一平のペンとギター

僕らしい小説を書き、僕らしい歌をうたう、ぞ♪、ペンとギターの一平です。ギター弾き語りと小説書きの二刀流。

この木枯らしの音を・・・・・。

2012-12-13 22:57:25 | Weblog

 

 95才の母が、転倒して、前歯を3本折り、口の中を切り、手首を骨折した。

車椅子から立ち上がり、4脚の歩行補助杖で、トイレに向かう途中、

どれか1脚が、何かの上に乗り、母は、体のバランスをくづして、前のめりに倒れた、

と、弟から連絡があった。

その夜、救急車で病院ヘ。

口に中、顔、を手当し、骨折した手首の治療をした,と。

 翌日、入院中の母に面会に行った。

ベッドに伏して、スースー眠っていた。

暫く、母の寝顔を、眺めていると、目をうっすら開けた。

目玉が、動いた。僕を見た。

口が少し動いた。

 「ア ・キ ・ オ 」と

僕の名を言った。

 (僕の本名は、アキオ)

 そして、「ミッコは元気か」、と聴いた。

(ミッコとは、僕の妹の名前。精神障害者だ)

 

「元気だよ。それより母さん、大丈夫かい?」と僕が聞くと、

 「ダイジョウブ」と、頭をかすかに縦に動かして、小さなかすれるような声で言った。

 

 1時間ほど、母のそばにいた。

弟夫婦が、やってきた。

ちょうど、夕食の時間だ。

弟嫁が、母の口へ、スプーンで、、病院食を食べさせてあげた。

1時間かかって、

食べたがらない母に、やっと、半分ほど食べさせた。

 

 骨折が治るまで、1ヵ月ぐらいかかる。

90才の時だったか、股関節にボルトを入れる手術をした。

それから、車椅子生活になった、確か。

 医者が、母の骨は、70だか60才代、ですよ

と言ったのを思い出した。

 

 あの病室で、母は、何を思い、何を見、何を聞いているだろうか。

 この木枯らしの音を聞いているだろうか。

 

                

         ♪

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