東電福一原発2号機でキセノンが検出された。みなが恐れていた再臨界の到来を告げるデータにだれもが色めきたった。しかし、東電保安院は、心配ないという。冷温停止とかいう一件落着スケジュールにも変更なし(ただし原子炉の内部は『ブラックボックス』で『「原子炉の中がどうなっているのかは分からない」(東電)のが現状』)(産経)。何が何でも事故収束シナリオの貫徹をめざす東電保安院は、徹夜で言い訳を考えてから、結局、前夜に認めていた臨界の可能性を否定して、お騒がせキセノン君が自発的に現れたことにした。
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東電が採取したガスにキセノンがみつかったのが1日。それを保安院が再検査して確認したのが2日。その時点で『福島2号機の核分裂ほぼ確実』(共同)となった。しかし、保安院は『「大規模な臨界状態ではない」と何度も強調し』(産経)、『事態の沈静化に躍起』(産経・ス報知)だった(この報知の記事おすすめ。大新聞がいかに政府東電広報か、較べればよくわかる)。
そして持ちだしたたのが、ちょいと出ましたキセノン野郎、このひょうきん者がウラン燃料の核分裂とは違うところから自発的にお出ましになったのだという。
保安院は臨時会見で一方では『局所的な臨界の可能性も否定しない』としながらも、『放射性物質が自ら分裂する「自発核分裂」が起きた可能性が高い』とキセノン発生の原因の『見通し』を語った。この時点ですべてお見通し、東電保安院は2日の昼に『「冷温停止に影響はない」「深刻な事態ではない」と事態の沈静化に躍起となった』あと、ごまかしの方針を決定した。村木さんのフロッピーを改ざんした特捜部・前田検事の報告を聞いた部長は「ミステークでいこう」と方針を指示したそうだが、それと同じように「よし、「自発核分裂」でいこう」なんてやり取りが東電保安院内であったのだろう。さて、キセノン野郎が自分勝手に分裂して出てきたのだから、臨界でもないし、東電保安院の収束計画は順調、というシナリオにそれらしい数値を当てはめ、A4一枚にまとめなさい、などという徹夜の宿題(これ、ぜんぜんむずかしくありません、だって、これを聞くのが大メディアの翼賛ジャーナリストたちだから、何を言っても必ずフォローしてくれます)を、やっつけでこなして翌朝、朝日の気合の入った見出しによれば、『「臨界なかった」と断定 キセノンは自発核分裂 東電』(はい、『断定』なんて意気込んでるのは朝日だけ、東電保安院と自己同一化してしまった記者が憐れ)、ということになった。
では、超越的核エネルギーの黙示録的再臨界を、あっさりと否定する神をも恐れぬこの断定の根拠は何か?毎日によれば、
1『原子炉の温度、圧力に異常な変化がない』
2 『溶融した燃料内のキュリウム242や244という物質が散発的に核分裂を起こしてできるキセノンの量を推定すると、今回の検出結果と合う』
3『臨界が起きた場合は1万倍以上の濃度で検出されるはず』
4『継続的な核分裂の発生に必要な中性子を吸収するホウ酸水を入れても、なおキセノンが検出された』
根拠1は、自発シナリオ以前、臨界可能性の言及の場面でも、臨界が大規模でないという議論に使われた。
『東電は、核分裂が連鎖する再臨界については、原子炉温度や圧力が安定しており、「一時的、局所的に発生した可能性はあるが臨界が続いている状況ではない」とした』(産経)
しかし、圧力や温度はいったいどこで測っているのだ。
保安院は、『「(圧力容器の)温度や圧力は安定的に低下している」と、深刻な事態を否定し』(産経)たそうだし、『9月末には圧力容器下部の温度は100度を下回り、圧力も安定』(産経)
ともいっているから、温度や圧力は「圧力容器」に関して測っているのだろう。ところで、諸紙の記事や図(毎日、朝日、読売)が示しているように、
