もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

オーストラリアの森林火災を考える

2020年01月15日 | 自衛隊

 オーストラリアの森林火災は鎮火の気配がない。

 既に、韓国全土を上回る面積が消失し、なお火勢は衰える気配がないと報じられている。現時点での被害は、死亡者28人、コアラ2万5千匹を含む10億匹以上の野生動物が犠牲になり、燻煙は南米大陸にまで影響を与えているとされている。乾季におけるオーストラリアの森林火災は年中行事的なもので何時かは終息するとの甘い認識であったものか、モリソン首相は火災が猛威を振るう12月中旬にはハワイでクリスマス休暇を過ごし非難されている。火災原因ははっきりしないが、自然発火説、落雷説が有力とされているが、煙草の投げ捨てや焚火の不始末容疑で数名拘束されているともされている。同国出身のニコール・キッドマン氏やラッセル・クロウ氏は言うに及ばず、ディカプリオ氏や本田圭佑氏なども相次いで寄付や支援を申し出ている。オーストラリアからの要請を受けて日本も、調整任務の自衛官8名と空自のC‐130輸送機2機を派遣したが直接消火活動には当たらないものと考えられる。海上自衛隊が保有する水陸両用機US-2は、改装すれば水上を約20秒間滑走することで最大15トンの水をタンクに貯められる消防飛行艇とすることも可能であるが、急場には間に合わないので前記の直接支援が限界に近いものと思う。消防飛行艇の導入については、東京都が同機の導入を検討するとした記憶があるが、その後どうなったのであろうか。水利の便と足場の悪い山火事に対しては延焼防止の防火帯を人力で構築するくらいしか消火法がないのが実情で、山火事消火のために複数回出動しただけの経験であるが、防火帯完成の前に火勢が迫ってきたために、後退しては新たな防火帯作成に着手することの繰り返しであった。もし、背後に火が回った場合には消防隊が火中に取り残される危険性が有り、今回のオーストラリアの人員被害もそれに近いものではと推測している。

 オーストラリア国王のエリザベス女王は、孫のヘンリー皇子とメーガン妃に難題を吹きかけられてもおり、オーストラリア火災・EU離脱を含めると多難な年明け・1年となるであろうことに深く同情するところである。オーストラリア火災の復興には巨額(4000億円超)の費用と長い年月が必要とされているが、チャイナ・マネーが火事場泥棒的に蠢動する危険性が有ることを危惧している。近年オーストラリアはようやく中国の魔手と一線を画す方向に向かっていたこともあって、この体制が覆ることはインド・太平洋の平和に大きく影響するとも観ている。ともあれ、山火事の早期鎮火を第一に願うところである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