首相になったこと自体が間違いだと教える菅無能の責任転嫁な大震災1年目を迎えるインタビュー内容

2012-03-02 11:04:29 | Weblog

 はっきりとした日時は分からないが、関連記事が3月11日で東日本大震災発生から1年となるのを前に応じたとしている時事通信のインタビュー要旨を伝えている記事がある。

 一国の首相の身であったにも関わらず責任感のない、他に責任を転嫁する意識だけを働かせた、一国の首相としての当たり前の判断能力・認識能力も備えていない発言内容となっている。

 一国のリーダーの立場から見た場合、この卑劣な責任転嫁意識、程度の低い認識能力・判断能力は大震災と福島原発事故で見せた危機管理無能力と相互反映している資質なのだろう。

 起こるべくして起きた危機管理無能力だったというわけである。

 民間事故調が菅政権の福島原発事故対応を「場当たり的・泥縄的」と総括した報告書公表はインタビュー記事発信日と同じ2月28日。だが、インタビュー記事では民間事故調の報告について何も触れていないから、報告書公表時間よりも前のインタビューのはずだ。 

 《菅前首相インタビュー要旨》時事ドットコム/2012/02/28-16:04)

 菅直人前首相のインタビュー要旨は次の通り。

 -東日本大震災から間もなく1年を迎える。

 菅無能「地震と津波による大きな被害があり、東京電力福島第1原発事故が起き、国民の皆さんが大変厳しい状況に遭遇した。当時の政治の責任者として大変申し訳なく思う。国民が我慢強く対応し、復興に向けて頑張っていることに感謝したい。

 原発事故は事前の備えがあまりにも不十分だった。それがあれば、もっと事故も放射線被害も大きくならずに済んだと思うだけに責任を感じる。準備が十分できていなかったという意味では人災と言わざるを得ない。大きな反省が本当に必要だ。備えがなかったという意味で(政府の対応は)大失敗だった

 -首相官邸の初動には厳しい評価があるが。

 菅無能「地震発生直後、北沢俊美防衛相(当時)に『とにかく救命活動に即座に入ってほしい』と自衛隊の派遣を指示し、10万人態勢を取ってもらった。自衛隊の初動は非常に迅速だった。消防、警察も頑張ってくれた。

 原発事故は、地震、津波とはかなり性格を異にしている。原子炉の中で何が起きているのか分かり、予測ができて初めて次の対策が可能だ。しかし、事態の把握に努めようと、東電、経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会の責任者にそれぞれ(官邸に)来てもらったが、残念ながら、どういう状況にあるのか、少なくとも私に報告が上がってこない。

 (震災翌日の)12日朝、現地に(視察に)行った。私としては黙って見ているときではなく、現場で実際に対応している(福島第1原発)所長に、きちんと話を聞かないといけないと思った」

 -政府は阪神大震災などを教訓に官邸の危機管理態勢を強化した。機能しなかったのか。

 菅無能(評価は)政府の事故調査・検証委員会などの検証を基本的には待つべきだ。しかし、どの仕組みがどうだったというよりも、ほとんど機能しなかった。

 地震、津波に関しては、ある程度やれたと思う。原発に関しては、極めて不十分だった。つまり、東電から上がってくる情報そのものが極めて不十分だった。(原因は)どうしても全部『3・11』前になる。つまりは(原発の)全電源喪失を一切想定しなかったからだ。危機管理が残念ながら結果としてうまくいかなかった。最大の問題は備えがないことだった

 -首相が前面に出ることに批判もあった。

 菅無能「首相が陣頭指揮を執るのは例外だ。今回は一般的には多分、例外になるから、やらざるを得なかった。つまりは、野党も国会で『将たる者はあそこ(官邸執務室)に座るべきだ』と言っていたが、黙って座っていても何にも情報が来ない。陣頭指揮が一般的にいいのか悪いのかではなく、私は必要だと思ってやった。

 -政府の震災関連会議の議事録が未作成だったことをどう思うか。

 菅無能「もちろん知らなかった。議事録がないこと自体は恥ずかしい限りだ。しかし、議事録の有無の問題と、情報開示の問題は若干違う。会議はほとんどの場合、冒頭にテレビカメラが入り、決定したことは直後に官房長官が発表した。

 -原発事故が深刻になった場合を想定した「最悪シナリオ」が昨年3月25日作成されたが、公表されなかった。

 菅無能「セカンドオピニオンというのか、現場に直接携わっていなくても原子力に詳しい人たちの意見も聞いておくことが必要だと判断した。最悪の状態が重なったときにどういう状況が起き得るのか、私自身の参考にしたいと思った。

