○宮田四郎さん、と僕
(どうしよう、、! 僕が、礼拝堂の講壇で、弾き歌えるなんて、願ってもないことだ。が、畏れ多いことだ。その上、見知らぬ町の、始めて飛び込んだ教会。さらに、引き受けたものの、演奏者は、日本で超一流の、ホルン奏者だった!
その方の、幕間に、何処の馬の骨かわからぬ駆け出しの、素人、自称路上シンガーの僕が、、、、、? 身に余る、場に不相応な、こと、じゃないか、、。宮田さんのホルンが、横綱なら、僕の弾き語りは、入門したばかりの力士志望者、だ。一気に、舞い上がっていた心が、しぼんでゆく。気後れがして、不安になってきた。 どうしようか、、、!
しかし、いまさら、引き下がるわけにもゆかぬ。
《音楽》については、横綱と、入門かけだし、だが、《人生》を考えてみれば、僕は、それなりに、懸命に歩いてきた。
高校教師、30年。英語教諭。仲間の教師達や生徒やその親から、いっぱい、絆という宝をもらった。語学は、一応、Englishを読み、書き、話す、ことも出来るようになった。が、齢を重ねるごとに、僕は、母語=日本語で、表現したい欲求が、強くなった。今、僕は、母語で、表現する技を磨いている。English は、言葉として興味はあるけれど、母なる言葉に、僕は拠って立ちたい。だから、English は、友なる言葉、になっている。
短期の短期だったが、アメリカ、ロンドン、シドニーに行った。友も出来た。アメリカに、諸教会の人々、Michael, David イギリスに、Ney一家、Richard夫妻,ニュージーランドには、Laurennce and Kumusoo。English を教え、学ぶ課程で出会った友だ。時間をともにして、生まれた絆は、今も続いている。死ぬまでに、一度、必ず、訊ねたい、と思う。
英語の分野で、僕が一流になっていれば、宮田さんと同じだ。表現する行為、で一流になっていれば、宮田さんと同じだ。しかし、英語は、三流、表現は、思いは昔からあっても、本気で、志したばかり。弾き語り、は、ヨチヨチ歩きの赤ちゃん。何ひとつ、いまだ、ものになっていない。宮田さんは、一筋の道を、登り詰め、その道の横綱、、。 どうしよう?
でも、弾き語り、で歌いたい、という思いは、本当だ。誰にも負けないくらいの思い、だ。
ギターの弦の響きが大好きで、それに、人の歌声が合流したら、なおさらだ。
僕は、62才の、素人コピー路上シンガー。死ぬまで、歌い続けたい。もっと、ギターの技を磨き、本当に歌いたい歌を、聴いてくださる人の心に、届けたい。
心の叫び-悲しみ、喜び、苦しみ、怒り、感謝、祈り-を。それは、僕の心の真実だ。上手い、とか、下手だ、とかの問題ではない。人の心に響く、かどうか、が大切なんだ。
2年前、路上で知り合った、工藤慎太郎君、のような歌声が、僕は好きだ。彼は、26才。今、プロの、シンガーソングライターで、弾き語りシンガーだ。ギターも上手い。歌声は、心に染み入る。僕も、彼に近づきたい、一歩でも。僕が、本気で、路上で、ライブハウスで、歌おうと、思ったきっかけは、彼との出会いだった。だから、彼は、今もこれからも、僕の、弾き語りの、師匠、だと思っている。とは言っても、やはり、気後れがする・・・。)
ピアノ伴奏者:高森道子
1989年、岩手大学教育学部音楽家卒業。中学校、小学 校の教諭を経て、現在は市内に在住し、ピアノ教室、合唱指導をしている。
(この方も、音楽一筋、プロ、だ・・・・・・。) 〕
ここで、左のページ=「演奏者のプロフィール」が終わっている。僕は、コーヒーを一杯、たのむ。店に入ったとき、ランチを食べていた、制服姿の、二人の、若い女店員、の話声が消えていた。が、今、店には、僕1人になっていた。
プログラムの、右のページに目を移す。宮田さんが、演奏する曲目、と解説、が書いてある。どれどれ・・・・。
【 Program
♪ホルンと弦楽のための五重奏曲(モーツアルト)
-誰からも愛されている天才作曲家モーツアルトはホルンをとても好んで、 多くの名曲をこの楽器のために作曲してくれました。
(この曲、は知らない。聞いたこともないな・・・)
♪自然における神の栄光(ベートーベン)
-大自然の素晴らしさは創造主の偉大さを表し、賛美しています。
(この曲も、知らない。きっと、聞いたことがないダロウ、。)
♪愛の願い(ベートーベン)
-神よ私たちの愛を見守ってください、という祈りの歌。
(知らない、けれど、聞いてみたい、祈りの歌、、、)
♪教会アリア「恵みもて救いませ」(ストラデラ)
-罪の許しを神に祈る、悔い改めの歌。
(ストラデラ、という名は、始めてだ。でも、悔い改めの歌。僕のための歌みたい、、。聞いてみたい。)
♪アメイジング・グレイス(賛美歌・イギリス民謡)
-奴隷商人が悔い改めて得た驚くばかりの恵み。
(へー、奴隷商人,だったのか!悔い改めて、恵みに涙したのは。知ってる、知ってるぞ♪この曲。 僕の初ライブで共演してくれた慎太郎師匠が、リハーサルの途中で、歌ってくれた曲。それまで、教会でも、聞いたことはあったが、そのとき、始めて、いい曲だな、と感動した。今になってみると、慎太郎師匠は、イギリスだかスコットランドに一年、音楽留学していた、と言っていた。きっと、そこで、出会った曲んじゃないかなー、と思う。この曲なら、ギターで歌えるようになりたいと、ずっと思っていて、つい最近、歌えるようになった。それに、僕なりの翻訳を作った。一平バージョン♪ そうだ、、。 これ、歌おうか・・・? この恵み、を僕も、体験したし。Amazing Grace. 驚くべき恵み。
Amazing Grace
Amazing Grace, how sweet the sound
That saved a wretch like me
I once was lost but now I'm found
Was blind but now I see
あなたの声
僕の、心に、ひびく声
僕の、砕けた、心
ひびく、見えない、あなたの声
僕の、心、がふるえた
日本語は、一平訳です。かなり大胆な訳ですが、僕の、Amazing Grace ,
僕にとっての、恵み、として意訳しました。一平日本語バージョン、です。)
♪誰でも(救世軍賛美曲集より)
-福音(良い知らせ)を伝えるラッパの響き。
(横浜駅西口に、冬になると、ラッパを吹いていた軍服姿の老人がいたなあ。この頃、見かけなくなった。考えてみると、あの方も、路上演奏者、だ、僕みたいに、ギターケースに投げてくれた銭を、生活費の足しにするんじゃなくて、貧しい人々に贈る銭稼ぎだ。崇高で気高いなあ。 この曲、どんなだろう?)
- 休憩 -
(ここで、-休憩-、・・・か。すると、ここで、僕が、歌うことになる。僕の出番は、ここだ。20分ぐらい。4,5曲、と、確か、宮田さんは、僕に言った。フーム、・・・。)
・・・・・つづく。
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