
日本でも有数のハワイアン・ギターやウクレレのコレクター内崎以佐美教授のコレクションを紹介しているshinfujiさんのページにもありますように、この種のハワイアン・ギターはギター・メーカー各社で作られていて、特にワイゼンボーン社の製品が有名でした。
私自身も以前から普通のアコースティック・ギターにナットを高くする部品をはめてつくったハワイアン・スチール・ギターを楽しんでいたのですが、
あるときワイゼンボーンのコピー商品?のB級品(C級品?)が大変安く入手できたので次々と購入し遂に3台も!揃ってしまいました。
なぜ3台も買えたかと言うと、私の「初歩のスチール・ギター入門」も扱っていただいている通販会社「マリーナ楽器」に時折紹介される「訳あり、特価品」コーナー
で信じられないほど安価な楽器を販売しているのをクリックしたためにいつのまにか3台になったという次第です。
ただ、いくらボディーが大きいといっても、やはりピックアップを付けてアンプから鳴らしたかったのですが、当時のピックアップつきモデルはみなウクレレと同様のピエゾ方式のピックアップが内蔵されていました。
わたしのこだわりとしては折角のスチール・ギターですのでピックアップとしてはピエゾではなくマグネチック方式のものが欲しかったため、最初の2台は購入後にマグネチック・ピックアップ付きに改造してしまったのです。これも楽器自体が「特価品」であるため気軽に改造できたのであって、数十万円もする本物のワイゼンボーンだったら絶対に実行しなかったことでしょう。
世の中にはエレキ・ギターが数多く売られており、それらに使うマグネチック方式のピックアップ単体も極めてたくさん売られていますが、問題はその価格です。ギターが「特価品」であるのにピックアップは「正規品」ですので、ほとんどのピックアップ価格がギター本体よりもはるかに高いことが分かってちょっとあせりました。
それでもクラシックギターのサウンドホール取り付け用のマグネチック・ピックアップが
たまたま安く売られていたのでさっそく購入し、サウンドホールにしっかりと取り付けました。心配していたサウンドホールの寸法にもピッタリと適合したので
これでひと安心、とアンプにつないで試運転?をいたしました。・・・ところがそこで大きな勘違いをしていたことに気づきました。クラシックギターでしたらフレットの範囲だけを弾くので問題がないのに対して、スチールギターではたとえフレットがなくても2オクターブ(24フレット)以上、場合によっては3オクターブ(36フレット)近くまでバーを移動させることがあります。
サウンドホールの位置がだいたい24フレットに相当するのでその付近にバーを移動して弦を弾くと、耳には音が聞こえてもバーの位置では弦が全く振動しないので、バーの位置にあるピックアップからは音が得られないのです。もちろんピックアップの位置よりも右側にバーを動かすとピックアップの上にある弦のすべての振動がミュートされてアンプには送られなくなるのです。
結論から言えばピックアップの位置をブリッジに接近させる必要があるということになりますので、急遽取り付け位置を変更することといたしました。
もともとサウンドホール取り付け用として作られているので、ピックアップ本体はかなりの厚みがあり、ブリッジ近辺のトップ板上にそのまま置いたのでは弦に接触してしまいピックアップの役割が果たせません。
やむを得ずトップ板を切り抜いてピックアップをそこに落とし込んで取り付けることといたしました。
切り抜き作業に使う工具はカッターナイフ1個と軽く仕上げるための金工用粗目やすりだけです。
こんな大きな穴を惜しげもなく開けられるのも「特価品」ならではの醍醐味?でしょう。
内部のブレースが見えていますが、鉄弦の張力には耐え切れないような細い木材を使っていることが分かります。そのためでしょうが3台ともトップがかなり変形しています。
ふつうのギターやウクレレのようにフレットを頼って演奏する楽器ではこのトップの変形は演奏に影響しますが、幸いなことにスチール・ギターの場合ですとフレットよりもはるか上空?に弦が張られていて、フレットはもともと「単なる目印?」に過ぎないのでスチール・ギターとしての演奏には支障がありません。強いて言えば見てくれが悪くなるので「商品価値」が落ちますが、これだけ加工してしまった楽器には商品価値などはありませんから・・・
そして移設したピックアップはこのように収まりました。
クラシックギターに比べて弦の間隔が広いため、それぞれの弦に対応するヨーク(磁力を誘導する部品:ここでは金色の鉄ネジ)からはズレていますが、確認したところすべての弦の振動が拾われていました。
これで無事にハワイアン・ギターへのマグネチック・ピックアップ搭載は終了いたしましたが、じつはもうひとつ実験をいたしました。
それはブリッジの裏側にピエゾのピックアップも取り付けたのです。取り付け方はわたしの「ウクレレ快読本」
の「 ウクレレ工作講座・愛用のウクレレを電化しよう」でご紹介した方法です。