 〔略歴〕

 菅 直人氏(かん・なおと)東工大理卒。厚生相、副総理兼国家戦略担当相、財務相などを経て10年6月から11年9月まで首相。衆院東京18区、当選10回。65歳(民主)



 「黙って座っていても何にも情報が来ない」は2月29日(2012年)当ブログ記事――《菅直人の福島原発事故対応、人柄にふさわしいご都合主義・責任逃れの自己プラス評価 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に〈陣頭指揮の指揮官でありながら、情報を上げる能力・人を使う能力を欠いていたことの反映としてある状況のはずだ。〉と書いた。

 「地震発生直後、北沢俊美防衛相(当時)に『とにかく救命活動に即座に入ってほしい』と自衛隊の派遣を指示し、10万人態勢を取ってもらった。自衛隊の初動は非常に迅速だった。消防、警察も頑張ってくれた」と相変わらず自衛隊派遣を自らの勲章としている。最初から最後まで勲章とするに違いない。

 自衛隊の初動が遅れに遅れた1995年阪神淡路大震災の教訓として以後の一国のリーダーの誰もが大災害時の危機管理のごくごく当たり前の常識としていなければならなかった初期対応に於ける自衛隊派遣である。

 逆に迅速でなかったなら、首相ばかりか内閣全員が学習効果がないと批判を受け、それだけで総辞職ものだろう。

 自衛隊10万人は派遣したとしても、被災者に対する物資支援や避難所の環境改善では迅速とは言えず、遅滞や不手際が生じた。今後起きた場合の大災害に備えて自衛隊作業の効率性や的確性も検証しなければならないはずだ。

 いわばただ派遣すればいいというものではない。

 こういったことまで考えずに、唯一の勲章とする。単細胞でなければできない絶対的自己評価であろう。

 福島原発事故は「人災と言わざるを得ない」と言っている。

 では、誰がどう関わった「人災」かと言うと、「(原因は)どうしても全部『3・11』前になる」と言っている。

 どういうことかと言うと、「全電源喪失を一切想定」していなかったことに置いている。

 政府の原子力安全委員会が1990年作成の『発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針』で、全電源喪失想定不必要としていたことを言っている。

 当然、「備えがなかったという意味で(政府の対応は)大失敗だった」とは「安全設計審査指針」で、「全電源喪失」を想定して、そのような指針にして置くべきだったが、して置かなかったことを指している。

 事故が発生してからの福島原発に対する政府の対応・危機管理に関しては言及が一切ない。

 事故発生前の危機管理に問題点を収斂させているから、「原発事故は事前の備えがあまりにも不十分だった。それがあれば、もっと事故も放射線被害も大きくならずに済んだ」と言うことができる。

 だが、当たり前のことを言うしかないが、危機管理には2種類ある。起こり得る可能性のある危機に前以て備えておく危機管理と起きてしまってからの事故・災害を迅速・適切に且つ可能な限り最小限にコントロールし、収束させる危機管理である。

 当然、危機管理態勢の不備・機能不全がもたらす「人災」にしても、事故・災害発生前と発生後の2種類あることになる。

 菅無能は原発事故発生後の官邸の危機管理に関して、「(評価は)政府の事故調査・検証委員会などの検証を基本的には待つべきだ」と言いながら、それを待たずに事故発生前の危機管理に重点を置いて問題点があったとし、そのことのみを以て「人災」だとし、結果的に事故発生後に関してもそれ以外に人災的な側面ないとしていることになる。

 いわば原発事故後の危機管理如何も、そこでの人災的な側面の有無も一切考慮外に置いている。

 もし第三者の検証を待つべきだとするなら、事故発生前の危機管理に関しても口をつぐんでいるのが公平な態度であろう。

 だが、そうしなかったのは事故発生後の危機管理を省略して取り上げる事故発生前の危機管理は自身の責任問題から切り離すことができるゆえに責任転嫁以外の何ものでもないことになる。

 民間事故調の報告書は菅無能のトップリーダーとしての指導性に色々な問題点があったことを明らかにした。それが危機管理上の様々な混乱や失態を生じせしめたと。

 菅無能に自己省察能力が少しでもあったなら、自己検証の意識が働き、より謙虚な気持ちとなって、事故発生前の危機管理のみが「人災」に当たると断ずることもなかったろう。

 自衛隊派遣を勲章としていることからも、自身の責任問題から切り離すことができる事柄のみを取り上げていることからも、自分に都合のいいことだけを言っている印象しか浮かばない。

 首相就任時は「サラリーマンの息子が総理大臣になった」ようなことを言っていたが、リーダーの資質は誰の息子であるかが決めるわけではない。

 そのような認識を働かすことさえできなかった。福島原発事故後の菅無能の危機管理無能力は首相になったこと自体が間違いだったことを教えてくれる。


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