いよいよ軍国主義・国家主義の顔をより露わにした安倍晋三の防衛力増強安全保障政策

2013-12-18 05:55:16 | Weblog



 政府は12月17日、閣議に先立って国家安全保障会議を開催、「国家安全保障戦略」と「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「平成26年度から平成30年度までを対象とする中期防衛力整備計画」を審議、閣議決定を行った。

 ここでは対立が険悪化の方向一方に進んでいる中国との関係に於ける安倍晋三の中国に対する防衛上の位置付けとその外交能力を見てみる。 

 閣議決定した《平成26年度以降に係る防衛計画の大綱(概要)(案)》は【調整中】と赤文字で大きく書いてあるが、中国についての記述は次のようになっている。

 〈中国は、継続的に高い水準で、国防費を増加させ、軍事力の広範かつ急速な近代化を十分な透明性を欠く形で推進。また、海空域における活動を急速に拡大・活発化し、力を背景とした現状変更の試み。こうした軍事動向ついては、我が国にとって、今後も強い関心を持って注視していく必要。また、地域・国際社会の安全保障上も懸念されるところ。〉――

 書いてあることはいつも安倍晋三が言っていることと同じである。

 そして結論の一つとして、次のように記述している。
 
 〈主要国間の大規模武力紛争の蓋然性は引き続いて低いと考えられる一方で、安全保障上の課題や不安定要因がより顕在化・先鋭化。我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増している。〉――

 そして「防衛の基本方針」で、〈我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本方針に従い、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備。〉とし、護衛艦を48隻から54隻、作戦用航空機を490機から530機、うち戦闘機を260機から280機、オスプレイ17機、米軍の情報収集無人偵察機グローバルホーク3機、その他を増強する計画を立てている。
 
 このような日本の国家安全保障上の中国の軍事的存在に対する位置付けとその軍事的対抗としての防衛力増強と“統合的”と称するその運営方針を安倍晋三の軍国主義・国家主義の顔をより露わにした安全保障政策だと言うのは、特に中国に対する「安全保障上の課題や不安定要因」の「より顕在化・先鋭化」は尖閣諸島の国有化に単を発しているものの、安倍晋三自身の歴史認識や中国批判が大部分関わってつくり出した状況でもあるからであって、そのような状況を外交の力によって逆方向に舵を切るのではなく、防衛力増強によって対抗しようとする意志を強めているからだ。

 歴史認識で戦前の日本を正当化し、尖閣の領有権問題等では声高に中国を批判する一方向のみで、こういったことは対立激化・険悪化には役立っても、直接対話の方策を自ら狭める結果を招くことにしか役立たず、結果として中国に対する立ち往生をつくり出して、関係改善の方策を何一つ見い出すことができない外交となっている。

 いわば中国との関係悪化は安倍対中国外交の拙劣な成果であろう。

 国家の安全保障の柱は外交と防衛力と経済である。それぞれに重要な安全保障上の要素ではあるものの、その先頭に位置する要素は外交であるはずである。謂われもなく突然戦争を仕掛けてくる狂犬国家は例外として、国際秩序を重んじなければならない今の時代に於いて戦争を招くも招かないも、あるいは関係悪化も関係改善も多くは外交の力にかかっている。

 だが、国家的に外交が見るべき能力を持ち得ていない状況下では必然的にその能力不足を防衛力で補おうとする力が働く。

 安倍政権下の今の日本がそういった状況にあるはずだ。

 安倍晋三は12月16日、《ふるさとの風コンサート ~「北朝鮮拉致被害者」救出を誓う音楽の集い》で、拉致問題に関しての発言だが、次のように言っている。

 安倍晋三「私は総理に就任して1年間、150回以上首脳会談を行いました」――

 安倍晋三は自身の外交能力を誇るとき、訪問国数や首脳会談数を持ち出す。こういった機械的算術による積み重ねの回数を持ち出して外交成果とすること自体、外交能力の劣悪さの証明以外の何ものでもないが、その回数が安全保障上喫緊の課題とされている中国や韓国との関係改善の外交に何ら役立っていないことに気づかない判断能力の持ち主である。

 「国家安全保障戦略(概要)(案)」では中国に対しては中長期的には戦略的互恵関係の構築を謳ってはいるものの、構築実現自体が安倍晋三の外交能力にかかっているはずだが、外国にまで出かけて中国批判一方の外交しか見せることができないことから考えると、単なる謳い文句で推移する可能性が高い。

 外交という力を発揮できないまま、そのことを置き去りにして「充実」とか「整備」とかの名のもとに防衛力の増強を図った場合、相手国も同じ線上での増強で対抗することになり、そこに自ずと軍拡競争が発生しない保証はない。

 外交の力の発揮を自ら遮断した状況下での防衛力増強にしても軍拡競争にしても、安倍晋三が元々素地としている軍国主義・国家主義の顔をより露わにすることになる。

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