次期衆議院議員選挙 争点とすべき 2つのこと ◎森友・加計政治関与疑惑にまみれた 指導者を続投させるべきか否か ◎成長実感ゼロのアベノミクスを 効果があると見せかける幻想に 今後も付き合うべきか否か |
副総理でございます、財務大臣でございますの麻生太郎(77歳)の朝鮮半島有事の際に日本に大量に殺到する可能性のある難民対策についての発言を各マスコミが伝えている。
それぞれ短い記事だから、全文を紹介してみる。難民に関わる発言個所は文飾を施した。
《麻生副総理「警察か防衛出動か射殺か」 武装難民対策》(朝日デジタル/2017年9月24日01時20分) 麻生太郎副総理は9月23日、宇都宮市内での講演で、朝鮮半島から大量の難民が日本に押し寄せる可能性に触れたうえで、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と語った。 麻生氏はシリアやイラクの難民の事例を挙げ、「向こうから日本に難民が押し寄せてくる。動力のないボートだって潮流に乗って間違いなく漂着する。10万人単位をどこに収容するのか」と指摘。さらに「向こうは武装しているかもしれない」としたうえで「防衛出動」に言及した。 防衛出動は、日本が直接攻撃を受けるか、その明白な危険が切迫している「武力攻撃事態」などの際に認められており、難民対応は想定していない。 麻生氏は先月、「少なくとも(政治家になる)動機は問わない。結果が大事だ。何百万人も殺しちゃったヒトラーは、いくら動機が正しくてもダメなんだ」と発言し、撤回していた。 |
《麻生氏「武装難民の射殺」に言及…朝鮮半島有事》(YOMIURI ONLINE/2017年09月23日 22時01分) 麻生副総理兼財務相は23日、宇都宮市内のホテルで講演し、朝鮮半島有事で難民が日本に押し寄せた場合の対応について、「武装難民かもしれない。警察で対応できるか、自衛隊の防衛出動か、射殺ですか。真剣に考えた方がいい」と述べた。 難民が武装していた場合に国民の安全を確保する重要性を強調した発言だが、防衛出動や「難民の射殺」に言及したことは不適切だと指摘を受ける可能性もある。防衛出動は、自衛隊法により、日本が外国から武力攻撃を受けるか、武力攻撃の明白な危険が切迫している「武力攻撃事態」などの場合に認められており、難民に対する発動は想定していない。 |
《麻生副総理、過激に問題提起 北有事での武装難民対策に「射殺か」》(サンスポ/2017.9.24 05:01) 麻生太郎副総理兼財務相(77)は23日、宇都宮市で講演し、北朝鮮で有事が発生すれば日本に武装難民が押し寄せる可能性に言及し「警察で対応できるか。自衛隊、防衛出動か。じゃあ射殺か。真剣に考えた方がいい」と問題提起した。 北朝鮮有事について「今の時代、結構やばくなったときのことを考えておかないと」と指摘。「難民が船に乗って新潟、山形、青森の方には間違いなく漂着する。不法入国で10万人単位。どこに収容するのか」と強調した。その上で「対応を考えるのは政治の仕事だ。遠い話ではない」と述べた。 |
《麻生氏「武装難民来たら射殺か」=半島有事対応で》(時事ドットコム/2017/09/23-22:22) 麻生太郎副総理兼財務相は23日、宇都宮市内で講演し、朝鮮半島有事で想定される難民の発生に関し、「(日本に来たら)どう対応するか。武装難民かもしれない。警察で対応できるか。自衛隊の防衛出動か。じゃあ射殺か。真剣に考えた方がいい」と語った。北朝鮮情勢の緊迫化を受け、難民対応についての議論を喚起した発言だ。 麻生氏は難民について「どう対応するか。不法入国で逮捕といっても10万単位をどこに収容するのか」とも語った。 |
発言を纏めてみる。
麻生太郎「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない。
今の時代、結構やばくなったときのことを考えておかないと。向こうから日本に難民が押し寄せてくる。動力のないボートだって潮流に乗って難民が船に乗って新潟、山形、青森の方には間違いなく漂着する。不法入国で逮捕といっても、10万人単位をどこに収容するのか。
向こうは武装しているかもしれない。対応を考えるのは政治の仕事だ。遠い話ではない」
纏めると、大体こういった趣旨の発言となる。
