カネ持ちボンボン岡田克也には気づかない貧乏人の安物買いの銭失いと消費税の関係

2012-04-02 09:57:58 | Weblog

 昨4月1日(2012年)のNHK「日曜討論」は、「どうなる“消費税政局” 政治の責任を問う」と題して、各党の責任者と議論を展開していた。与党からはカネ持ちボンボンの岡田副総理。消費税が国民にかなり理解されていると都合のいい主張を展開していたが、その点と、冒頭、NHKが3月17日に「岡田副総理が大連立打診 自民断る」と題して伝えた“報道事実”をボンボン岡田が否定した点を取り上げてみる。

 司会者「国民の知りたい点を率直に聞きたい。消費税増税案の閣議決定と国会提出に反対して副大臣や政務官が辞表を提出した。民主党内はこれから纏まってやっていけるのだろうか」

 ボンボン岡田「その前に一言。まあ、NHKの報道でですね、私が、あー、自民党の有力者に大連立を申し出て、断られたと、いう報道があります。

 それは全く事実に反するもので、えー、まあ、私はきちんと訂正すべきだと、いうふうに思っております。NHKに対する国民の信頼は厚いものです。ま、事実に基づいた報道をお願いしたいというふうに思います」

 司会者「あのー、それは、あの、お聞きしましたが、私の、取材現場の、この、と、かなり信頼できる情報に基づいて書いてある、というふうに言っておりますからね、まあ、かなり見解が違ってるんじゃないかと――」

 ボンボン岡田「当初は二入しかいません。その一方である私が、はっきりと否定しているわけです(自分からニ、三回頷く)」

 司会者「ハイ、ハイ」

 この遣り取りのみでこの話題は打ち切られる。

 なぜ司会者は、「本人が否定しても、事実ということもあります」と切り返すことができなかったのだろうか。このことは現実にいくらでも転がっている事実である。

 ボンボン岡田はちょっと聞き取りにくかったが、確かに「当初は二入しかいません」と言っている。件の記事は、〈自民党の谷垣総裁に近い党幹部と会談して大連立を打診し、この党幹部が「野田政権の延命につながるだけだ」として、断っていたことが分かりました。〉と伝えている。党幹部と会談したことは事実ということになる。

 だが、会談の目的とどのような議論を行ったのかの内容に関しては岡田ボンボンは何も言わない。会談の目的はそのときの政治状況に於ける会談の必要性から自ずと判断できることだから、その必要性から外れることを言うことはできない。

 要するに目的も内容も話さずにいる、秘密にしている、会談相手もその実名を明かさないということは、いくら本人が否定しても、その否定を絶対とすることはできないことになる。

 先ずは現在の政治状況に於ける必要性に則った会談目的と会談相手、会談内容を明かしてから、否定すべきだが、そういった手続きを一切踏まずに否定のみをしている。信用できるはずはない。

 否定が事実ではなく、非事実の典型的例は「核兵器を持たず、作らず、持ち込まさず」の非核三原則であろう。非核三原則を謳い、歴代内閣は米軍の日本への核持ち込みを否定していながら、実際は持ち込んでいた。

 その否定の否定――事実解明に携わったのはボンボン岡田である。

 政権交代時の鳩山内閣の外相となったボンボン岡田はその年の11月末を目途に核密約調査を外務省に命令。2010年3月9日、日米密約問題に関する報告書の発表会見で政府として初めて核密約の存在を認めた。

 岡田 「これほど長期間にわたって、冷戦後も国会や国民に密約の存在が明らかにされなかったことは極めて遺憾だといわざるを得ない」

 自民党歴代内閣の密約存在否定に対する否定である。

 否定の暴露に自ら関わりながら、「その一方である私が、はっきりと否定しているわけです」といくら言ったとしても、否定が必ずしも事実とは限らないことを学習し、常識とすることができなかったらしい。

 1972年の沖縄返還時の米軍撤退問題で米政府が支払うとされていた土地の原状回復補償費400万ドルの日本政府肩代わりが早くから疑われていながら、歴代政府はその密約も否定し続けた。「そんなもんはありゃせん」と。

 だが、外務省調査チームが2010年3月5日の報告書で否定の否定を行い、密約の存在を認めた。《いわゆる「密約」問題に関する調査報告書》(平成22 年3 月5 日/外務省調査チーム)には次のような記載がある。  

