野田、前原、玄葉の参院選前の何と無責任な「國酒議連」発足のブラックユーモア

2013-04-04 10:33:51 | Weblog

 古川元久元国家戦略・経済財政相を会長に野田佳彦前首相と前原誠司前国家戦略担当相と玄葉光一郎前外相を顧問に据えた、いわば野田前内閣の主たる閣僚をメンバーとして民主党國酒プロジェクト推進議連を発足、その設立総会を4月3日に開催したと次の記事が伝えている。

 前原誠司は総会に欠席したということだが、顧問に就いたことに変りはないはずだ。

  《野田、前原、玄葉氏が決起?! 「國酒議連」が発足》MSN産経/2013.4.3 19:30)

 高級な日本酒・焼酎に舌鼓し、メデタシ、メデタシと手でも叩こういうことなのか。

 記事題名にある「決起」とは、野田政権の下の2012年12月総選挙で歴史的大敗を喫して党組織がただでさえ弱体化しているところへもってきて、党支持率が低空飛行状態で低迷したまま回復する兆しのないことが否応もなしに予測させる夏の参院選現有議席割れ大敗が結果としかねない党分裂をあり得る事実として提示、「民主党政権時代の旧主流派保守系が決起?!。」と冷やかしていることからの表現である。

 議連の目的は、〈「日本酒・焼酎の魅力の認知度の向上と海外への輸出促進」を働き掛けていく。〉ことだそうだ。

 野田前首相(挨拶)「ご無沙汰でございます。子供たちが毎朝、元気に牛乳を飲むように、毎日、国酒を欠かさずたしなみさせていただいています」

 何とまあ、後生楽な。

 『後生楽』

 1.死後に行く世界は安楽であると思って安心すること。
 2.憂慮すべき事があっても気にせずのんきでいるさま。また、そういった者をののしったり注意したりしたする時にもいう。(『大辞林』三省堂)

 民主党の今日の国民の信用失墜状況を招いた責任は民主党政権歴代首相のうち鳩山元首相にも菅元首相にも責任はあるが、しかし12年総選挙大敗北を当事者として演じ、政権を自民党にプレゼントした直接的責任は野田前首相にあるはずだ。

 そしてなかなか党支持率が回復しない進退窮まった状況はまた、国民が民主党政権に撃ち降ろした鉄槌の打撃が未だ癒えていない半死半生を引きずっている状態にあることを物語っているのであり、それ程の打撃を招いているのでもある。

 3月16、17日(2013年)実施ノ朝日新聞社の世論調査から、政党支持率を見てみる。

 自民44%
 民主6%
 維新2%

 夏の参院選挙で比例区投票先

 自民47%
 民主9%
 維新12%

 政党支持率では維新を上回っていながら、参院選比例区投票先では維新にさえ遅れを取って、自民47%に対して2割以下の支持しか受けていない。

 しかも極貧といってもいい民主党の低迷した支持率では間近に迫った夏の参院選で戦わなければならない任期切れを控えた民主党参議院議員が満足に票は獲得できないと計算してのことだろう、相次いで離党し、民主党の看板外しに取り掛かっている。

 そして今回、閣僚経験者までが離党するに至った。平野達男である。

 菅内閣で内閣府特命担当大臣(防災担当)の任にあった松本龍が2011年7月3日東日本大震災被災地を訪問して被災県知事と会談、不適切な発言をして物議を醸し、世論の批判を浴びて辞任したのを受けて後任となり、2012年2月10日の復興庁設置に伴って野田改造内閣に於いて初代復興大臣に就任し、野田政権崩壊までその任にあった男である。

 平野達男が選挙区としている岩手県の達増知事が離党について発言している。

 達増岩手県知事「選挙は現職が現職でいたいという就職活動のためにあるのではない」(YOMIURI ONLINE

 名言である。国会議員にとって選挙当選が最大の利害ではあっても、最低の節度は必要であろう。人間の信用に関わってくるからだ。

 閣僚経験者の離党は現民主党代表の海江田万里にとって最悪だが、「福島の再生なくして日本の再生なし」を事あるごとに訴え、その任を任せるべく初代復興相に任命した野田首相にとっても最悪の事態であるはずだ。

 当然、支持率低迷は現在の党執行部の問題とばかりに片付けるわけにはいかない。全国を回って、自身の内閣運営の至らなさ・非を詫び、例えいくら頑張ってみても、自ら手を貸して失った国民の信用の膨大な総量には追いつきはしなくても、少しでも民主党支持率の回復に力を尽くす責任はあるはずだ。

 平野達男が秘書を通じて民主党本部に離党届を提出したのは4月2日。野田前首相顧問の民主党國酒プロジェクト推進議連の設立総会開催はその翌日の4月3日。

 この設立が参院選に於ける民主党の戦いに直接影響して好結果をもたらす、議席後退阻止に目に見える効果が予測されるというならいい。

 だが、そんなことはないはずだ。

 挨拶が「ご無沙汰でございます。子供たちが毎朝、元気に牛乳を飲むように、毎日、国酒を欠かさずたしなみさせていただいています」である。

 もし民主党の現状に痛切な責任を感じていたなら、酒は否応もなしに苦い酒となって尾を引くはずだし、自身の内閣で任命した閣僚経験者までが離党するということになったら、いたたまれない責任感から、深酒となって悪酔いを誘いもするはずだが、毎晩飲む日本酒は苦い酒となっていないようだ。

 民主党の党勢回復をもはや待ったなしの喫緊の課題とし、そのことに最大限の政治的全エネルギーを注ぐことに時間を費やし、自らの責任行為としなければならないはずだが、民主党國酒プロジェクト推進議連を設立し、その総会開催に時間を割いていること自体が、あるいはそういった趣旨に考えや面倒を割く余裕があること自体が、責任感の希薄を証明することになって、イコール苦い酒とはなっていないことの証明ともなる。

 いわば民主党の悲惨な現状自体が、それをつくり出した当事者としての責任からなかなか解放してくれない苦い酒となっているはずだし、苦い酒としていなければならないはずだが、その苦さに影響されることなく美味い日本酒を美味いままに味わう余裕を与えてくれているということであるはずだ。

 勿論、野田首相一人に責任があるわけではない。その内閣を構成した閣僚それぞれが責任を負っているにも関わらず、今すべきこととは思えない民主党國酒プロジェクト推進議連の顧問に名を連ねる。

 こういった後生楽な連中が総理大臣でございます、外務大臣でございます、国交相でございます、内閣府特命担当相でございますと収まっていたのかと思うと、日本の政治に於ける最大のブラックユーモアだと言わざるを得ない。

 ますます民主党の将来を予測する無責任な出来事ではないだろうか。

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