安倍晋三は対北朝鮮「圧力、圧力」と騒がずに日本上空や経済水域飛来のミサイルは撃墜すべきではないのか

2017-09-16 12:20:18 | 政治
  
 【謝罪】2017年9月15日の当「ブログ」冒頭部分で、最初は9月7日のウラジオストクでのプーチンとの首脳会談後に一般的には行こなわれる内外記者会見は行われなかったと書き、少し後の方で、〈ネットで日ロ共同記者会見の動画を見つけて、文字に起こしてみた。〉と書いたが、間違っていました。1時間程度後に冒頭部分に〈幾つかのマスコミが「会談後の共同記者発表で」と、共同発表が行われたことは伝えている。〉と新たに一節を書き加えて、現在の文章、〈ネットで日ロ共同記者発表の動画を探したところ、「共同記者会見」という名称で見つけることができて文字に起こしてみたが、共同記者発表の間違いではないかと思う。発言から、日ロ平和条約締結議論が何ら進展していないことが分かる。文飾は当方。〉と書き直しました。訂正以前に矛盾した文章を読むことになった読者に謝罪します。

 北朝鮮は国際社会の警告、国連安保理の制裁にも関わらずミサイルの発射実験を続けている。8月26日、2017年に入って12回目となる短距離弾道ミサイル3発を発射、1発は発射直後に爆発したものの、2発は250キロ飛来して日本海に着水させている。

 3日後の8月29日に中距離弾道ミサイル「火星12号」を何の予告もなく発射、ミサイルは北海道上空を通過して襟裳岬から1180キロ沖の太平洋上に落下させている。

 この立て続けのミサイル発射と5回目となる日本上空飛行に安倍晋三は北朝鮮に対する圧力強化を主張、国際社会に圧力強化を訴えた。

 文飾は当方。

 安倍晋三政府としては、ミサイル発射直後からミサイルの動きを完全に把握しており、国民の生命を守るために万全の態勢を取ってまいりました。

 我が国を飛び越えるミサイル発射という暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なうものであり、断固たる抗議を北朝鮮に対して行いました。国連安保理に対して緊急会合の開催を要請します。国際社会と連携し、北朝鮮に対する更なる圧力の強化を日本は強く国連の場において求めてまいります

 安倍晋三は3回もトランプと電話会談して、3回共、圧力強化で認識を一致させている。圧力万能であるかのように。

 いや、「圧力強化、圧力強化」と言い立てていたのだから、“圧力万能信仰”に取り憑かれているのだろう。

 北朝鮮は国際社会の軍事行動の可能性を含めたこのような圧力一辺倒の姿勢にも関わらず、5日後の9月3日午後、水爆実験を行う強硬姿勢を見せた。北朝鮮側から言うと、日本を含めた西側の圧力をモノともしなかったのだから、安倍晋三の“圧力万能信仰”は効き目がなかったことになる。

 だが、安倍晋三は国連安保理に対して緊急会合の開催を要請して、「国際社会と連携し、北朝鮮に対する更なる圧力の強化を日本は強く国連の場に於いて求める」と“圧力万能信仰”を揺るぎなく掲げ続けた。

 国連安保理は翌9月4日から緊急会合を開催、日米両国が新たな圧力となる対北制裁決議の採択を求めた。

 「9月5日外相記者会見」(外務省) 

 記者「北朝鮮,核実験をめぐって、昨日,日本時間の遅くですが、安保理緊急会合がありました。アメリカ側から強い制裁を含むものを11日に提出したいということがありまして、一方で中露の対応がですね、また焦点になるかと思いますが、まず会合の受け止めと・・・」

 河野太郎「会合では、北朝鮮に対する強いメッセージということになったと思っております。アメリカから新たな決議案が出てくるということで、ニューヨークではその採択に向けて、様々な調整が行われると思っております」

 河野太郎は安保理が緊急会合を開いて、アメリカが新たな強い対北制裁案を提出するというだけで「北朝鮮に対する強いメッセージ」になったと見ていた。

 安倍晋三はロシアのウラジオストクで開催される東方経済フォーラムとプーチンとの首脳会談に向けて出発する前の9月6日、首相官邸のエントランスでぶら下がり会見を受けている。

