もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

金革哲氏の処刑を学ぶ

2019年06月10日 | 北朝鮮

 北朝鮮の金革哲氏の粛清(処刑)が伝えられて半月が経過した。

 当初の韓国情報では、対米交渉の不手際を理由に実務担当者の金革哲(国務委員会対米特別代表)氏と外務省幹部4人が空港で処刑、金英哲(労働党統一戦線部長)氏が強制労働施設に収容、金正恩氏の妹の金与正(労働党第1副部長)氏が謹慎処分、通訳のシン・ヘヨン氏が政治犯収容所に収容とされた。その後、金与正氏と金英哲氏は従前の肩書で公式行事に参加していることが確認されたが、金革哲氏と通訳の安否は依然として不明のままである。金革哲氏の罪状は「米帝に取り込まれ首領を裏切ったスパイ(内通)罪」と報じられているが、米朝首脳会談の決裂は明らかに米中を天秤にかけた金正恩氏の過ちであることから、金正恩氏の神格を守るための人身御供として処刑されたことは間違いのないところであろう。金革哲氏の経歴を調べてみた。韓国に亡命した元北朝鮮外交官のブログでは、外語大学のフランス語科を卒業後に外務省入り、外交戦略立案の第9局(現政策局)に所属し2005年の六者協議では北朝鮮代表の演説文も作成したと紹介されている。その後、2014年には初代駐スペイン大使に任命されるが、北朝鮮の核実験を受けて2017年国外追放処分になる。2019年米朝首脳会談準備の実務担当者として渡米先やハノイでビーガン米北朝鮮担当特別代表と実務交渉を行っている。このようにスピード出世したことは彼の忠誠度を示すもので、人身御供説は間違いのないことと思う。

 以下は、スパイ小説風の見立てである。ハノイで米朝首脳会談が行われている最中の2月22日に在スペイン北朝鮮大使館が北朝鮮の反体制組織とされる「千里馬民防衛(自由朝鮮と改称)」の襲撃を受けパソコンや携帯電話を奪われる事件が発生し、襲撃の目的は元大使であった金革哲氏に関する情報を入手するためと報道されている。襲撃を実行した自由朝鮮は、金正日氏の孫・金正男氏の息子である金漢率氏の身柄を保護していると主張している団体で、3月には金正恩体制に抵抗するための臨時政府樹立を宣言したが、同組織の全容は謎に包まれており、メンバーの多くが北朝鮮人とされることから北朝鮮の傀儡組織・海外別同組織ともみられている。襲撃事件の日時、目的並びに実行者を並べてみると、金正恩氏は早い段階から米朝会談が不調に終わった場合の生贄を誰にするか決めており、大使館襲撃で証拠を捏造(又は消去)し、一統が反撃する余裕を与えないために空路帰国した金革哲氏一行を空港で処刑したものとの解釈も成り立つが、真相や如何に・・・。

 


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