95才の母が、転倒して、前歯を3本折り、口の中を切り、手首を骨折した。
車椅子から立ち上がり、4脚の歩行補助杖で、トイレに向かう途中、
どれか1脚が、何かの上に乗り、母は、体のバランスをくづして、前のめりに倒れた、
と、弟から連絡があった。
その夜、救急車で病院ヘ。
口に中、顔、を手当し、骨折した手首の治療をした,と。
翌日、入院中の母に面会に行った。
ベッドに伏して、スースー眠っていた。
暫く、母の寝顔を、眺めていると、目をうっすら開けた。
目玉が、動いた。僕を見た。
口が少し動いた。
「ア ・キ ・ オ 」と
僕の名を言った。
(僕の本名は、アキオ)
そして、「ミッコは元気か」、と聴いた。
(ミッコとは、僕の妹の名前。精神障害者だ)
「元気だよ。それより母さん、大丈夫かい?」と僕が聞くと、
「ダイジョウブ」と、頭をかすかに縦に動かして、小さなかすれるような声で言った。
1時間ほど、母のそばにいた。
弟夫婦が、やってきた。
ちょうど、夕食の時間だ。
弟嫁が、母の口へ、スプーンで、、病院食を食べさせてあげた。
1時間かかって、
食べたがらない母に、やっと、半分ほど食べさせた。
骨折が治るまで、1ヵ月ぐらいかかる。
90才の時だったか、股関節にボルトを入れる手術をした。
それから、車椅子生活になった、確か。
医者が、母の骨は、70だか60才代、ですよ
と言ったのを思い出した。
あの病室で、母は、何を思い、何を見、何を聞いているだろうか。
この木枯らしの音を聞いているだろうか。
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