MATTのひとりごと

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ダイヤモンド・ヘッド沖合に眠るクイ・リー(2024年3月5日)

2024年03月05日 | MATT本

◎ クイ・リー最後の作品 Intangible Dream Came True
   クイ・リーは1966年12月3日に亡くなりましたが、その少し前の10月18日にワイキキ・シェル

で開催されたアロハ・ウィークの催しに手術後の車椅子姿で登場し、観衆に対して歌うことができないことをお詫びしながらいろいろなエピソードを語り、それに続いて、妻のナニ・リーが彼の最新作であるこの曲Intangible Dream Came Trueを歌ったのです。

  彼は病を得てから自分の死を意識し、家族をはじめ周囲の人たちに自分の生きざまを伝えるために数多くの曲を作りましたが、この曲にも彼の思いが詰まっています。
                

◎ メキシコで客死したクイ・リー
    クイ・リーは迫ってくる死に対して少しでも可能性のある治療をいろいろと試みました。その一つがアミグダリン(梅や桃の種子に含まれている青酸配糖体)という薬品だったのですが、この薬はFDA(米国食料医薬品局)の承認が得られていなかったのです。そこでそれの使えるメキシコ・ティファナ市のグアダラハラ病院に入院したのですが、効果が得られず、結果としてその病院で亡くなりました。
(上記「アミグダリン」のリンク先記事にもあるように、この薬は俗に「がんに効く」などと言われているが、人を対象にした信頼性の高い研究でがんの治療や改善、延命に対して効果はなく、むしろ青酸中毒を引き起こす危険性があると分かっている。とのこと)

◎ 「ダイヤモンド・ヘッドから投身自殺したクイ・リー」という記事
    友人の岩佐さんから連絡があり、エルビス・プレスリーのアルバム「Aloha From Hawaii Via Sattelite」の解説に「癌を苦にしてダイヤモンド・ヘッドから身を投げたクイリーを記念して作られた癌基金を・・・」という記述がある、とのご連絡をいただきました。この解説(ライナーノート)の筆者は有名な音楽評論家の湯川れい子氏で2013年3月4日という発表期日がありました。

まさか、とは思いましたが再度彼の逝去時の情報を確認したのですが、どこにも「ダイヤモンド・ヘッドから投身自殺」に関わる記述は見当たりませんでした。

      音楽業界では超一流の評論家の湯川さんがどのような根拠でこのようなフェイク情報をしっかりと書いたのかを調べてみました。当然ながら何かの根拠があるはずですので・・・。

  そして発見!しました。この本が湯川さんの情報源だったのですね。平成19年(西暦2007年)発行ですから湯川さんはしっかりと読まれたことでしょう。


プレスリーについての権威のある書籍かも知れませんが、脇役のクイ・リーの情報が間違っていても良い、筈はありません。
この本がもとになって「クイ・リーがダイヤモンド・ヘッドから投身自殺」という説が定着したら、と思うと心配になります。そうならないことを祈っていますが・・・・・・

「投身自殺」を信じ込んでいた湯川さんは2014年1月14日放送のTBSラジオ『西寺郷太TAMAGO RADIO』にゲスト出演。西寺郷太さんにエルビス・プレスリーの魅力と胸キュンポイントを語っていました。

(中略)

湯川れい子:それで、12時って日本のゴールデンタイムに合わせて。日本は7時とか8時とかそういう時間だったんですけども。それはどういう生放送だったかっていうと、ハワイが生んだクイ・リーっていう作曲家がいて。その人がガンを苦にしてダイヤモンドヘッドから身を投げて死んでしまうの。それで、そのクイ・リーが作った『I’ll remember you』っていう歌が、エルビスのブルーハワイの中で歌われるんですが。

と、ここでもフェイクニュースを振りまいていました。影響力のあるかたなので困ったものです。

その後も彼女のX(旧ツイッター)でご自分の文章に陶酔されています。

周囲にどなたか彼女に諫言できる方は居られなかったのでしょうか?

◎ クイ・リーの葬儀
    クイ・リーが亡くなった5日後の12月8日に彼の葬儀が行われました。午前中のカワイアハオ教会

での式に続いて、午後からは彼の希望したワイキキ沿岸での壮大な埋葬式が執り行われました。
  彼の棺を載せた90名乗船のカタマラン(双胴船)

がこの場面に最も適したOne Paddle, Two Paddle

をはじめとした彼の曲を流しながら沖合に進み、9艘のアウトリガー・カヌーがこれに従いました。
上空の2機の飛行機から1万個の蘭の花が海上に投下され、彼の棺は予定されたワイキキ沖の北緯21度15分、西経157度49.8分の海中に静かに降ろされ、深さ150~180メートルの海底に安置されました。

   この場所を地図上に示します。

おそらく現在までその地点は「ワイキキ沖」と漠然と考えられていたでしょうが、地図からお分かりのように「ダイヤモンド・ヘッド沖合」と言ったほうが適切かも知れませんね。

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