舞台上での時の流れは、一瞬が止まったように、とてつもなく
長く感じられる時もある。 ハッと現実に戻ってみると、数秒しか
経過してない、などということも。(逆「浦島太郎」現象)
一曲の歌の中で、しかもジャズ音楽では、決めたテンポ(速さ)を
みんなで保ちながら流れて行くので、少々速くなったりすることは
あっても「取り残される」ことはない(はず)です。
ところが不思議なことに、間奏を聴いている数十秒の間に、
もっと極端な場合には、息を吸ったその一秒くらいの間に
それからそれへととんでもなくたくさんのことを思う時がある・・・。
まさに、時間とはあってないようなもの、と感じる世界です。
もう一つ面白いのは、たくさんの歌詞がある曲を歌う時に、
「どこで息を継いでいいかわからないや」と思うくらい最初は
難儀をしても、何度も口ずさんでいるうちに「あれ?ここに隙間があるじゃん?」
ということがあるのです。もちろんこれは何分の一秒かのことですが。
そうすると、急に一つの言葉のアクセントの位置が明確になり、
全体の流れがスムーズになります。大まかに言えば「こなれてくる」
ということなのでしょうが・・。
説明するのは難しいものですね。
「夏の終わり」の曲から「秋の曲」へ・・・
セミはまだ鳴いていても、暑さがぶり返すことはあっても、
空を見上げるといつの間にか、その色合いと雲の形が変わっている・・・
ゆったりと、でもたゆむことなく流れる時間を感じます。
今宵は五十嵐トリオの美しい調べに
ひととき日常を忘れていただきたく・・・。