 安倍晋三「北朝鮮は、今の政策を進めていく、今の道を進んでいくのであれば、明るい未来はないということを理解させ、現在の政策を変えさせなければなりません」

 勿論、強力な圧力そこが「明るい未来はないということを理解」させる最も有効な手段だという“圧力万能信仰”に基づいた発言でなければ対北朝鮮姿勢に一貫性を欠くことになる。

 国連安保理は9月11日、北朝鮮に対する新たな制裁決議を全会一致で採択した。その決議はアメリカの当初案よりも後退していたものの、それでも北朝鮮にとっては厳しい経済制裁となるはずだったし、安倍晋三も官房長官の菅義偉もそう見ていた。

 安倍晋三「北朝鮮に対する格段に厳しい制裁決議が迅速に全会一致で採択されたことを高く評価する。今後、国際社会でしっかりとこの決議を履行していくことが求められる。

 北朝鮮に対し、これまでにない高いレベルの圧力をかけ、北朝鮮の政策を変えさせることが大切だ。そのために今回、国際社会が連携・連帯し、明確な意思を示すことができた。今後も各国と緊密に連携しながら、北朝鮮の政策を変えさせるべく日本もそのリーダーシップを発揮していきたい」(NHK NEWS WEB)  

 決議を以てして「国際社会が連携・連帯し」、対北朝鮮圧力の「明確な意思を示すことができた」。その意思を実効あらしめるためには決議の完全履行が求められると、履行されさえすれば、北朝鮮を追い詰め、ミサイルと核の放棄に繋がると見た。

 “圧力万能信仰”に則った発言そのものとなっている。

 菅義偉「今回の決議では初めて、北朝鮮への原油・石油の供給量の上限が設定されるなどしており、今回と過去の決議を完全に実施した場合、北朝鮮の輸出による外貨収入の約90%の削減が見込まれる。引き続き日米韓で連携しつつ、中国・ロシアとも協力し、決議の完全なる実施の確保のために力を尽くしたい」(同上)

 「北朝鮮の輸出による外貨収入の約90%の削減が見込まれる」という計算は北朝鮮経済に相当な打撃を与えることができるという期待でもあり、次にミサイル開発放棄・核開発放棄への期待を置いていることになる。

 安倍晋三も菅義偉も、安保理が緊急会合を開いただけで「北朝鮮に対する強いメッセージ」になったと見た河野太郎も含めて、これで北朝鮮は音を上げるだろうと少なくとも期待を込めたはずだ。
 
 音を上げさせることを目的としない圧力強化・安保理制裁決議というものは努力する意味を失わせる。

 北朝鮮は9月11日の国連安保理対北朝鮮制裁決議全会一致採択から僅か4日後の9月15日午前6時57分頃、全部で6回目となる北海道上空通過、太平洋沖落下の中距離弾道ミサイルの発射実験を再び何の予告もなしに行った。しかも飛距離を1000キロも伸ばし、グアムを射程距離に優に収めることになった。

 北朝鮮が再び行った北海道上空通過のミサイル発射当日の9月15日に安倍晋三は官邸エントランスでぶら下がり記者会見を行っている

 安倍晋三「先般の国連決議で示された国際社会の一致した平和的解決への強い意志を踏みにじり、北朝鮮が再びこのような暴挙を行ったことは断じて容認できません。安保理に対して緊急会合の開催を要請します。

 世界の平和を脅かす北朝鮮の危険な挑発行為に対して、国際社会で団結して、一致して、明確なメッセージを発しなければなりません。今こそ国際社会の団結が求められています。

 先般の制裁決議を完全に履行しなければならないことが改めて明らかになりました。北朝鮮がこの道を更に進めば明るい未来はない、そのことを北朝鮮に理解させなければなりません。