『核燃料は溶け落ち、原子炉圧力容器の底や、外側の格納容器の底にまで漏れ出していると推定されている』(産経)し、しかもどのくらいの量・割合が『外側の格納容器の底』までもれているか、何しろ原子炉が『ブラックボックス』なのだから、まったくわからない。ほとんどが格納容器底部まで溶融落下しているかもしれない。このような状況で、「圧力容器」の温度や圧力で、溶融した核燃料全体の状況を判断するのは無意味だ。
根拠2はいくつもの前提となる数値を東電が誠実かつ正確に把握し、計算したという前提、当然、大いに疑ってかからねばならない前提が保証されない限り、受け入れられない。そして相手が東電のような、追いつめられたごまかし原発マフィア利権会社だと、『今回の検出結果と合う』という整合性自体があやしい。想定された核燃料に含まれるキュリウムなる物質の量、それが散発的に核分裂する頻度などを想定する時に幅(もしかして想定外の幅も!)はないのか、また、測定されたキセノンから、原子炉内に存在するキセノンの総量を推計する手続きに、恣意性の介入する余地はないのか。当然どのステップでも大いにある。
根拠3についても、キセノンの量の推計に信頼性がないときには、『小規模な臨界であっても検出量の1万倍のキセノンが発生する』などといっても、『検出量』自体に意味がない。1万倍だからまず間違いない、などという「常識的」な判断はここでは危険だ。東電は、この程度の「誤差」や、誤計測や、そしてもっともっと露骨な嘘をもう何度も平気で提示してきているではないか。根拠4も、実験室的な「正常」な状態なら、根拠としての価値を持つかもしれない。しかし、『ブラックボックス』の内部で、ホウ酸がどのように核燃料と相互作用するか、そんなに明らかではないだろう。各紙の図でも、ホウ酸は圧力容器の上からぽたぽた注入されている。核燃料が格納容器の底部に集中していたら、このホウ酸の効果に「理論的」なモデルを当てはめられるだろうか。
第一、これだけの根拠1-4を持ちだした議論するのに、11月1日のキセノン検出から、どうして2日もかかったのか。11月2日に『再臨界の可能性もある』と認めていた時点で、根拠2-3の計算をする時間が十二分にあったはずだ。それでもその時点では、運命の『再臨界』を認めざるをえず、事態沈静化に躍起になっていたのではなかったか。あげくの果ては、『誤検出可能性も』(毎日)という究極の事実無化戦略に希望をつないでいたのではないか。
おそらく、2日から3日の夜中のあいだ、特捜検事たちがしていたように、事態を鎮静化させる「ストーリー」を作りあげ、それに対応する形で、もし後になってばれても「ミステーク」といえるような作為をあちこちに配置していたのではないか。
東電保安院の目的は、お騒がせキセノンをとにかく再臨界から切り離し、御用新聞・朝日が言うように『通常の原発停止中にも原子炉内で起こる現象』にその原因を求め、収束工程表通りの冷温停止というシナリオを守り抜くことだ。その裏には、原発建設から稼働に至るまでと同様に、臭いもの、こわいものを『ブラックボックス』に押し込めてふたをし、虚構のやらせ安全宣言でその場を乗り切ろうといういつもの詐欺師根性だ。マフィアだもの、健やかなる時も病める時も、『通常』の時も事故の時も、あくどい工作のパッチワークで利ザヤを稼ぐ習い性が変わるわけがない。
ところで、キセノンが検出されたのは2号機で『先月28日から格納容器の中の気体を吸い出し、フィルターを通して放射性物質を取り除く装置の運転を始めていて、この装置の出口付近で放射性物質の種類や濃度を測定して分析して』(NHK)いたからだ。この装置は、2号機と同様、核燃料がメルトダウンして、圧力容器・格納容器の底部にたまっている『1、3号機にはまだ設置されていない。1、3号機でも同様に、核分裂が発生している可能性があるが、調べる手段はまだない』(産経)。したがってキセノンがたとえ2号機の『1万倍』もしくはそれ以上出ていても、測っていないのだから存在していることを証明できない。再臨界が起こっていても、それが存在していることを知ることもできない。
だから、というか、それにもかかわらずというか、御用朝日が忠実に伝える東電の堂々たる居直りコメントが許されることになる(朝日の居直りに対して、読売はこの話題に関して沈黙、何か、役割、逆じゃないか?上に引いた読売系列のスポ報知の記事とも要比較)。
