次の衆議院選挙で政権党を決めることとして、それまで国の政治を不安定とする衆参ねじれは阻止されるべき
《支持率下落で菅氏が八つ当たり「報道がしっかりしていれば国民に理解される」》(msn産経/2010.5.18 13:01)
鳩山内閣支持率下落を、要するに幻滅の程度を記者から問われて、菅直人副総理兼財務相が18日午前の記者会見で次のように答えたと伝えている。
菅直人「少なくとも政権を担当した時点から比べれば、かなり景気も改善しているし、一歩一歩前進している。報道がしっかりしていれば国民に理解されるのではないか」
「私の職責では、日本経済を持続可能な形で軌道に乗せることが重要だ。それが国民の信任を得ることになる」
記事は最初の発言を、〈メディアによる報道の在り方に問題があるとの認識を示した発言で、「八つ当たり」との指摘も出そうだ。〉と解説。
確かに景気は改善している。しかし主として中国を筆頭としたアジア向け外需が中心の他力本願な緩やかな景気回復で、国内的には自民党政権から受け継いだ省エネ自動車に対するエコカー制度と省エネ家電に対するエコポイント制度を受けた対象製品に対する消費拡大を主体とした部分的な景気回復であって、民主党政権の関与は少ないばかりか、そのような部分的な景気回復が全般的な個人消費の拡大や雇用の創出拡大に確実につながっているとは言えない状況にある。
このことは3月の完全失業率(季節調整値)が前月比0.1ポイント悪化の5.0%という数値傾向や昨今の新卒者の内定取り消しと厳しい就職状況、2011年春の新卒採用が抑制傾向あるという状況、4月の大手衣料品チェーンやデパート等の流通各社の売上げが大幅に減少しているマイナス状況等に正直に表れている。
だからこその部分的な景気回復なのだが、民主党政権の政策に限っていうと、公立高校授業料無償化の影響で教育関連の物価が大幅に下落しているという指摘もある。貧乏人にとっては福音だが、企業経営の足を引っ張り、景気に悪影響を与えるデフレからの脱却に民主党政権は力を発揮しているとは言えない。
要するに、「少なくとも政権を担当した時点から比べれば」と偉そうには言えない景気動向にある。
民主党政権は雇用政策として(1)介護労働の雇用者数拡充 (2)公共事業削減に伴う建設・土木労働者の農林業などへの転職支援 (3)生活保護の受給促進などの「貧困層」対策を掲げた。
(3)の「生活保護の受給促進」では成果を挙げている。今年10年2月に生活保護を受けた世帯は、全国で132万9337世帯に上り、前の月より1万576世帯増えて過去最多(《生活保護 最多の132万世帯》NHK/10年5月16日 11時42分)となる成果である。
記事は次のように伝えている。〈増えた世帯の内訳は、
「高齢者」が1475世帯、
「母子家庭」が1148世帯、
「障害者」が951世帯で、
「その他の世帯」(失業者を含む)4901世帯〉
〈生活保護を受ける世帯は、雇用情勢が悪化した影響で急増しており、月ごとの増加世帯数は去年3月から12か月連続で1万世帯を超え〉、〈これに伴って、生活保護を受けている人数も、前の月より1万5701人増えて184万3353人とな〉っていると。
だが、生活保護世帯の増加は不況の裏返しとしてある状況であって、いくらセーフティネットとは言え、景気対策が効果を上げていないことの証明でしかない。
(1)の「介護労働の雇用者数拡充」に関して言うと、菅直人は2009年10月11日の朝日テレビ『サンデープロジェクト』に出演、介護労働者の賃金を、「我が党は月収にして4万円を引き上げるということを公約にしている」と偉そうに確約していたが、その公言の実現のために政府は「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」として今年4月に介護報酬の3%引き上げを行ったのだろうが、それが介護従事者の給与アップに直接つながっているとは言えない状況にある。
いわば介護報酬3%引き上げが介護事業運営資金に大方吸収されてしまっているという。
(2)の「公共事業削減に伴う建設・土木労働者の農林業などへの転職支援」にしても、生活保護世帯の増加と併せて、《1年以上失業114万人=職探し長期化-総務省1~3月期調査》(時事ドットコム/2010/05/18-18:21)が、総務省の昨18日発表の労働力調査(2010年1~3月期平均)として、完全失業者(332万人)のうち期間1年以上の長期失業者は前年同期比23万人増の114万人で、四半期ベースで過去3番目に多い水準であったこと、100万人を超えたのは05年1~3月期以来5年ぶりで、増加幅は02年の調査開始以来、最大であると伝えて、記事の最後に書いている総務省の「職がなかなか見つからず労働市場に長期間滞留する失業者が多く、さらに増える可能性もある」という失業者が減らない状況からも、「建設・土木労働者の農林業などへの転職」が必ずしも成功していないことを物語っている。
改めて菅直人が言った「少なくとも政権を担当した時点から比べれば、かなり景気も改善している」を見てみると、どう逆立ちをしても妥当性を著しく欠く手前味噌な発言だと分かる。
こういった発言をするということは客観的判断能力をも欠くからだろう。
繰返しになるが、景気回復は主として中国を筆頭としたアジア外需の恩恵としてある。だとしても、特に中国の力強い経済活動に対する安心感が支えとなって日本の景気の先行きに微かな希望を見い出している状況に反して、支持率が下がる状況をこそ問題としなければならない。
菅直人は「報道がしっかりしていれば」ではなく、「鳩山首相がしっかりしていれば国民に理解されるのではないか」と言うべきではなかったか。閣僚の一員として言えないというなら、「報道がしっかりしていれば」も言うべきではなかった。わざわざ断るまでもなく、「報道」が原因ではないからだ。バカな男だ。
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