実験の目的はマグネチック・ピックアップとピエゾ・ピックアップの取り付け位置が違うため、それぞれが拾う振動の位相が異なるはずなので、それを2台のアンプから別々に鳴らすことで「ステレオ感」のある音が得られないかと思い、確認した次第です。
残念ながらその効果はほとんど認められなかったのですが、もしかするとヘッドホンで聴けば多少でも立体感が出たのかもしれません・・・・。
目的は違うかもしれませんが「Blackbird」というカーボン繊維を使ったギターやウクレレにも似たような効果が考えられているようです。
すなわと本来のサウンドホールのほかに、ネックを空洞にしてヘッドストック付近にもう一つのサウンドホールを設けているためある程度のステレオ感のある音が得られることを意図しているようです。
そして良く考えてみると、ハワイアン・スチール・ギターもネックは強度を保つためと膝に載せやすくするためにボディーとつながったホロウ(空洞状)・ネックになっていることからヘッドストック付近にコンデンサー・マイクでも埋め込めば立派な?ステレオ・サウンドが得られそうな気がいたしますので、次のテーマとして大切に?取っておくことといたします。
さて最初のハワイアン・ギター(1号機と呼びます・・・・何か愛称でもつければよいのですが、味気ないですね!)の改造に成功したあとに、ウクレレの友人Ernieさんからマグネチック・ピックアップを頂戴いたしました。
そこで本末転倒ではありますがこれを搭載するための「訳あり品」を購入することにいたしました。
詳しく書くとながくなりますので・・・・もうここまででもイヤというほど長いじゃないですか!(汗)・・・・結果だけ紹介いたしますと、もともとボディー上に取り付けるように作られている部品だったため1号機のような大掛かりな工作をせずに収まりました。
やはりヨークの位置と弦の位置が合っていませんが、これまた問題なく振動を拾ってくれました。
1号機も2号機もおなじなのですが、わたしはボリューム・コントロールにもこだわりがあって
上記の「ピックアップ内蔵モデルのように単なる「音量調節」ノブではなく、演奏中にソフト・アタック効果、いわゆる「バイオリン効果」が得られるように
ノブ自体の形状を指が掛かりやすいようなセレーション(ギザギザ)のついた大きなものにして、しかも弦の近くに置くようにしたかったので2台ともそのように設置しました。
1号機、と2号機の正面側からの写真です。
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さて、これで一段落!と思っていたら・・・・(まだ続くの?)
なんと「マグネチック・ピックアップ内蔵モデル」の「訳あり品」の情報が届きました。
何でも外国向けのOEM製品(相手先ブランドによる注文品)での訳あり品とのこと。ブリッジが少し浮いているがネジでしっかりと留まっているので破損の心配はないとのことでしたので、「マグネチック・ピックアップなら改造も不要!と早速注文してしまいました(汗)。
届いた製品を見るとなるほどブリッジの後端が写真のように浮いていました。そして口紅ケース状のしゃれたPUが取り付けられていました。
喜び勇んでアンプにつないでみると思いもよらぬ結果が!
なんと1弦と6弦の音だけがほかの弦よりも小さいのです。上記の写真のようにピックアップ自体は両方の弦までカバーしているように見えますが、おそらく両端の球面部分にはピックアップの作用をするものが入っていないのでしょう。
そこで早速3つの対応策を考えました。
1. 何も替えずにおいて、1弦を他より強く弾く。
2. 1弦をはずし、2~6弦の位置に1~5弦を張りなおす。
3. ピックアップの位置を1弦側に移設する。
1.は不可能ではないのですが、常に1弦だけ強く弾かなければいけないというのは結構ストレスになり、とくにコード弾きの際には大変厄介な奏法になるので「落第」。
2.は1弦の音自体は問題なくなるのですが「5弦スチール」になってしまい、演奏の勝手が違うのでこれまた「落第」。
ということで3.の「移設」を実行することといたしました。この方法です1弦の音がしっかりでることと、たとえ音が拾えていない実質「5弦スチール」ではありますが弦だけは6本張られたままですので演奏の勝手はほとんど変わらず6弦を弾こうとする際の注意だけが残る「条件付合格」という判定です。
さてピックアップ移設の可能性をみるために取り付けネジをはずしてみると、取り付け穴以外に3つの穴が開いていたので、これらをすべて10ミリずつ1弦側に拡張し、取り付け穴も一つだけ追加しました。このことにより万一もとに戻した際でも何一つ改造の跡が見えないという利点もあります。
取り付けネジ一本での締め付けでがたがたするのではと心配しましたがこれも問題なかったので、
使わなくなったネジはサウンドホール内部のブレースに締め付けておきました。
それからこのモデルのボリュームとトーンのノブも使い勝手のよいものに交換しておきました。弦からはちょっとはなれているのですが、「バイオリン効果」の演奏には支障がないので位置はこのままにいたしました。