『東電によると、キセノンは今回初めて分析して出てきた。過去に計測していれば検出したかもしれず、事故直後から核分裂によって発生し続けていた疑いがある。2号機と同じように燃料が溶融した1、3号機でも起きている可能性もあるという』(朝日)
つまり、東電は、メルトダウンした核燃料が、『事故発生直後から』再臨界をする『可能性もある』のに、それを監視しようともしていなかったということだ。圧力容器付近で温度や圧力はみてました、などと言い訳しても、そこには溶融核燃料が一部しか存在していない。その圧力や温度に変化があったら、その時はもう遅いのではないか。3月12日から数日間の悪夢、もしかしたらそれ以上のものが再臨界とともに訪れるときではないのか。
すなわち、東電保安院は、1、3号機のキセノンをチェックもせずに、堂々と1-3号機の冷温停止プログラムを宣言しているのだ。東電は、「キセノン自分勝手分裂説」を『保安院に報告し、妥当かどうか評価してもらうとしています』(NHK)。しかし、そもそもキセノン検出の報告を遅らせ、東電の隠ぺい工作に加担した保安院のことだから、『評価』結果は最初からわかっている。玄海4号機のときと同様、
『おおむね妥当』
付録:
さて今日は、日々、保安院など経産省のゼンインアホの原発官僚と闘っておられる枝野経産大臣に、はげましのファックスを送ることにします。署名運動のサイトのご忠告に従って、ここまで書いてきたような「暴言」にならないように注意させてもらいます。
『拝啓、枝野幸雄経済産業大臣閣下、
閣下の管轄下にある経済産業省の原子力安全・保安院の開き直りとも取れる堂々たる原発利権擁護ぶりには、閣下も日々、その繊細なお心をお痛めでいらっしゃることと推察申し上げます。この組織は、玄海4号機の再稼働を、「おおむね妥当」として世論の逆鱗に触れ、キセノン検出の報告を、シナリオができるまで保留し、また今度は、東電の「キセノン」自発分裂説に国家のお墨付きを与えようとしています。この保安院なる、政府機関内部の原発利権集団が、東電福一原発事故の直後から国民を裏切り、政府への信頼そのものを揺るがした事実は、本年度の流行語大賞が確実視されている表現「ホアンインゼンインXX」(「暴言」にならないよう2字伏字)にいかんなく表れております。このような原発利権官僚たちの野放図な暗躍を見過ごしておられることは、閣下や政府が「脱原発依存」の名目でもくろんでいる原発の延命、良心的かつリーズナブルな原発の全国的再稼働にとっても多大の障害となることはあきらかであります。しかも、この原発利権官僚集団は、僭越ながら「大臣の首を取る」意図を有しておると推察されます。すでにわきの甘い前大臣を罠にはめた実績もあります。閣下におかれましては、このようなマキャベリスト官僚たちにゆめゆめ油断めさることなく、常に毅然とした態度で人事権を振り回し、一切の妥協なく戦われて政治主導の実をあげていただきますよう、こころよりご健闘をお祈り申し上げます。天下りの蜜に魂の芯まで浸食された利権官僚たちが、すでに死に体の保安院を利用して推進する悪あがきの原発闇市政策は、東電福一原発事故の思いがけない悪化や、第二、第三のFukushima再来すら招きかねません。』
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東電が採取したガスにキセノンがみつかったのが1日。それを保安院が再検査して確認したのが2日。その時点で『福島2号機の核分裂ほぼ確実』(共同)となった。しかし、保安院は『「大規模な臨界状態ではない」と何度も強調し』(産経)、『事態の沈静化に躍起』(産経・ス報知)だった(この報知の記事おすすめ。大新聞がいかに政府東電広報か、較べればよくわかる)。
そして持ちだしたたのが、ちょいと出ましたキセノン野郎、このひょうきん者がウラン燃料の核分裂とは違うところから自発的にお出ましになったのだという。
