特定秘密保護法は秘密指定情報の保存期間満了前廃棄とすることによって恣意性をなお隠蔽可能とする

2013-12-07 08:22:15 | 政治



      生活の党PR

      《12月2日(月)小沢一郎生活の党代表定例の記者会見》
   
      『特定秘密保護法を覆すには総選挙で勝つ以外ない』

      【質疑要旨】
      ・特定秘密保護法案に対する反対の動きについて
      ・石破自民党幹事長の発言について
      ・特定秘密保護法案と安倍政権支持率に対する世論調査のねじれについて
      ・中国の防空識別圏設定について

      《12月8日(日) 鈴木克昌代表代行・幹事長『日曜討論』(NHK)出演のご案内》

       時 間 9:00~10:00
       内 容
        ○臨時国会について
        ○日本の安全保障と日米同盟について
        ○経済対策について等

 特定秘密指定の恣意性の懸念を内包したまま特定秘密保護法案が2013年12月6日深夜、参議院本会議で可決・成立した。右翼の軍国主義・国家主義のキバを剥いていた安倍晋三に軍国主義・国家主義の勝利を与えた瞬間である。

 安倍晋三は特定秘密指定の恣意性の懸念を払拭し、防止する組織として3機関の設置を約束した。

 《情報諮問会議、年明け設置=「第三者機関」は1年以内-政府》時事ドットコム/2013/12/07-01:02)、その他から見てみる。

 「情報保全諮問会議」(有識者会議)
 目的・役目――政府が特定秘密の指定・解除の運用基準を策定する際、首相に意見を述べる
 メンバー――5人以上の有識者
 設置場所――政府内
 設置時期――年明け

 問題点――実際に秘密に触れて妥当性をチェックする権限を持たない

 「情報保全監察室」
 目的・役目――秘密指定の妥当性のチェック
 メンバー――室長は行政機関の課長級、外務、防衛両省や警察庁等の職員。20人規模
 設置時期――今後1年以内の法施行まで
 設置場所――内閣府
 政府の位置づけ――「独立性の高い第三者機関」

 ※将来的に内閣府設置法を改正、「局」への格上予定

 問題点――メンバーが機密情報を扱う出身省庁相手に厳格な検証ができるかは不透明。 

 「情報保全監視委員会」
 目的――各行政機関による『特定秘密』の指定・解除の状況、適性評価の実施状況のチェック(NHK NEWS WEB
 設置場所――内閣官房
 メンバー――トップ官房長官、外務、防衛両省の事務次官と警察庁長官、公安調査庁長官、内閣情報官となる見通し。

 こう見てくると、「情報保全諮問会議」を除いて、「情報保全監察室」にしても、「情報保全監視委員会」にしても、その目的・役目からして、秘密指定に対する妥当性のチェックが働いて、指定に於ける恣意性の入り込む余地はないように見える。

 だが、後者両組織共にメンバーは身内である。唯一身内外をメンバーとする「情報保全諮問会議」は政府の特定秘密指定・解除運用基準策定に於ける首相への意見陳述を役目とするに過ぎない。

 秘密指定・解除の妥当性のチェックを役目とする政府組織で身内が身内をチェックする。既にマスコミや識者が指摘しているように果たして厳格な運用が期待できるだろうか。逆に政府の都合に合わせる危険性の方が高いはずだ。

 大体が政府が「独立性の高い第三者機関」と位置づけた「情報保全監察室」を身内の官僚で固めている逆説は滑稽ですらある。

 政府の都合に合わせた運用である場合、当然そこには厳格な運用を離れた恣意性が関与することになる。いわば秘密指定・解除に於ける恣意性を最も素通りさせやすい点がチェック側のメンバーが身内であるというところにあるはずだ。

 要するに秘密指定・解除の厳格なチェックは期待できないことになる。期待できなければ、それぞれは形骸化した組織として運営・存続することになる。

 このような可能性の高いところへ持ってきて、次のような閣議決定をしたと、《特定秘密「保存期間中に破棄も」 答弁書を閣議決定》asahi.com/2013年12月6日15時00分)が伝えている。

 解釈に間違いないだろうことの証明として、全文を参考引用しておく。

 〈安倍内閣は6日の閣議で、特定秘密の廃棄について「秘密の保全上やむを得ない場合、政令などで(公文書管理法に基づく)保存期間前の廃棄を定めることは否定されない」とする答弁書を決定した。長妻昭衆院議員(民主)の質問主意書に答えた。
 公文書の保存期間は「行政機関の長」が公文書管理法に基づいて定める。今回の答弁書は保存期間満了前の特定秘密であっても、政府が特定秘密保護法に基づいて定める政令の内容次第で廃棄される余地を残したものだ。

 これまで政府は、保存期間が満了した後であれば、特定秘密に指定された期間が30年以上の情報を除いて、首相の同意を得て廃棄される可能性があるとしている。安倍晋三首相は国会答弁で、特定秘密に指定された期間が30年以上の情報について「すべて歴史公文書として国立公文書館などに移管されるよう運用基準に明記する」とした。〉――

 要するに指定期間30年以上の情報の歴史公文書化の安倍国会答弁は政府の立場を踏み外した、特定秘密保護法案の正当性を見せかけたものに過ぎず、保存期間満了後の首相同意を伴う廃棄可能性の政府の立場に戻したものの、特定秘密保護法を可決・成立させようとした12月6日という日に及んで保存期間満了前の廃棄予定可能性を閣議決定し、打ち出したことになる。

 この保存期間満了前廃棄予定と秘密指定・解除のチェック機関のメンバーが身内で固められていて、厳格なチェックは期待できず、秘密指定と解除に於いても、運用の妥当性のチェックに於いても恣意性が入り込みやすい危険性を抱え込んでいることを考え併せると、恣意的な秘密指定であったとしても、あるいは恣意的な秘密指定の解除であったとしても、運用に於けるその恣意性と、秘密指定に供する情報自体の妥当性の有無も隠蔽することができるばかりか、保存期間満了前の秘密指定情報の廃棄という手段を使って、すべての恣意性とすべての妥当性の有無をも隠蔽可能とすることができることになる。

 このような隠蔽可能性は当然、国民の知る権利に直接影響して、その侵害の恐れがてくる。

 安倍晋三のサジ加減一つで国民の知る権利も国家機密もどうとでもなる特定秘密保護法だということである。秘密保護法の衣の中に隠れて、国家の安全の美名のもと、好き勝手ができることになる。

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