MATTのひとりごと

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ウクレレのバイブル登場

2012年11月18日 | 曲集・出版物

先にご紹介しましたハワイアン音楽の百科辞典とも言える「Hawaiian Music and Musicians」増補改訂版に引き続きウクレレに関する百科事典「The `Ukulele ~ A History」をご紹介いたします。
実はこの本のほうがHawaiian Music and Musiciansの増補改訂版よりも数ヶ月早く出版されていますが、いずれにしてもこれら2冊は現在のハワイアン音楽そしてウクレレに関するバイブルとして貴重な存在と言えましょう。
もちろんいずれも英語版ですのでどなたかが日本語版を計画していただけると嬉しいのですが、それまでは英和辞典と首っ引きで読むことといたします。

表紙の写真はいかにも古めかしい感じですが、それもそのはず、ウクレレ誕生の直後1891年ごろに撮影された写真で二人の女性はディアスの5弦ウクレレを手にしています。

ご存じのとおり1879年8月、ポルトガルのマデイラ島からハワイに移住するためにやってきた人たちの中にディアス、ヌネス、サントという3名の楽器職人がいて、数年後にそれぞれの製品「ウクレレ」が世に出たのですが、この中のマニュエル・ヌネスの曾孫レスリー・ヌネスたちによって「The `Ukulele - A Portuguese Gift to Hawaii」(68ページ)が1980年に出版されました。


出版当時としてはこの本と上記「Hawaiian Music and Musicians」初版本中の「ウクレレ」項しか資料がなかったため大変重宝いたしました。
その後1997年にジム・ビロフが「The Ukulele - A Visual History」という写真満載の本を出版したためこれまた貴重な資料となっていたのですが、いずれも深く掘り下げた内容ではないため、ともすると消化不良の感を受けていました。

今回の「The `Ukulele - A History」はもう一人のウクレレ製作者アウグスト・ディアスの曾曾孫であるジム・トランクアダとウクレレ研究家で演奏家でもある故ジョン・キングの共著によるもので、上記の不満を解消?する詳しい内容になっています。
ビロフの著書およびHawaiian Music and Musiciansと一緒に並べてみました。

ディアスの関係者ということもあるのでしょう、この本には表紙もそうですが内表紙にもディアスのウクレレのイラストがさりげなく載っています。


共著者二人の写真、左がトランクアダ氏(55歳)右が2009年に他界した故・キング氏(享年55歳)です。

Hawaiian Music and Musiciansのところでもご紹介した「Contributors」のページです。

私のひとつ上にキング氏が載っています。赤いアンダーラインは私が知っている範囲の物故者で、もっと多く居るとは思います。多分次はキング氏の下の人物かも・・・・汗。
なおトランクアダ氏は「Contributors」のリストには載っていませんでした。

共著者の略歴です。


キング氏は長年にわたってウクレレの歴史を研究していて、自身のウェブサイト「Nalu Music」にその成果をすべて発表して来ました。


いっぽう、曽曽祖父がウクレレ開祖のひとりであることもあって、トランクアダ氏も独自にウクレレの歴史についての研究を続けていましたが、あるときキング氏の「Nalu Music」サイトを知り、自分と同じ方向に進んでいるキング氏に連絡をとり、共同で研究を進めることとなりました。
実はキング氏とトランクアダ氏の自宅が結構離れていたため、普段はもっぱらメールでのやり取りを続けていて、二人が初めて会ったのは連絡開始後2年も経ってからのことでした。

2003年にトランクアダ氏とキング氏が共同で発表した「A New History of the Origins and Development of the`Ukulele, 1838-1915」は32ページの小論文ですが、今回の共著書がこれをベースに書かれていることが分かります。興味をお持ちの方はこの小論文をダウンロードされることをお勧めします。(インターネットで惜しげもなく資料を公開する彼らの姿勢には好感が持てます。)
惜しむらくはキング氏が55歳という年齢で他界されたことで、彼にはもっと掘り下げた研究を期待していたのですが、彼自身も心残りだったことでしょう。

この本の目次は下記のようになっています。
Chapter 2に「Pa, Ko, Li」とあり、本文中には説明が(たぶん・・・汗)ないのですが、これはハワイ語のドレミのことでド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ(英語ではティ)・ドはPā, Kō, Lī, Hā, Nō, Lā, Mī, Pāと表記するのです。これからお分かりのようにすべてカハコー(母音の長音記号)が付いているのですが、この本には付けるのが大変なためか付いていません。

