もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

スペインの北朝鮮大使館襲撃事件に思う

2019年03月17日 | 北朝鮮

 スペイン・マドリードの北朝鮮大使館が米朝首脳会談直前の2月22日に襲撃されたことを知った。

 事件と報道の経緯は、武装したハングルを話す複数(10人?)のアジア系人物が白昼大使館に侵入して、職員8名を縛ったうえで頭に袋をかぶせて暴行を加えて尋問し、パソコンや携帯電話を奪って逃走したものであるが、北朝鮮大使館が現地警察機関に通報しなかったこと、米朝首脳会談の報道が優先されたことから日本のマスコミでは報道されなかったものである。ところが米朝首脳会談決裂後の3月13日になってスペインの地方紙エルパイスがスペイン国家情報局(CNI)からの情報として「特定された容疑者のうち2名がCIAに関係している」と報道し、3月15日以降日本でも取り上げられるようになったものである。現在のところ、襲撃犯は「千里馬民防衛」を名乗る反金正恩体制団体とされており、同団体は3月1日には名称を「自由朝鮮」に改め金体制打倒の臨時政府を樹立したともされている。当然のことながらCNI・CIAともに情報の確認を拒否しているが、襲撃犯が米朝首脳会談にも大きく関与している金革哲氏(前駐スペイン大使、現対米特別代表)に関する情報収集を重要視したと推定されることから、火のないところに立った煙ではないと思う。事件の真相はさておき、不満に思うのは事件に対する一連の報道である。マスメディアは限られた紙面や時間内に世界中の膨大な情報を収める必要があるために重要度を量って取捨するのは当然であろうが、1国の大使館がテロ攻撃されたことは「捨てる」が、アメリカ(CIA)が関与していれば「拾う」との尺度が理解できないと思っていた。しかしながら本日の産経新聞の「新聞に喝」欄で、蓑原俊洋氏(神戸大学教授)が「日本の新聞では世界の個別の出来事は理解できても、大局的な見地に立った全体的な流れと意義を掴むのは難しい」との意見を読んで成程と思った。いうまでもなく出来事をいくら集めても、それは情報とは呼べず、数ある出来事(ピース)を繋ぎ合わせて完成させたジグソーパズルの絵が「情報」としての価値を持つとすれば、読者は新聞を代表するマスメディアで得たピースを自分で組み立てて、情報として認識するという作業を心掛けなければならないと思う次第である。

 さらに蓑原氏は「財政的な理由から、新聞社の海外支局が閉鎖される動きがある」ことを危惧されているが、そうなれば国際情勢に関する新聞記事は外国通信社の配信記事のみで構成されることになり、ネット上の「まとめサイト」と同じになる日も近いかもしれない。現在、食事処を探す場合にも「食べログ」を含め複数のサイト情報を基にして比較検討することが一般的であるが、将来的にはニュースも同じ手法で検討することが求められるようになるのかもしれない。


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