立読ブログ

立読師による一人語りのブログ 今後ともよろしう

休日日記

2012-09-01 11:02:27 | 雑記
会社が急遽休みになったので
金はないが上田まで行くことにした
とりあえずの目的は
上田にあるという 古書のブックカフェをひやかすこと
そして 刀屋 で蕎麦を食うこと

とはいえ午前も早いうちからいくのもなんなんで
ダーツでも投げてから行こか と
寄り道のつもりで漫喫へ
しかしそこで

少女ファイト 岳~みんなの山~ 鉄腕バーディーevolution

を小一時間読んでしまって
あかんがな ダーツやってる時間分潰れてしもた
上田にこのまま向かうには
少々お昼をまたいでしまう
少し早いが昼飯
昨夜寝しなに読んだ誰寝の 

「旨い中華食って…」

というセリフが忘れられなくて バーミヤン(笑)
酢豚を食いつつ 旅する力(沢木耕太郎) を読む
なんだこれ むっちゃ面白い
たっぷり烏龍茶三杯分読んで 幸福な気持ちのまま
車を駆って一路上田へ
iPodを聞きもって 沢木耕太郎の余韻に浸る
唇に歌を ポケットに名言を やねぇ
湧き上がる入道雲 濃い山の緑 すかっとした青空
目と耳を楽しませながら
ああ 今日の上田行を旅として楽しんでるぞ
feel so good!!(気分は上々!)
上田に着き車を停めて街を歩く
ネットで大体の場所は分かっている
大通り沿いで 池波正太郎記念館より駅側に手前… あった

ブックカフェは初めてというわけじゃないけど
でも 緊張する
違うのだ 普通の本屋と
一番は本を視る距離感
普通の本屋なら 本棚の前に立って目の前の背表紙を眺めればいい
せいぜい30~50センチの距離
そこから視界に入る本を吟味する
しかしー… ブックカフェは違うのだ
うまく言えないが 本棚に焦点が定まらない
本棚の前に立っても よくよく凝視しないとタイトルが目に入ってこない
棚を凝視する 時間を食う ひやかし以上に居座る
なにか買わないと店の人に悪いような焦燥感に駆られる
が 困ったことにピンとくる 欲しい本 が見当たらない
ますます焦る…
緊張のあまり頭痛までしてくる
落ち着け とにかく落ち着け…
ここはブックカフェなのだ
本の一冊も買えなくても コーヒーの一杯も飲めば
それで十分店に貢献することになるじゃないか
す すいません
上ずった声でかろうじてミルクティーを注文して
とりあえずソファに座ってみる
あかん 汗グッショリや
中学生の頃背伸びして初めて一人で喫茶店に入った時がデジャヴする
ソファの右手壁際に並べられた本の一点を凝視し続ける

長い時間(オレ的に)の後
ミルクティーが運ばれてきて一口
そうか 左に首を回してもなにをか支障があろう
ミルクの効用か気持ちに余裕が戻ってきた
そこで ああっ と気がついた
そうか これくらい遠くからたくさんの本を眺めて
丁度いい作りなのか
本屋さんでの本との距離が
格段にゆったり広くとられているのが
ブックカフェなのだなぁ
これは…そうだ 書斎の距離だ
壁に陳列されたたくさんの本 ゆったりとした椅子 うまい紅茶
本来なら自宅に欲しいと夢に見た 書斎の空間なんだ
ゆったりした気持ちで自然と手近の本を手にとって
パラパラ読む
ああ これは…幸せだなぁ
紅茶を味わいながら 本に囲まれる幸せ
これこそ本読みの夢 dreams come true

しかし夢に浸るのも束の間
先の緊張感でだくだくにかいた汗で
革のソファとTシャツの間が蒸れに蒸れて座っていられない
250円の本と紅茶の代金を払って早々に退散した
面白さはわかった
あとは緊張感がなくなるまで通うまでだ
次がいつかはわからないけど


店を出ると日差しは黄昏の気分を出していて
こころなしか風も涼しい
このまま上田城まで歩いてもいいが
なんだか疲労感があるので
日陰のベンチで再び旅する力を開く
小一時間も読んだだろうか
しかしシャツに染み込んだ汗がまったく乾かず
腹のあたりがチクチクする 
これは立っていた方がかえって楽らしい
元気が少しでないので
このまま歩いて蕎麦を喰いに行こう
海野町商店街を歩き出した

刀屋 というのは知る人ぞ知る名店で
かの池波正太郎がエッセイで紹介したこともあり
混雑時は行列のできるほどの店なのだが
時間さえ間違えなければ ほどよく空いている店内で
ゆっくり冷房にあたりながら蕎麦をすすることができる
先の本屋の緊張やベンチの読書が
思いのほか体力を奪っていたのだろう
もりそばの並を注文すると
へなへなと座敷にへたりこんでしまった
くたびれた
それでも涼しい空調とNHKのテレビの音で
リラックスしていき気力も湧いてきた
刀屋もまた 勝負 である

ここの 並 は尋常の 特盛 に相当する
長野の田舎では蕎麦は立派なメインディッシュであり
蕎麦だけでお腹を満たすのが通常である
江戸の蕎麦と違って
こちらの蕎麦は甘めの汁にコシの強い太めの麺を
どっぷりつけてよく噛んで食べる
とても喉で利くようなしろものではない
なんどもいうが ここの蕎麦は主食なのだ
焼き海苔だ板わさだといったもののシメにするには
焼肉でビール飲んだ後のこってりラーメンくらい
胃に来る それくらいの覚悟がいる
山盛りの蕎麦が運ばれてきたら
黙々と挑みかかり 
すばやく わさび 七味 と薬味を変えつつ
風味とコシを楽しんで一気に食わねば腹が持たない
しかし腹の中はうまいうまいの大合唱で
時折満足のため息が鼻からもれる
うまいぃぃぃぃい うまいよぉぉおおおお
心の中で店を大絶賛である
仕上げに蕎麦湯を飲んで 勝利のため息をつくと
うむ 満足である 
もりそば並で650円

刀屋をあとに車まで戻る道すがら
腹が張って苦しいなぁ・・・から
・・・ぐっ U が……っ肛門をノックしちゅう……
また脂汗である


こうして金はないが上田を楽しんで
悠々と上田をあとにしたのであった
締めくくるにはあまりにも豊穣な幸福感で
形容しきれないのだが
まぁこういうときはつまり
休日に思い切り羽が伸ばせたという証拠なのだ


あ トイレは間に合いました

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