野田首相の無責任と誤魔化しで凌いできた、決して国民に正直に説明してきた消費税増税ではなかった

2012-03-15 10:24:03 | Weblog

 野田首相が3月14日(2012年)、都内で民主党の当選1回議員と会食。ドジョウ鍋を突ついたかどうかは記事には書いてないが、野党から国会で散々突つかれているから、逆に何かを突つく立場に立ちたくなって、突つく相手としたらドジョウが格好の相手とばかりに突ついたのではないかと勘繰りたいが、確かめようがない。

 《首相、追加増税の表現「知らなかった」》/2012.3.15 00:26) 

 会食中、出席議員の一人が政府が同日(3月14日)民主党に配布した「消費税増税関連法案概要」の中に2016年度を目処に講じる追加増税措置を「さらなる税制の改革」と表現し直していることを指摘すると、首相は「知らなかった」と答えたと記事は紹介している。

 元となる表現を基に記事は、〈2月17日に閣議決定された社会保障と税の一体改革大綱は「次の改革を実施することとし、今後5年を目途に所要の法制上の措置を講じる」としていたが、法案概要では「税制の改革」という表現で増税のニュアンスを強めている。〉と解説、記事を結んでいる。

 政府は現行5%の消費税を2014年4月に+3%の8%、2015年10月にさらに+2%増税の10%と決めている。

 10%に消費税増税した2015年の翌年早々の2016年を目処に「さらなる税制の改革」を講じると「消費税増税関連法案概要」に明記してあったということである。

 「消費税増税関連法案概要」に明記してある以上、当然、「さらなる税制の改革」とは「さらなる」消費税制の改革、消費税増税を指すことになる。

 2015年10月に10%に上げて、その翌年にさらに消費税増税を目指すということも問題だが、記事が事実に基づいて報道しているという前提に立って言うと、このことを野田首相が「知らなかった」と答えたことも問題となる。民主党が政府に配布した「消費税増税関連法案概要」であるなら、目を通す時間がなかったからという理由で、「知らなかった」とすることはできるが、政府が民主党に配布した「概要」である。

 「概要」内容を決定するとき、野田首相は議論に加わっていなかったし、報告もなかったことになる。当然、首相を加えた政府全体の責任問題となる。何と無責任な、である。

 この程度の感覚で消費税増税を考えているとしたら、社会保障制度改革をダシにして窮屈な財政を自分たちのために窮屈から解放する目的でいるとしか思えない。

 1月6日(2012年)閣議決定の「社会保障・税一体改革素案」と2月17日(2012年)閣議決定の「社会保障・税一体改革大綱」の上記記事が触れている箇所を取り上げてみる。 

 素案

 第1章末尾

 (3)今後の改革の検討

2050年以降、高齢化のピークを迎えることを考慮すれば、今後も改革を進める必要がある。今回の改革に引き続き、少子高齢化の状況、財政の状況、経済の状況などを踏まえつつ、次の改革を実施することとし、今後5年を目途に、そのための所要の法制上の措置を講じることを今回の改革法案の附則に明記する。


 大綱

 第1章末尾

 (3)今後の改革の検討

2050年以降、高齢化のピークを迎えることを考慮すれば、今後も改革を進める必要がある。今回の改革に引き続き、少子高齢化の状況、財政の状況、経済の状況などを踏まえつつ、次の改革を実施することとし、今後5年を目途に、そのための所要の法制上の措置を講じることを今回の改革法案の附則に明記する。


素案と大綱と一字一句違わない。

 上記「MSN産経」記事は素案・大綱が「今後5年を目途に、そのための所要の法制上の措置を講じる」としている「所要の法制上の措置」を追加増税措置への言及だとしているが、ではなぜ最初から、「さらなる税制の改革」を講じると正直に書かなかったのだろうか。

