もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

米朝会談に思う

2018年03月10日 | 北朝鮮

 南北会談の結果を携えた韓国の訪米特使に、トランプ大統領が米朝首脳会談に同意したことが報道されている。

 北朝鮮が今回の米朝会談を、25年前のIAEA脱退に始まる核武装政策の総仕上げと位置付けていると視るのは自分だけだろうか。韓国の文大統領は「北朝鮮が核の凍結ではなく半島の非核化を表明した」ために米朝会談の兆しが見えたと意気軒高であるが、これまでにも見え見えの権謀術数を弄してアメリカと中国からは核・ロケット技術と燃料を、韓国からは食料と資金を調達して核兵器と核の運搬手段を完成させた経緯を考えれば、北朝鮮が核の放棄はおろか実験・進化の凍結すらも考えていないのは明らかである。しからば、今回の米朝会談で北朝鮮が得ようとするのは何だろうか。一つは米国の戦術核が韓国に再配備されることの阻止であろうと思う。北朝鮮は大型ミサイルに搭載できるレベルまでは核の小型化に成功しているものの、韓国(ソウル)恫喝のために必要である戦術核の完成にまでには至っていないと思うからであり、開発の時間稼ぎが必要であると判断したものと思う。二つ目は、経済制裁の解除を狙った雰囲気づくりである。「北は朝鮮半島の非核化まで提案して譲歩したが、米国が歩み寄らない」「朝鮮半島非核化のパイはアメリカにある」という演出で、経済制裁を国連決議から外すことを目論んでいると思う。首脳会談で米朝が歩み寄ることは考えられず、そうなれば「緊張の原因はアメリカで、北は被害者」「弱い被害者が防衛のための核を持つことは止む無し」との北支持の世論を形成することが可能となるとの判断に立っているものと思う。国連下の経済制裁が解除されれば、中国・韓国との経済活動は誰はばかることなく可能となり、日米の経済制裁は無視できるものにならざるを得ない。

 「北朝鮮は信用できない国・悪の枢軸」というアメリカの姿勢は一朝一夕に消えるものではなく、米朝首脳会談が何らの成果を上げないことは明白にも拘らず、北朝鮮が首脳会談を持ちかけた真意を測ることなく唯々諾々としてアメリカへの使い走りをしている韓国の道化を苦々しく思う反面、文大統領の薄ら笑いの下に「そんなことは百も承知」「何としてもアメリカを苦境に」との仮面を見るのは自分だけだろうか。


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