(4)1972年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに関する「密約」

この「密約」問題は、沖縄返還交渉の最終局面において、沖縄返還協定において米国政府が自発的に支払うべきこととなっている土地の原状回復補償費400万ドルを日本側が肩代わりすることを内容とする非公表の文書が作成されたのではないかというものである。〉

〈一方、この原状回復補償費の400 万ドルの支払の問題に関し、米側の強い要請に基づき、外務大臣からの書簡の発出について日米間で交渉が行われたものの、最終的に大臣の判断により、日本側としてこのような文書を作成しないとの結論に至ったことを示すメモが今回発見された。

なお、この400 万ドルについて、米国が沖縄返還に伴い日本側から受け取る3億2000万ドルの中から手当てしようとしており、日本側もそのことを承知していたことは、この間の日米間のやり取りの中からうかがえる。〉

 否定は真正な否定に必ずしも当たらず、とさえ言うことができる。当然、「本人が言っていることだから」も「本人が否定していることだから」も頭から信用することはできないことを常識化しなければならないはずだ。

 ボンボン岡田の否定を果たしてどれ程の人間が事実と解釈しただろうか。

 司会者はパネルに記載したNHKの3月の世論調査を持ち出して、消費税増税案に世論がどう受け止めているか先ず示してから、反対が賛成を上回っていることを尋ねる。

 「政府の“消費税引き上げ”方針」

 賛成27%
 反対36%
 どちらとも言えない35%

 司会者「これはまだまだ政府の方針が国民に理解されていいないという面がありますが」

 ボンボン岡田「まあ、聞き方にもよりますね。消費税賛成か反対か聞いたら、殆どの人はやっぱりできれば避けたいと、いう意味で反対というふうに書かれる方もたくさんいらっしゃると思います。

 しかし、消費税引き上げしないことで、例えば社会保障が持続可能性でなくなる。あるいは経済的に、イー、やがて大きな危機が来るかもしれない。

 そのことも併せて聞いてみれば、私はやはり、これは止むを得ないと、いう声がもっと多いと、いうふうに思います。

 まあ、あの、昨日もそうなんですが、ずっと週末各地区回って、対話集会開かさせていただいていますが、勿論強固に反対意見もときには出ますが、あの、まあ、いろんな条件について、えー、ご質問がありますけれども、何が何でも反対という声は、実はそう多くないんですね」

 世論の受け止めの議論はこれで終わる。

 岡田の発言を聞いていいて、やはりこの男はカネ持ちのボンボン息子だなあ、という印象を強くした。低所得層のことを何も理解していない。

 最後に、対話集会では「何が何でも反対という声は、実はそう多くないんですね」と言っているが、対話集会を開くということになれば、集会の目的に添って地元の民主党議員が支持者に対して動員をかけることが慣習化している。集まる人間があまりに少ないとみっともないし、民主党の評判にもかかってくる。

 このようにするのは増税反対人間ばかりが集まっても困るからである。マスコミが賛否の状況をそのまま報道した場合、不都合が生じる。

 勿論、動員からではなく、自らの意思で参加する有権者も存在するだろうが、反対意見が大勢を占めたからといって、政府が消費税増税法案を引っ込めるわけではない。既に増税に向けた政府方針は既定路線となっていて、方針自体は誰も覆すことはできない。増税か否かの運命を決めるのは国会を通過するかどうかであって、対話集会ではない。

 消費税増税反対の国民の誰が好き好んで対話集会に出かけるだろうか。反対派がもし積極的に出かけるとしたら、賛成派ばかりが占めると、誰もが増税を歓迎しているかのように報道される不都合を回避したい欲求からと考えることができる。

 対話集会がこういった状況下にあることは周知の事実であろう。この周知の事実からすると、集会が消費税増税に対する世間一般の賛否を必ずしも忠実に反映しているわけではないと言えるはずだ。

 岡田ボンボンはこの対話集会での「何が何でも反対という声は、実はそう多くないんですね」と、さしたる根拠もない“事実”を頼りの一つとして、「まあ、聞き方にもよりますね。消費税賛成か反対か聞いたら、殆どの人はやっぱりできれば避けたいと、いう意味で反対というふうに書かれる方もたくさんいらっしゃると思います」と、世論調査の額面通りの受け止めを否定している。

