文化人類学の祖レヴィ・ストロースは、広汎なフィールドワークの中から、人間が行う食材の調理法は三つに大分され、一見どんなに複雑そうに見える料理もそれらの複合に過ぎないことを示したのです。三つというのは、生で食べる、醗酵(腐敗も同じ)させる、熱を加える(煮たり焼いたり油で揚げたりするのがこれ)です。
醗酵も腐敗も同じというのは、例えば酒造りに失敗すると酢が出来るようなもので、要は菌の働きによって食材に化学変化を生じさせ、食用に適した状態に変えるものです。
加熱に関しては火の使用が不可避でこれは一応人間だけが出来る技ということになっています。一部の賢いチンパンジー(?)は火を扱えますが、これはあくまで人間と一緒に暮らしているエイプの話で、幼児もしくはそれ以上の知能を持つ彼らだったら、そのくらいは朝飯前でしょう。
話は変わりますが、魚嫌いで有名だった司馬遼太郎は、晩年の随筆の中で魚をその生前の姿のまま、丸ごと火にかける干物や秋刀魚の塩焼きのような、あんなにグロテスクで残酷な食べ物はないと書いていましたが、これはどうでしょうか?
中華の食材店ではよく、中身のない豚の頭がそのまま飾られていますし、ジャズピアニストの山下洋輔が昔、これも何かの随筆で、生きた豚の群れを熱湯のプールへと追い込むヨーロッパの奇祭に触れています。あっという間に腹をパンパンに腫らした茹で豚が大量に出来上がるわけですから、秋刀魚の塩焼きを非難するのなら、こちらにも言及して欲しいと私は思います。
あれは何で読んだのか、アラブの遊牧民が客をもてなす際の御馳走に三段構えの蒸し焼きがあるということでした。まず駱駝の首を掻き切って殺し、ハラワタをくり抜いて中に羊を入れます。羊のハラワタもくり抜いて中には鶏を入れ、鶏のお腹には米や香草を詰めるのです。そして全体を土中で蒸し焼きにするというのですから、凄いですね。
ちなみに自分が殺されることを知った駱駝は涙を流すそうです。
醗酵も腐敗も同じというのは、例えば酒造りに失敗すると酢が出来るようなもので、要は菌の働きによって食材に化学変化を生じさせ、食用に適した状態に変えるものです。
加熱に関しては火の使用が不可避でこれは一応人間だけが出来る技ということになっています。一部の賢いチンパンジー(?)は火を扱えますが、これはあくまで人間と一緒に暮らしているエイプの話で、幼児もしくはそれ以上の知能を持つ彼らだったら、そのくらいは朝飯前でしょう。
話は変わりますが、魚嫌いで有名だった司馬遼太郎は、晩年の随筆の中で魚をその生前の姿のまま、丸ごと火にかける干物や秋刀魚の塩焼きのような、あんなにグロテスクで残酷な食べ物はないと書いていましたが、これはどうでしょうか?
中華の食材店ではよく、中身のない豚の頭がそのまま飾られていますし、ジャズピアニストの山下洋輔が昔、これも何かの随筆で、生きた豚の群れを熱湯のプールへと追い込むヨーロッパの奇祭に触れています。あっという間に腹をパンパンに腫らした茹で豚が大量に出来上がるわけですから、秋刀魚の塩焼きを非難するのなら、こちらにも言及して欲しいと私は思います。
あれは何で読んだのか、アラブの遊牧民が客をもてなす際の御馳走に三段構えの蒸し焼きがあるということでした。まず駱駝の首を掻き切って殺し、ハラワタをくり抜いて中に羊を入れます。羊のハラワタもくり抜いて中には鶏を入れ、鶏のお腹には米や香草を詰めるのです。そして全体を土中で蒸し焼きにするというのですから、凄いですね。
ちなみに自分が殺されることを知った駱駝は涙を流すそうです。