北朝鮮国民の大量難民発生は朝鮮半島有事が原因となる。朝鮮半島有事の考え得る原因は北朝鮮の軍事的暴発かアメリカの北朝鮮に対する軍事攻撃とそれに対する北朝鮮の反撃という形を取ったアメリカの同盟国日韓も巻き込むことになる戦争以外は考えることができない。
前者は北朝鮮のミサイル開発・核開発阻止に対話政策ではなく、開発資金遮断を目的とした経済的に追い詰める圧力政策を掲げた日米その他の国が主導権を握って採択に漕ぎつけた国連安全保障理事会加盟国の対北朝鮮制裁決議の厳格な履行によって経済的にギリギリまで追い詰められた末に金正恩が独裁者のよくある傾向として屈服を屈辱と取ってそれしかないと考えた場合の残された選択肢としての軍事的反攻――戦前の日本と同様、軍事力の大差から終局的には勝てるはずのない自滅をそれ相応とする暴発に過ぎないのだが――に出て、逆に日米韓の軍事的猛攻に遭い、その騒動・混乱から逃れる形で生み出されることになる大量難民の発生であろう。
後者は国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議の厳格な履行にも関わらず、金正恩がミサイル開発と発射実験、核開発と核実験を中止せずに米本土に優に届くミサイル開発とミサイルに核搭載の技術を十二分に獲得していく過程のいずれかの時点で、あるいは獲得した時点でトランプが米国の安全保障上の最大の危機とするレッドライン(越えてはならない一線)を超えたと判断して、北朝鮮に対する軍事攻撃を行った場合の大量難民の発生ということになる。
そして前者・後者いずれのケースでの大量難民の発生であっても、元を正すと、国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁決議を全会一致で採択することになった日米その他の国が主導した対話政策を排除した圧力政策が出発点ということになる。
さらにいずれのケースでの大量難民の発生であっても、難民大量発生の前提として北朝鮮の対日本軍事攻撃も考えなければならない。日本軍事攻撃の進行と共に難民は増えていくことになる。
麻生太郎は単細胞にも原因も触れずに大量難民の発生に言及しているが、原因もなく大量難民は発生しない。そして出発点となるそもそもの原因が対北圧力政策であるなら、アメリカのトランプと共に日本の安倍晋三がその主導に熱心に加わっているいる事実から判断して、大量難民発生を安倍晋三の圧力一辺倒の政策と、少なくとも可能性として関連付けなければならなかったはずだ。
安倍晋三の2017年9月20日の「国連総会一般討論演説」(外務省)
安倍晋三「対話とは,北朝鮮にとって,我々を欺き,時間を稼ぐため,むしろ最良の手段だった。
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対話による問題解決の試みは,一再ならず,無に帰した。
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北朝鮮に,すべての核・弾道ミサイル計画を,完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法で,放棄させなくてはなりません。
そのため必要なのは,対話ではない。圧力なのです」――
安倍晋三のそれだけで突き進むことを頭から決め込んだ「圧力」が北朝鮮ミサイル開発・核開発阻止の唯一の答と見做すのみで、想定しなければならない北朝鮮の対日本攻撃もあり得る軍事的暴発も、トランプの対北朝鮮軍事攻撃の可能性もいずれも答としない“圧力性善説”張りの圧力一辺倒の訴えの単純思考・思考回路不足にも感心するが、朝鮮有事の際に日本に殺到する可能性のある大量難民を恐れるなら、難民発生回避の対話政策を訴えるか、その政策が安倍晋三と同様に金正恩のミサイル開発・核開発を逆に有利にすると考えるなら、こういった事情を前置きした上で難民発生に対処しなければならないはずだが、そこまでは頭を回転させることができない麻生太郎の単純思考・思考回路不足にも感心しないわけにはいかない。
原因と結果を突き合わせることができず、そのために原因と切り離して大量難民発生の結果だけを取り上げることになっているから、安倍晋三の圧力強化一辺倒政策と関連付けることも、その影響が難民発生の原因だけではなく、日本攻撃の原因となり得ることもを考えることもできずに対処方法だけをあれこれ言うことになるハンパな問題意識しか提示することができない副総理・財務大臣というのは一体何を意味するのだろうか。