 原理主義者であるこの男のご都合主義の側面が象徴的に現れた場面であろう。

 カネ持ちのボンボン息子の顔が特に現れたのが次の発言である。

 「消費税引き上げしないことで、例えば社会保障が持続可能性でなくなる。あるいは経済的に、イー、やがて大きな危機が来るかもしれない。

 そのことも併せて聞いてみれば、私はやはり、これは止むを得ないと、いう声がもっと多いと、いうふうに思います」

 例え社会保障制度が持続可能性を失って将来の生活に不安を抱える可能性、政府財政をこのまま放置しておいて経済的な大危機が見舞った場合の国民サービスの低下による生活不安の可能性が共に否定できないことが予想できたとしても、だからと言って、増税は止むを得ないと殆どの国民が考えるわけではない。

 いわば止むを得ないとすることができない多くの国民も存在する。

 岡田はカネ持ちのボンボン息子だから、このように受け止める視点を全く持っていない。

 「安物買いの銭失い」という諺がある。ここに書き記すまでもなく、安い値段が一般的に必然とする粗悪品を買い求めて、粗悪品ゆえに長持ちしないことから、再び買い求めざるを得なくなり、カネを捨てたような結果となることを言い、安物買いを戒めている。

 だが、安物買いを戒めとすることができる人間は日々の暮らしに余裕のある人間に限られる。それなりの品質の高価な物を買い求めて長持ちさせ、いい買い物だった、払ったカネは取り戻すことができたと満足を味わうことができる特権は彼らにこそある。

 その日暮らしに負われてカネに余裕のない低所得層の人間は再び安物買いでその場を凌がなければならない。そして再び「銭失い」の失敗を経験する。

 カネに余裕が無いから、その繰返しを強いられる。

 誰が好き好んで安物買いの銭失いを演ずるだろうか。安物買いを強いられるのはカネがないからで、カネがないことが安物買いを否応もなしに強いる。

 だから、安物買いの銭失いはカネがあってもドケチといった例は除いて、「貧乏人の安物買いの銭失い」と言い替えることができる。

 貧乏人だから、その日その日の生活を考えることが精一杯のその日暮らしを強いられることになって、将来を考えることができなくなる。あるいは将来の生活を考えても意味がないことになる。

 消費税も同じである。国の財政や少子高齢化が進行していく社会保障制度を考えると、増税が必要と分かっていても、あるいは将来の生活の不安が解消されると保証されたとしても、その日暮らしに追われている低所得層にとっては、日々の暮らしだけしか考えることができず、明日の安心よりも今日の生活ということになって、日々の生活を圧迫することになる増税に忌避反応を示すことになる。

 デフレ下で物価が下がり、消費税増税分を製品価格に転化できない中小企業も同じであろう。今日倒産したなら、明日の安心も国の財政健全化も意味を失う。

 結果、将来の安心を犠牲にして、増税に反対することになる。

 要するに社会保障制度の持続性や国の財政健全化の必要性を併せて問う世論調査であったなら、増税は止むを得ないという声がもっと多くなると岡田ボンボンが言っていることは岡田ボンボンと同じ所得余裕層に限った話だということである。

 岡田ボンボンの発言を裏返すと、岡田ボンボンはカネに余裕のある者の視点で消費税増税を論じていることになる。
 
 明日のことよりも今日のことという生活の余裕のない国民が多く存在することに向ける目を見い出すことができない。

 以上言ってきたことを証明する記事がある。《本社世論調査:消費増税、反対依然6割》毎日jp/2012年4月2日 3時12分)

「内閣支持率」

 「支持する」 ――28%(前回調査28%)
 「支持しない」――48%(前回調査45%)

「消費税増税法案に賛成か」

 「賛成」――37%
 「反対」――60%

「小沢氏の採決反対姿勢」

 「支持」 ――30%
 「不支持」――65%

 私自身は大賛成である。
 
「話し合い解散」

 「賛成」――36%
 「反対」――53%

「逆進性対策」

 「軽減税率の導入」――79%(以上)

 「軽減税率の導入」79%が証明している、明日の安心よりも今日の安心であり、その日暮らしの追われている所得非余裕層の少なく存在であろう。

 政府が導入の方針としている逆進性対策としての給付付き税額控除ははっきりと内容、はっきりとした金額が決まっているわけではなく、対して軽減税率の導入は生活必需品の消費をどんなときでも安心できるものに保証することになるからだろう。

 ここからも、カネ持ちには縁のない、勿論カネ持ちのボンボン息子である岡田にも縁のない、日々の暮らしの余裕のなさからの生活防衛意識を窺うことができる。

 哀しきかな貧乏人。我もその一人なり。

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