米朝首脳会談に対して、北朝鮮が手持ちの1番目のカードを切ってきた。
北のカードは、「米国の一方的な核放棄の強要では米朝首脳会談を中止せざるを得ない」との主張の延長線上として、「米韓合同軍事演習が継続される限り南北閣僚級会談を中止する」としたもので、「米韓合同軍事演習と南北閣僚級会談」を天秤に乗せて韓国を揺さぶろうとする意図が明白である。南北首脳会談を朝鮮半島非核化の歴史的なターニングポイントと自賛して以後の米朝首脳会談でも仲介者として存在感を示したかった韓国にとっては、あからさまな韓国外しに直面したものであるが、2度にわたる訪中で習近平氏から「半島の段階的な非核化戦術の認可」と「米韓に楔を打ち込む論功行賞としての経済・人道支援の確約」を取り付けた北朝鮮としては、中国の意に添った米韓離間策の既定の一歩を踏み出したに過ぎないものと思う。韓国にとってこのことは「同盟国として米中のどちらを選択するのか?」という究極の「踏み絵の1枚」で、以後に予想される「在韓米軍の縮小・撤退」「米韓同盟の破棄」要求の踏み絵の数々を考えれば、今回の要求は国の存続を問われる決断の序章と捉えるべきであると思う。北朝鮮は継続使用不能の地下核実験施設を爆破して見せたが、その対価はまだ明示していない。要は米韓のいずれかが何らかの対価を提示することで、段階的な核放棄という中朝の既定路線に導けば成功と考えているのではないだろうか。国務長官の訪朝に抑留米人3名を釈放した様に、お互いのカードを交互に提示していこうとする目論見は早晩行き詰まることは明白であり、そうなれば、なし崩し的に北朝鮮は核保有国としての地歩を維持し、中国は冊封体制の盟主として北朝鮮を思いのままに使嗾できることとなるのだろう。
今のところ米国は”それならそれで構わない”と静観の構えであるが、韓国にとって今回突き付けられた踏み絵は、小池百合子氏の”排除踏み絵”など児戯にも思えるもので、以後の国難を考えれば半島の統一など夢物語で、肝心の北朝鮮が統一を欲していない現実を直視すべき機会でもあると思うのだが。
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