もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

金正恩氏の重篤説

2020年04月22日 | 北朝鮮

 北朝鮮の金正恩委員長の重篤説が取り沙汰されている。

 重篤説はアメリカのCNNが情報当局者の話として報じたものであるが、中国は重体(罹病は否定せず)を否定、韓国は全否定、日本は情報を分析中と分かれている。アメリカ政府は公式には沈黙しているが、先日トランプ大統領が「金委員長から素敵な手紙を受け取った」と発言したことに対して北朝鮮が即座に否定するという一幕を、コメント中の”手紙”を”情報”に置き換えれば、もしや?と思えるものである。金正恩氏は、反正恩の象徴となることを怖れて異母兄の正男氏を暗殺、父正日氏の側近であるとともに№2ともされていた伯父の張成沢氏を粛清する等、金正恩体制の強化に努めた結果、権力基盤は安泰と観られており、核兵器の保有とアメリカをも攻撃できる核の運搬手段保有に代表される先軍政治によって完全に軍部を掌握しているともされている。気の早い話であるが、金正恩氏亡き後の後継者はどうなるのだろうか。金正恩氏の周辺には、父母が同じ兄の正哲氏と妹の与正氏がいて、妻の李雪主氏との間には3人の子どもがいるとされるが年齢は10カ月〜7歳と幼い。正恩氏の兄の正哲氏はエリック・クラプトン以外には興味がない人物とされており、正日氏からも後継者として排除されたことを考えれば玉座につくことはないだろうが、金日成の孫という出自から権力闘争の神輿に乗せられる可能性はないとは言えない。妹の与正氏は数年前から王朝内で重用されてきたが、身内の引き締めとしての重用であろうと思われるので女帝にまで昇格することはないだろうが、幼児の後見人として実権を握ることもあり得る。北朝鮮の女性観や女権に対する考えが判らないが、後見人としてならば妻の李雪主氏にも注目すべきかもしれない。金正恩氏が後継者になった際には、スイス留学の経験から国際感覚を身に着けた指導者と受け取られ、一部には北朝鮮の変質をも期待する希望的な向きもあったが、実際には爆弾魔がより強大に育っただけであった。

 近代にあっても、フィリピンのマルコス氏(亡命)、インドネシアのスハルト氏(軟禁)、ルーマニアのチャウセスク氏(リンチ的銃殺)、イラクのフセイン氏(絞首刑)、等々、独裁政権が崩壊した例は数多いが、独裁権力を世襲できたのは北朝鮮とシリアのみである。独裁者と独裁者を支えた者は、崩壊後に訪れるであろう懲罰と報復を恐れており、前述の各国では一族や秘密警察の対する徹底的な報復が伝えられている。北朝鮮の圧政・被抑圧状況を考えれば、金王朝が崩壊した場合に起こるであろう報復は大規模・広範囲なもので、朝鮮族の特質を考えれば滅族に近い悲惨なものになるであろうことは想像に難くない。独裁崩壊後の運命を学習している北朝鮮の指導層は、指導者が誰になろうと、今後とも権力の世襲と先軍・圧政の道を維持するであろうと考える。


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