再会、という出会いがある。
それにかつての恋人同士は簡単に燃え上がってしまう。
エツコはカズオとの逢い引きにとても満足していた。
今の生活に足りないものを満たしてくれるから…そう感じていた。
だけど、時間が過ぎるにつれ、なんとなく違和感を感じるようになってきたエツコ。
私はカズオのことを好きなのかしら?
こうして逢っているととても楽しいのだけれど、
別れた後のむなしさがつらくなる。
それはいつも一緒にいられないから?
いいえ、それとも違う。
この違和感は何だろう?
とエツコは考えるようになった。
そして、時間が出来てもカズオと逢うのを控えていた。
そしてあるときいきなり「私が好きなのはかつてのカズオだ」
と言うことに思い当った。
長い年月がたっているのだから、いくら同じ人間とは言え、多少違っている部分はあるだろう。
そんな、今のカズオを好きになって付き合い始めたはずだった。
だけど、違った。
エツコが求めていたのは若い頃付き合っていた時のカズオだった。
なんだか子どもどうしてじゃれ合っているようなふざけ合っているだけの恋人同士だった。
今にして思えば。
それがとても懐かしい。そして今それが欲しい。
欲しくてもかなわないのである。カズオは昔の彼ではないのだ。
エツコがすっかりおとなになり、世間一般の生活を送り続け、
もう童心などなくなっているかのように見える今、
彼女が欲しがっているのは、まさにそれだったのだ。
お互い邪魔されず好きなだけ逢うことが出来た、あの時間が欲しいのだった。
それに気付いたので、エツコは、どうにもカズオと逢えないでいるのだった。
このまま終わってしまう?
自然消滅?
案外、もっと歳を重ねたら、よく、赤子に帰る、と言うではないか。
そうなったら、また、昔のように、じゃれあうようにふざけ合うように付き合うことが出来るかもしれない。
エツコはそう思った。