日本マクドナルドホールディングスは7日、2014年12月期連結業績予想を発
表した。純損益が170億円の赤字に転落する。赤字は03年12月期の71億2100
万円以来11年ぶり。「チキンマックナゲット」を調達していた中国の食品製
造会社が消費期限切れの肉を使っていた問題の影響を受けた。今年7月に通期
業績を合理的に見積もることができないとして、連結純損益予想(60億円の
黒字)などを撤回し、「未定」としていた。当初2500億円を見込んでいた売
上高予想は2210億円に下方修正し、117億円の黒字を見込んでいた営業損益は
94億円の赤字に変更した。
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もがく「マクドナルド」…世界的に売上急落、日本に続き米トップも交代
産経新聞 10月6日(月)
業績が低迷するなど逆風に苦しむマクドナルド
外食の巨人マクドナルドが吹きすさぶ逆風にあえいでいる。最近の自然食志
向や中国の食品会社の使用期限切れ鶏肉使用問題などで、世界的に売り上げ
が急落し、年間の販売見通しも暗転。さらにトップが交代した日本に続き米
国部門責任者が事実上の引責辞任に追い込まれるなど、日米ともに経営体制
が揺れ動く。危機感を強めるマクドも改革を急いでいるが、浮上のきっかけ
をつかめるか。
■業績予想立たず
「ここまで落ち込みがきついとは…」
アナリストが驚くほど、世界でマクドナルドを展開する米本社が先日発表し
た8月の販売概況は、世界の外食業界や市場関係者に衝撃を与えた。世界の
既存店売上高は前年同月より3・7%減少し、減少幅は7月の2・5%減か
らも拡大。実に11年5カ月ぶりの急落となったのだ。
地域別では、アジア太平洋・中東・アフリカが14・5%減と大苦戦し、本
国の米国も2・8%減とふるわなかった。堅調だった欧州まで、米国との外
交関係が悪化しているロシアでの一部店舗が営業停止した影響で0・7%減
とマイナスに転じてしまった。
日本の状況も深刻だ。日本マクドナルドホールディングスによると、8月の
既存店売上高は25・1%減と、平成13年の株式上場以来、最大の落ち込
みとなった。関係者によると、とくに土日など休日の集客の不振が目立った
という。今年上期の最終利益は前年同期比59%減の18億円と激減。6月
まで上昇基調だった株価も、夏場に入ってから一転して低迷し、投資家も気
をもむ展開が続く。
逆にライバルのモスバーガーは業績も堅調で、ハンバーガー業界ではマクド
の苦戦が際立っている。
マクドの業績を直撃したのが、中国の使用期限切れ鶏肉使用問題だ。仕入れ
先の食品会社の上海福喜食品が期限切れの鶏肉を使用していたため、中国は
もちろん日本でも客足が遠のいたことが響いた。
日本マクドナルドホールディングスも影響を見極めきれず、通期の業績予想
を「未定」とする異例の事態に追い込まれている。さらに日本では、一部の
商品で料金を過剰に徴収していたことも発覚し、批判にさらされている。
■事実上の更迭?
また、経営の迷走の背景に指摘されるのが、経営体制をめぐる動揺だ。
マクド米本社は8月、傘下の米国マクドナルドのジェフ・ストラットン社長
が10月15日付で退任すると発表した。理由は明らかにされていないが、
ストラットン氏は2012年12月に就任したばかり。2年もたたずに退任
するのは、グループの屋台骨を支え、社員が仰ぎ見る米国トップとしては異
例といえる。ただ米国部門は長く業績不振が続いており、「事実上の更迭」
(アナリスト)との見方が市場では出ている。
日本マクドナルドも昨年8月に原田泳幸氏が中核事業会社の社長兼CEO
(最高経営責任者)を退任した。平成16年に社長に就任し、業績をV字回
復させてきた原田氏だが、24年から2年連続の減収減益に転じた。今年3
月には持ち株会社の社長も退いた。
原田氏の後任には、元カナダ法人女性幹部のカサノバ氏が就いたが、そのカ
サノバ氏も社内外で評判が今ひとつ。中国の期限切れ食肉問題をめぐっては、
即座に記者会見を開かず、中間決算発表会見で謝罪したが、「マクド自身も
被害者であることを強調するような口ぶりが目立った」(業界関係者)こと
で、印象を悪くした感がある。
世界で事業展開するマクドの「総帥」である米本社のトンプソンCEOが
2012年7月に就任してから、マクドの変調が鮮明になったとみる業界
関係者も少なくない。マクドの株価を3倍近く引き上げるなどカリスマ的
な手腕を発揮したスキナー前CEOと比較されるのは気の毒だが、それに
比べてトンプソン氏の実績は物足りなさがどうしてもつきまとう。