 今回も、日本政府は、ミサイル発射直後からミサイルの動きを完全に把握しており、万全の態勢をとっておりました。

 引き続き強固な日米同盟の下、緊張感を持って、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります」

 安倍晋三は北朝鮮の9月3日午後の水爆実験後に「北朝鮮は、今の政策を進めていく、今の道を進んでいくのであれば、明るい未来はないということを理解させ、現在の政策を変えさせなければなりません」と、圧力を強化していくことで「明るい未来はない」ことを思い知らせるという意味合いの警告を発していたが、今回の弾道ミサイル発射でも繰返す形で同じ警告を発している。

 水爆実験と今回の弾道ミサイル発射の間に国連安保理によるより厳しい対北朝鮮制裁決議の採択があった。と言うことは、制裁決議という圧力を以てしても警告が役に立たなかった、あるいは効き目がなかったにも関わらず、繰返し同じ警告を発し、しかもなお圧力を強めていく姿勢を見せたことになる。

 安倍晋三の警告が役に立たなかった、あるいは効き目がなかったことは安保理制裁決議採択から僅か4日後という極く短い日数に如実に現れている。発射が安保理制裁決議採択への反発であったとしても、経済制裁を恐れていないという金正恩の強い意志表示を示してもいるはずだからだ。

 もし恐れていたなら、決議が履行されるかどうか暫く様子見をして、これなら大丈夫と判断したところでミサイル発射なり核実験を行うなりするだろう。ところが、3日という日数を間に置いただけでミサイル発射の挙に出た。

 一方の金正恩が経済制裁を恐れない姿勢を頑固に守って、それが虚勢であったとしても、虚勢の方が却って始末に悪いのだが、弾道ミサイル発射実験や核実験を強硬に繰返して、もう一方の日米等が“圧力万能信仰”一辺倒で行き着くところまで圧力を強めていった場合、軍事的解決という手段も真剣に検討されるだろうから、このような事態進行の過程で当然、衝突の危険性は高まっていき、北朝鮮の暴発という最悪の場面を迎えない保証はない。

 暴発の場合の被害は韓国、日本、日本駐留の米軍が最も大きく受けると言われている。そうなってからでは遅いのであって、“圧力万能信仰”は却って国民に仇をなすことになる。

 安倍晋三はいくら圧力を強めても、ミサイル開発と核開発断念のところで終わりを告げるとでも考えているのだろうか。戦前の日本軍は戦況が最悪の状況に陥り、もはや戦争を維持する能力を失った後も戦争継続に拘り、却って犠牲者の数を多くし、被害を広げることになった。

 圧力一辺倒が招きかねない北朝鮮の暴発を防ぐには北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する技術を獲得する前に日本上空や経済水域飛来のミサイルは破壊措置命令を出して、韓国や日本海巡回の米軍艦艇とも協力して、日本の場合は海上自衛隊イージス艦の海上配備型スタンダード・ミサイルSM-3か、航空自衛隊の地上配備型のパトリオット・ミサイル3(PAC3)のいずれかの迎撃ミサイルで、あるいは双方を使って撃墜すべきではないだろうか。

 兎に角政府は閣議決定した答弁書で日本の弾道ミサイル防衛システムを100発100中の論理で装わせているのだから、撃墜が不可能ということはないはずだ。

 迎撃することによって、いくらミサイルを開発してもムダであること北朝鮮に思い知らせることができる。迎撃ミサイルのなお一層の性能向上にも役立てることができる。

 もし北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する技術を獲得以後迎撃ミサイルで破壊したとしても、その場合は破壊された核弾頭からの放射性物質が風向きによって朝鮮半島に達したり、日本に飛来してくる恐れが出てくる。福島の東電の比ではない拡散を考えなければならない。

 安倍晋三は前回の5回目となる日本上空ミサイル発射後に「政府としては、ミサイル発射直後からミサイルの動きを完全に把握しており、国民の生命を守るために万全の態勢を取ってまいりました」と言い、今回6回目も同じとことを発言しているが、この言葉の有効賞味期限は北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する技術の獲得以前であり、尚且つ暴発以前ということを肝に命じておかなければならない。

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