もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

核ゴミ最終処分場を考える

2020年10月10日 | エネルギ

 原発で発生した高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場に寿都町と神恵内村が名乗りを上げた。

 両町村の表明は、国が2017年に調査対象になる可能性がある地域を示した「科学的特性マップ」を公表して以降では初めての自治体となるが、何とか実現にまで至って欲しいものである。
 最終処分場決定のプロセスを眺めると、第1段階(文献調査:2年、交付金最大20億円)→第2段階(概要調査:4年程度、交付金最大70億円)→第3段階(精密調査:14年)→処分地決定となっており、最低でも着工まで20年を要する大事業である。また第2段階に進むためには北海道知事の同意が必要となるが、北海道では既に平成12年に高レベル放射性廃棄物を受け入れないとする条例を制定しているために、先行きは不透明な状況で、更には、両町村住民の意見も賛否拮抗の状況とも伝えられていることから紆余曲折を辿らざるを得ないようにも思われる。
 両首長に適地調査受け入れを決断させた背景について、過疎自治体として最大20億円の交付金欲しさという主張もあるが、2018年に発生した北海道胆振地方東部地震に伴う大規模・長期停電も大きいと思っている。当該停電は、地震発生後17分間で火力・水力・風力の発電システムが相次いでダウンしたために、電力の需給バランスが崩れて周波数低下を起こしたことが原因とされている。当時、北海道電力唯一の泊原発は東北大震災によって提起された原発安全審査のために停止しており、もし泊原発が稼働していたならば停電は回避されただろうとされている。さらには、太陽光発電に代表される再生エネルギーについても、設置後数年で風車の破損・倒壊が発生し、メガソーラーと呼ばれる大規模太陽光発電施設も、保守や維持管理に多額の費用がかかり現行の料金体系では採算が取れないことが明らかとなっていることも、原発維持と最終処分地受け家を後押ししたものかも知れない。

 現在でも飽和状態に近い核のゴミについては今後とも増え続ける一方で、もし、20数年後に寿都町・神恵内村の最終処分場が整備できたとしても、間に合うかどうかギリギリの時期であるように思える。さらに野党の主張する「2030年までに原発0」が達成されたとしても、現在の核ゴミに加えて現用原発廃炉で発生する核ゴミは処分する必要があり、この問題は与野党を挙げて解決すべき問題であるように思える。核ゴミの最終処分場は「国外、最低でも県(道)外」という甘言は通用しないものであることを与野党ともに共通の認識として施策実現に努めて欲しいものである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