保安院は臨時会見で一方では『局所的な臨界の可能性も否定しない』としながらも、『放射性物質が自ら分裂する「自発核分裂」が起きた可能性が高い』とキセノン発生の原因の『見通し』を語った。この時点ですべてお見通し、東電保安院は2日の昼に『「冷温停止に影響はない」「深刻な事態ではない」と事態の沈静化に躍起となった』あと、ごまかしの方針を決定した。村木さんのフロッピーを改ざんした特捜部・前田検事の報告を聞いた部長は「ミステークでいこう」と方針を指示したそうだが、それと同じように「よし、「自発核分裂」でいこう」なんてやり取りが東電保安院内であったのだろう。さて、キセノン野郎が自分勝手に分裂して出てきたのだから、臨界でもないし、東電保安院の収束計画は順調、というシナリオにそれらしい数値を当てはめ、A4一枚にまとめなさい、などという徹夜の宿題(これ、ぜんぜんむずかしくありません、だって、これを聞くのが大メディアの翼賛ジャーナリストたちだから、何を言っても必ずフォローしてくれます)を、やっつけでこなして翌朝、朝日の気合の入った見出しによれば、『「臨界なかった」と断定 キセノンは自発核分裂 東電』(はい、『断定』なんて意気込んでるのは朝日だけ、東電保安院と自己同一化してしまった記者が憐れ)、ということになった。
では、超越的核エネルギーの黙示録的再臨界を、あっさりと否定する神をも恐れぬこの断定の根拠は何か?毎日によれば、
1『原子炉の温度、圧力に異常な変化がない』
2 『溶融した燃料内のキュリウム242や244という物質が散発的に核分裂を起こしてできるキセノンの量を推定すると、今回の検出結果と合う』
3『臨界が起きた場合は1万倍以上の濃度で検出されるはず』
4『継続的な核分裂の発生に必要な中性子を吸収するホウ酸水を入れても、なおキセノンが検出された』
根拠1は、自発シナリオ以前、臨界可能性の言及の場面でも、臨界が大規模でないという議論に使われた。
『東電は、核分裂が連鎖する再臨界については、原子炉温度や圧力が安定しており、「一時的、局所的に発生した可能性はあるが臨界が続いている状況ではない」とした』(産経)
しかし、圧力や温度はいったいどこで測っているのだ。
保安院は、『「(圧力容器の)温度や圧力は安定的に低下している」と、深刻な事態を否定し』(産経)たそうだし、『9月末には圧力容器下部の温度は100度を下回り、圧力も安定』(産経)
ともいっているから、温度や圧力は「圧力容器」に関して測っているのだろう。ところで、諸紙の記事や図(毎日、朝日、読売)が示しているように、
『核燃料は溶け落ち、原子炉圧力容器の底や、外側の格納容器の底にまで漏れ出していると推定されている』(産経)し、しかもどのくらいの量・割合が『外側の格納容器の底』までもれているか、何しろ原子炉が『ブラックボックス』なのだから、まったくわからない。ほとんどが格納容器底部まで溶融落下しているかもしれない。このような状況で、「圧力容器」の温度や圧力で、溶融した核燃料全体の状況を判断するのは無意味だ。
根拠2はいくつもの前提となる数値を東電が誠実かつ正確に把握し、計算したという前提、当然、大いに疑ってかからねばならない前提が保証されない限り、受け入れられない。そして相手が東電のような、追いつめられたごまかし原発マフィア利権会社だと、『今回の検出結果と合う』という整合性自体があやしい。想定された核燃料に含まれるキュリウムなる物質の量、それが散発的に核分裂する頻度などを想定する時に幅(もしかして想定外の幅も!)はないのか、また、測定されたキセノンから、原子炉内に存在するキセノンの総量を推計する手続きに、恣意性の介入する余地はないのか。当然どのステップでも大いにある。
