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マンガ感想-『Q.E.D 証明終了 3』加藤元浩

2009年06月23日 | マンガ
ともあれ、本作品を読まれたみなさんの感想は「ここまでやるか!」の一言でしょう。
それに対する私たちの返答は---むろんのこと自戒と反省を込めて言うのですが---
本格推理小説というものは「ここまでやる」ものなのです。

『離れた家』山沢晴雄 に寄せた芦辺拓の解説より



「ブレイク・スルー」★★★ 6
~あらすじ~
燈馬のMIT時代の友人ロキとエバが来日。二人によると、燈馬は論文を何者かに破り捨てられ、MITを去ることを余儀なくされたという。

~感想~
燈馬の過去と頭の体操で一編まとめ上げた――だけではなく、逆をつく伏線の忍ばせ方が実に巧み。
伏線ひとつだけで良作をものせるという好例。


「褪せた星図」★★★☆ 7
~あらすじ~
取り壊しの決まった天文台に集められた所有者の家族と関係者たち。しかし天体望遠鏡の中から黒焦げの死体が発見され……。

~感想~
天文台という舞台を活かしたトリック、望遠鏡の密室、さらにはドロドロの血縁関係とこれだけの分量に詰め込み過ぎの内容。
真相には物理だけではなく心理をからめ、皮肉な結末までつけてみせた。これだけ盛りだくさんの作品にケチをつけたら罰が当たるだろうが、その分ごちゃついてしまった印象があるのも確か。
それにしても、貧乏性の目から見れば、一つの作品にこれだけアイデアを使うなんてもったいないとすら思えてしまう。