もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

座間9人殺害事件に思う

2017年11月10日 | 社会・政治問題

 座間9人殺害事件の被害者が特定された。

 マスコミからは、次は動機の解明が重要であるとの発言が多く見聞されるがいかがなものであろうか。自分は、犯人の心の闇と動機を知ることがさして重要ではなく、9人殺害したという厳然とした事実のみ重視すべきであると思う。時間をかけて犯行に至る経緯や背景の詳細を探ることにあまり意味を見出せないのは、それが次なる同種の犯行を予防するための資料とはなるだろうが完全には防げるものではないし、まして法律に反映されるものは少ないと思うからである。現に、地下鉄サリン事件を首謀した麻原彰晃は、事件の経緯や動機の詳細供述が裁判で得られないために真実が知り得ないとして未決のまま存命している。老々介護に起因する委嘱殺人や、障害児の将来を思いやっての尊属殺人等その背景や動機に罪科を酌量すべき事件も数多く存在するが、罪科酌量のためにのみ真実を知ろうとする司法の考えは理解できない。絶対の真実は神仏のみ知り得るもので人間には到底解明できないと思うからである。なぜなら事実は一つであるにも拘らず、真実とは個人の知識や道徳律等のフィルターを通して事実に推論を加えて得られるものであるが故に、事実の当事者、被害者、関係者、傍観者によって幾通りもの真実があり、裁判官の見る真実もまた真実の一つにしか過ぎないと思う。この独善性是正のために導入された裁判員制度は、裁判官の真実+傍観者(裁判員)の真実という二つの真実をもって、より公平な刑罰を与えようとする制度であると考えている(裁判員裁判の1審判決が上級審で覆る不備を除いて)。裁判官が自分の真実を見つけようとする不毛な努力の積み重ねが裁判の長期化を招き、判決が確定したときには既に事件は風化して新たな形態の事件が世間の耳目を集めており、判決の持つ社会への啓蒙や警鐘は古色を帯びているのが現状ではないだろうか。

 社会が注視している時期に事実のみを重視した判決で結審して、社会正義の維持向上に役立てるべきであると思う。

 訂正 麻原彰晃は死刑が確定しており、刑の執行が保留されている状態である。


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