立読ブログ

立読師による一人語りのブログ 今後ともよろしう

白ネコ!(オ モシロイ)

2011-05-26 21:31:02 | 
今読んでいて面白がっているのが

The Goal!-企業の究極の目的とは何か エリヤフ・ゴールドラット(著)三本木亮(翻訳) ダイヤモンド社

日本は漫画文化で日本人は漫画好きで 
ビジネスマンが電車でジャンプ読んでる
だから 文字だけの本とか全然読めなくて 当然難しい本なんか 特に若い奴らは全然読めない
テストの問題文だって3行以上になると日本語でも読解不可能なんだぜ それも大学生が だ
だ か ら 日本人はなんでも漫画にしてやらないと難しい事象は理解できないんだ

なーんてことを ひょっとしたらどこかの誰かさんが
さかしらに言ってるかもしれない今日この頃
だけど ちょっと直感でわかりにくい 例えば
経済現象なんかを理解するのには
日本人には漫画だけど
じゃあ外国人は?ってなると
すんなり理解するには 
やっぱり小難しい教科書よりも
ハッピーエンドストーリーの方だったんだ

工場閉鎖に追い込まれた普通の管理職
閉鎖決定までを提示された執行猶予は3ヶ月
さあ 彼はどうするか?

おっそろしくかいつまんで つかみ を言うとそういう話
この本は小説の体を取った経済学の本だけど
面白さのポイントはストーリーにはない

思考する過程が面白いのだ

生産効率が上がるはずなのに
稼働率は100%なのに
なのに…在庫が増えて材料はいつも足りなくて手の空いた奴がどこかしらに居て そして

赤字

なんで?なんで?
ここから始まる工場再建のゴールはなにか?
なぜうまくいかないのか?
どうすればいいのか?
それを物理学では常識の 質量保存則 を
モデルにして解いていく
なぜここで物理か?ていうと
この工場閉鎖に追い込まれる工場長が助けを求めるのが
現在職業不詳の物理学者だからだ
とんでもない畑違いかと思いきや
質量保存の等式モデルで
これが痛快なほど全ての うまくいかないのはなぜ? を
説明できていっちゃうから面白い

読者は主人公の工場長と一緒に
「じゃあこれは このモデルで言うと…」と
考え始めると止まらない
特に同じ製造業に従事している人には
結構切実に「うわーうちの工場もそれだわー」て
当てはまっちゃったりして
続きを早く読んで結末…というか 
思考のファイナルアンサーを知りたいと思う反面
もう少し自分の身近な問題に引きつけて
自分でも解いてみたいというジレンマにとらわれる
これは…売れるわ(笑)

立読師 みごとにハマってます(笑)


ただ今のところ
ハービーが見つかったところまで

…ハービーが見つかっても それをどうすりゃいいのさ?



もう一冊 面白がっているのが会社本

木をみて森をみない (ちくま文庫) 青山南 筑摩書房

青山南といえば知る人ぞ知る翻訳家
本の雑誌で連載している青山さんのエッセイが好きで
図書館で見つけた時に収録元の記事一覧に
本の雑誌からのものが混じっていたので
見ずてんで借りた

読んでみてアタリ!

むちゃくちゃおもしろい(笑)
青山さんの語り口は文句なしに楽しいし
「この英語の訳 フィーリング的に日本語に合うのはこれ!」
てのが分かった瞬間なんか超興奮するね(笑)
本の話映画の話翻訳の話…どれも面白いんだけど
唯一よくはいりこめないのが
青山さんが愛してやまないジャズの話
うーん…ジャズを聞いて
そのよさがさっぱりわからない私は
やっぱりお子様ランチなのかなあ…?(笑)

この本の正式タイトルをAmazonで検索したら
usedで1円てあった
んー…知ってたら買ったかも(笑)

読了報告 5月分

2011-05-26 20:47:17 | 
ありゃ? そういやぁ今月何読んだっけ?
今読んでいる本があんまり白ネコなもんで
それ以前に何を読んだのか
すっこり忘れてしまっていた

えー…と と 過去記事の読中報告を読み返して
はいはい 思い出しましたよ(笑)