 表現を曖昧にして切り抜けようとしたが、曖昧にしきれなくなって、ここに来て仕方なく正直にすることにしたということなのだろうか。

 民主党は昨3月14日、消費税増税関連法案の3月23日閣議決定に向けた全議員対象の事前審査を開催、消費税増税反対議員との間で紛糾したということだが、《民主 消費税巡り意見対立激化 》NHK NEWS WEB/2011年3月15日 5時13分)は、上記表現について次のように伝えている。

 〈出席者からは、平成27年10月に税率を10%に引き上げたあとの税制改革の方針を巡って、法案の付則で、「平成28年度をめどに必要な法制上の措置を講じることとする」と規定していることについて、「さらなる増税を目指しているように受け取れる」などとして、削除を求める意見が出されました。〉――

 消費税増税反対派議員は追加増税措置への言及と受け取られかねない不適切な表現だとしていて、表現自体は追加増税措置への言及ではないとしていることになる。

 「今後5年を目途に」という表現に関して、「今後5年とはいつの時点からのことか」との野党の国会追及に安住財務相は「今後5年間のスタートを正確に何月何日とは決めていない。今後とは今後のことです」と答弁して紛糾、質疑が一時中断した。

 これも無責任な話である。起点を設けずに「今後」という概念は成り立たない。

 離婚した夫が元妻に慰謝料を、子どもに養育費を月々いくらと決めて支払うと約束しながら、ある時点から支払いが滞ったために元妻が元夫に支払いを要求すると、「今後支払う」と約束。だが、その約束が守られないから、再び催促すると、「今後のスタートを正確に何月何日とは決めていない。今後とは今後のことだ」と言うようなものである。

 五十嵐財務副大臣が3月12日(2012年)の記者会見で次のように発言している。

 五十嵐副大臣「大綱を決定した時からというのが当初の見方だったと思いますが、それをどういうふうに政府全体で改めて確認するかというのは、私の段階では、今の時点ではなかなか申し上げられません。ただ、2011年度と考えるか2012年の2月と考えるかよって、そこから5年ということで、もともと幅のある目途という言葉ですので、その辺も今のところは大ざっぱにしか、政府部内で統一されているとはまだ完全に言い切れないのではないかなと。常識的に考えれば大綱決定時から5年ではないでしょうか」

 「大綱を決定した時からというのが当初の見方だった」、「常識的に考えれば大綱決定時から5年ではないでしょうか」は当然の起点であって、そう言いながら、「もともと幅のある目途という言葉ですので、その辺も今のところは大ざっぱにしか、政府部内で統一されているとはまだ完全に言い切れないのではないかなと」などと曖昧化の意思を働かせている。

 何度でも書いていることだが、要するに「一体改革」だと言いながら、一方の改革である社会保障制度が具体的な改革の姿を取らないうちに現行消費税率5%を2014年4月に+3%の8%、2015年10月にさらに+2%増税の10%と、もう一方の改革である消費税増税改革を先行させる形で決めた。

 その上、1月6日(2012年)閣議決定の「社会保障・税一体改革素案」で既にさらなる消費税増税意志を固めていて、「社会保障・税体改革大綱」閣議決定の2月17日(2012年)を起点に今後5年の、いわば10%に引き上げた2015年翌年の2016年度を目途にさらなる消費税増税の措置を講ずることを正式に意志していて、社会保障制度改革が追いつかないままに常に消費税増税先行の姿勢を取り続けてきたということになる。

 2月29日(2012年)の党首討論で谷垣自民総裁が「税制改正ということだけが先行しているという報道がある」と追及したのに対して野田首相は「税の方が先に出ている。そういう報道があるというお話でありました。報道が間違いです」(MSN産経)ときっぱりと言い切ったにも関わらずである。

 簡単に言うと、ウソをついていたのである。不退転と言いながら、無責任と誤魔化しで凌いできた消費税増税意志だったが、国会で追及されるに及んで無責任と誤魔化しを曝け出すことになり、さらに消費税増税を求める意志を露出させることになった。 

 決して国民に正直に説明してきた消費税増税ではなかった。

 会社ぐるみという言葉があるが、内閣・党ぐるみでウソと誤魔化しを働いていた。

コメント (1)
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