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ハワイアン・スチール・ギターの印象で大きなものが二つ有りました。
その一つは故・大塚龍男さんが時々甘い音色のハワイアン・ギターを弾いていた際に、特に昔の音色を髣髴させるような伸びのない音を出していたのですが、その秘密はバーとしてステンレスではなく木材を加工した極めて軽量のバーにあったのです。
以前にもご紹介したのですが、私自身もこの木製バーを作ってみました。
ステンレスのバーの重量が200グラム前後あるのに対して、この木製バーはわずか15.5グラムしかないので音がすぐに減衰してしまう「古いイメージ」の演奏ができるようになりました。実はほかにもアクリル棒や硬質ゴムでも製作してみたのですがいずれもこの木製バーには敵いませんでした。
もう一つの印象はNUAの名誉会員でもある山口軍一氏(写真はNUAサイトから、低解像度ですが・・・汗)が
日比谷公会堂で定期的に開催されていた「ハワイアンの夕べ」で、あるときハワイアン・ギターを駅弁売りよろしく首から吊って登場したのです。それを見て「これなら歩きながらでも演奏できる!」と閃き、その後アコースティック・ギターを改造した手製のハワイアン・ギターでもこのスタイルに挑戦してきました。
そして3号機もこのスタイルで演奏できるように手直しを開始したのです。
以前の経験からギター・ストラップを2本用意し、1本は首から吊るために用い、もう1本は自分のカラダに楽器を密着させる目的でつかうことにしました。
ストラップ取り付け用のピンをやたらに打つと見苦しいので2箇所だけに限定して打つことにしました。
一つは定番のテール部です。
もうひとつはヘッドストックの裏側にいたしました。
以上の写真でお分かりのように、テール側のピンにはストラップを2本とも取り付けるのですが、ヘッド側のピンにはボディー密着用のストラップだけを取り付けます。もしここに首に吊るためのストラップも取り付けるとナットに近い部分の演奏ができなくなるのです。そのため「首吊り用」じゃなかった(汗)「首から吊るすための」ストラップはヒモを介して3,4弦の弦巻き周囲に結ぶことにいたしました。
NUAの友人waka-chanがPowerSlideと称する駅弁スタイルでも弾けるスチール・ギター
を購入したとご自分のブログに書かれていました。もちろん上の写真のかたは若くないのでwaka-chanではありませんが・・・・
上記の写真のようにストラップの右側をわきの下から通した場合、ギター・ピックを持っての演奏には適しているのですが、スチール用の3個のピックをはめての演奏にはこのストラップが邪魔になりますので右側も肩に掛けて使っています。
それでは最後に正面と左右の3方向からの写真を並べて見ましょう。一見すると首吊り用(!)のストラップしか確認できないのが特長かもしれません。
でも楽しく読ませて頂きました。
ブログの紹介、ありがとうございます
スチールの最初、そういう事がきっかけとは・・なんか、いい話ですね・・。いっそ
また、こういう話ばかり集めた本、書いて下さい
カ・ヒメニ・アナに来る人たちは古いハワイの唄を良く知っていて、会場も一体となって歌うのにはかんげきしました。
(私にとっては全く知らない曲でした!)
スチールが偶然から出来たかも知れないってロマンチックです。でもでも、
首からスチールギターを下げて演奏するのは、肩が凝るんだろうな~と、思ってしまいました。
MATTさんは肩こりしないのですか?
でも本人にはその自覚がないのです。
じつは昨日もこんな格好で弾き続けましたが遊ぶのに一生懸命で覚えていません。(ボケがかなり進行しているのかも)
ネットでもダシャレ絶好調で恐れ入ります。
MATTさんの場合は肩こりではないですね~。きっと何時間も時間の経つのを忘れて弾いていたのでしょう~ね。
この頃、フラの振付けを忘れている事が多くて
焦っています。先月の例会では、歌詞が飛んだし
ヒメこそボケの始まりです。トホホ
ヒメリン→ヒメボケ
忘れたり間違えたときに「ア・イケナイ!」などと叫んでいるうちはまだまだ修行が足りないのです。
Mattさん 似合ってますよ。
そのままで座ることができないので、座るときには肩からストラップをはずします。
本当は座って弾いている状態からすぐに立ち上がっても弾けることを狙ったのですが、実際にはスツラップを掛けなおさないとダメでした。
ハワイに行ってトロリーバスに揺られていると、ショーウィンドーのアロハやムームーのカラフルな色が目につき
日本で買うよりうんと安くて、あれこれとすごく目移りします。
MATTさんの着ているアロハ渋くていいですね~。
ウクレレいっぱい
とくにこのアロハは地色が珍しく白色だったのでちょっと合うか心配でしたがまあまあでした。
でも友人にプレゼントしようと出かけたら既に「売り切れ」で二度と入手できませんでした。