ヴィンランド・サガ(10) (アフタヌーンKC) 幸村誠 講談社

岳 みんなの山 14 (ビッグコミックス) 石塚真一 小学館

温泉めぐり (岩波文庫) 田山花袋 岩波書店

吉田自転車 (講談社文庫) 吉田戦車 講談社


あー…いや 訂正
今読んでるのが面白いから忘れたって言ったけど
だからといって
上記の本らがつまらなかったわけではけして ない
んじゃ さくっと感想


ヴィンランド~は漫喫で読みました
9巻までの覇気ゼロトルフィン
今巻でようやく…

しゃんとします

自分の立ち位置からやっと歩きだしたって感じです
戦士=殺す・暴力 を否定し
亡き父のめざした 本当の戦士=What?
こっからのトルフィンの成長が楽しみです
やればできる子ですトルフィン


お次 岳~もまた 漫喫で読みました
よーうやっとナオタが三歩の庇護から
「オレはもう大丈夫」て 巣立ちましたね
もちろんこれから先は同じ登山者として
付き合っていくんだろうなぁとは思いますが
それでも ああ 大人になったなぁ と
ナオタの父の死から彼を見てきた者としては
感慨深いものがありまました
今巻から 三歩とは対照的なキャラクターとして
ミヤさんが登場します
この人「山をなめんじゃねぇ!」的救助
ま 遭難した時にこういう人から
助けられると同時に怒られちゃうと
二度と山に行けなくなっちゃうくらいのトラウマになるんじゃなかろうか(笑)
今時の若いもんにはとっつきにくいオヤジです
が こういう一本筋の通ったうるさがたのおっさんって
現実に一人くらいいないと ビッと しませんよね
(実際怒られるのはこわいけどさぁ)


さて お次は文庫
温泉めぐり は
いや 実に秀逸に面白い温泉めぐりの書
旅行情報誌のノリで読むと肩透かしだけど
温泉めぐりの思い出をつらつら綴った日記だと思えば
実に楽しい
仮名遣いも漢字も現代の常用に直してあるので
しゃっちょこばらずに手にしてみてほしい
日記好きにはおススメです
立読師的に感嘆したのは

いや 花袋センセ実に健脚

山道峠道 ちゃっちゃと歩きとおして
温泉から温泉へと渡り歩く
もちろん車や乗合馬車も利用するんだけど
10里以下くらい先にある
ひと山越えた温泉位までなら
平気ではしご温泉だ
辞書的には1里=3.927kmらしいけど
これも時代や地形ごとに換算がまちまちらしいから
あまりアテにしないでほしいけど
それでも山道20キロくらいは平気で歩いていたことになるよね
本書で花袋センセ本人も
若いころはよく歩けたもんだなぁ と
感嘆しているから
やっぱり当時の人からしても かなりなものらしい
自然主義文学の巨頭とかいって
なんだか女々しい虚弱もやしっ子をイメージしていたけど
いやいやどうしてどうして
結構マッチョじゃん田山花袋(笑)

蛇足ながら 立読師は実を言うと
いわゆる古典や明治以降の新古典の
有名どころは読んでない方が圧倒的に多いので
カミングアウトすると
田山花袋と永井荷風のイメージがかぶってる
んー…言い訳を許してもらえば
ほら 二人とも大正人だし…て違うか(笑)


さて 5月読書のラストはこれ

吉田自転車
いやーワラタ
吉田戦車の視点は自転車にまたがっても低かった(笑)
なんというか イマドキの
高っいわ速いわのロードバイクで風を切って気持ち上から目線でブイブイゆわしてる
高い自転車に乗ってるオレっ=鼻もちならないチョイ悪オヤジ
の公式からすっ転げ落ちた吉田戦車の自転車ライフが
情けなくも楽しい(笑)
自転車で河川敷の道を走って蕎麦屋 とか
高校時代と体力が違うのに実家に帰って
「昔は平気で乗り回していたんだから」と
雪道をママチャリででガシガシ乗ってしまったり
自転車…といえば 競輪だよね って
エッセイのために競輪デビューするも…
まぁ そうだよね
日本の正しいおとっつぁんのポタリングは
本来かくあるもんだよね
それぞれ短い短い連載エッセイなのだが
一つ一つを四苦八苦しながら
それこそ自転車操業的に描き続ける様子が
おもわず「ガンバレ!」と微笑ましい
そして必ず付いている章末の次回予告タイトルが
やけくそ気味だが味わい深くおかしい