この本の定価は20.99ドル(税込みで1,700円ちょっと)ですが日本でもそれほど高くないのです。
もしも長く使うようでしたら(!)ハードカバー本も2倍程度の価格で買えますのでお奨めです。

そしてなか見!検索という表示をクリックすると、なんと内容が100ページ近く表示されますので事前チェックも可能です。

それでは座右の銘ではなくお席の左右にHawaiian Music and Musicians及びこのThe `Ukulele - A historyの2冊をお備えいただき、目の前に置いた英和辞典とともに(おっと、これは私の場合でした!)豊かなハワイアン音楽生活をお過ごしください。


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13 コメント

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まず1冊。雑食国民は音楽も忙しい・・。 (waka-chan)
2012-11-21 12:30:43
MATTさん、素晴らしい本のご紹介をどうもありがとうございました。
さっそく、アマゾンで・・。
まずは、分厚い写真右端が手に入りました。
その量に圧倒されています。日本のウクレレ好きは
ますます忙しくなりそうです。
でも、来年のウクフェスを前に、タイムリーな本です。
まずは必要そうなところから・・読めたらと思います。
返信する
お待ちしてましたよ! (MATT)
2012-11-21 12:56:41
waka-chanのコメントのないブログはクリープを入れない・・・と書きかけて、多分通じないナと中止に。

ふたりの著者が50歳代ということは皆さん(誰と誰?)いまが活躍時期なんでしょうね。

頑張ってください!
返信する
ポチッと (schuntama)
2012-11-21 20:35:42
昨日、注文いたしました。
キングさんの著書はThe Classical Ukuleleを持っていますが、
これは読み物とは違うのでアレでしたが、この本は腰を据えて読めそうです。
まずは職場に持ち込んで、休み時間に読もうと思います。
家より職場の方が落ち着いて読めるというのがとても悲しいのではありますが・・・。

さておき、ヌネスでもクマラエでもなく、ディアスというのが個人的なポイントです。
内容とは直接関係ないのでしょうけども。
届くのが楽しみ~。
返信する
キング氏の (MATT)
2012-11-22 01:15:34
アレンジ楽譜はちょっと・・・・という感じですが、こちらのほうは読み応えがあります。
(単に英語なので時間がかかっているだけかも?)
返信する
素晴らしそうな本ですね! (きりん)
2012-11-23 12:32:50
さっそくアマゾンまで出かけます。
著者のお二人の写真を拝見して、とっても白状しにくいのですが同年代です。(あたしの方が1単位だけ若い...)
ゲットして大仕事に挑戦してみるか
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そういえば・・・・ (MATT)
2012-11-23 16:05:53
どことなくこのお二人に風貌も似ているではないですか!

ブラダ・ブーを上回る大作に挑戦してください。
楽しみにしていますよ!
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「ウクレレの故郷」マデイラ島で (MATT)
2012-11-25 11:57:59
デング熱が大流行、1300人以上が感染、というニュース
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2912874/9878923
を読んで大変身近な場所での事件に心を痛めています。
返信する
デング熱は (きりん)
2012-11-29 22:22:42
東南アジアではよく流行します。「蚊」に気をつけろと言われますが、虫よけスプレーくらいしか手はないのに、どのように気をつければよいものか...
早いところ流行が収まることを祈ります。

で、23日にポチとした本、注文した時は2-3週間かかりそうと返信が来たので気長に待つか、と思いましたが、今日メールが入って12/1か2にお届けできますと。楽しみです。
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「落石注意」のようなもので・・・・ (MATT)
2012-11-30 02:03:11
きりんさんのように世界を股にかけて飛び回っているかたには心配の種のひとつですね。

本が週末に届けばじっくりと読めますね。きりんさんなら英和辞典も不要ですし。

日本語訳を期待していますよ!
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写真は貴重ですね。 (yutaka)
2013-02-16 23:39:17
120年前となると日本は江戸末期ですか?
侍はまだちょんまげの頃、ハワイのハイカラさんは洋服で保守的な女性はコシミノ姿でしたか、貴重な写真ですね。そう言えば新撰組の坂本竜馬も袴にブーツを履いた写真がありましたね。
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