根拠3についても、キセノンの量の推計に信頼性がないときには、『小規模な臨界であっても検出量の1万倍のキセノンが発生する』などといっても、『検出量』自体に意味がない。1万倍だからまず間違いない、などという「常識的」な判断はここでは危険だ。東電は、この程度の「誤差」や、誤計測や、そしてもっともっと露骨な嘘をもう何度も平気で提示してきているではないか。根拠4も、実験室的な「正常」な状態なら、根拠としての価値を持つかもしれない。しかし、『ブラックボックス』の内部で、ホウ酸がどのように核燃料と相互作用するか、そんなに明らかではないだろう。各紙の図でも、ホウ酸は圧力容器の上からぽたぽた注入されている。核燃料が格納容器の底部に集中していたら、このホウ酸の効果に「理論的」なモデルを当てはめられるだろうか。
第一、これだけの根拠1-4を持ちだした議論するのに、11月1日のキセノン検出から、どうして2日もかかったのか。11月2日に『再臨界の可能性もある』と認めていた時点で、根拠2-3の計算をする時間が十二分にあったはずだ。それでもその時点では、運命の『再臨界』を認めざるをえず、事態沈静化に躍起になっていたのではなかったか。あげくの果ては、『誤検出可能性も』(毎日)という究極の事実無化戦略に希望をつないでいたのではないか。
おそらく、2日から3日の夜中のあいだ、特捜検事たちがしていたように、事態を鎮静化させる「ストーリー」を作りあげ、それに対応する形で、もし後になってばれても「ミステーク」といえるような作為をあちこちに配置していたのではないか。
東電保安院の目的は、お騒がせキセノンをとにかく再臨界から切り離し、御用新聞・朝日が言うように『通常の原発停止中にも原子炉内で起こる現象』にその原因を求め、収束工程表通りの冷温停止というシナリオを守り抜くことだ。その裏には、原発建設から稼働に至るまでと同様に、臭いもの、こわいものを『ブラックボックス』に押し込めてふたをし、虚構のやらせ安全宣言でその場を乗り切ろうといういつもの詐欺師根性だ。マフィアだもの、健やかなる時も病める時も、『通常』の時も事故の時も、あくどい工作のパッチワークで利ザヤを稼ぐ習い性が変わるわけがない。
ところで、キセノンが検出されたのは2号機で『先月28日から格納容器の中の気体を吸い出し、フィルターを通して放射性物質を取り除く装置の運転を始めていて、この装置の出口付近で放射性物質の種類や濃度を測定して分析して』(NHK)いたからだ。この装置は、2号機と同様、核燃料がメルトダウンして、圧力容器・格納容器の底部にたまっている『1、3号機にはまだ設置されていない。1、3号機でも同様に、核分裂が発生している可能性があるが、調べる手段はまだない』(産経)。したがってキセノンがたとえ2号機の『1万倍』もしくはそれ以上出ていても、測っていないのだから存在していることを証明できない。再臨界が起こっていても、それが存在していることを知ることもできない。
だから、というか、それにもかかわらずというか、御用朝日が忠実に伝える東電の堂々たる居直りコメントが許されることになる(朝日の居直りに対して、読売はこの話題に関して沈黙、何か、役割、逆じゃないか?上に引いた読売系列のスポ報知の記事とも要比較)。
『東電によると、キセノンは今回初めて分析して出てきた。過去に計測していれば検出したかもしれず、事故直後から核分裂によって発生し続けていた疑いがある。2号機と同じように燃料が溶融した1、3号機でも起きている可能性もあるという』(朝日)
つまり、東電は、メルトダウンした核燃料が、『事故発生直後から』再臨界をする『可能性もある』のに、それを監視しようともしていなかったということだ。圧力容器付近で温度や圧力はみてました、などと言い訳しても、そこには溶融核燃料が一部しか存在していない。その圧力や温度に変化があったら、その時はもう遅いのではないか。3月12日から数日間の悪夢、もしかしたらそれ以上のものが再臨界とともに訪れるときではないのか。
すなわち、東電保安院は、1、3号機のキセノンをチェックもせずに、堂々と1-3号機の冷温停止プログラムを宣言しているのだ。東電は、「キセノン自分勝手分裂説」を『保安院に報告し、妥当かどうか評価してもらうとしています』(NHK)。しかし、そもそもキセノン検出の報告を遅らせ、東電の隠ぺい工作に加担した保安院のことだから、『評価』結果は最初からわかっている。玄海4号機のときと同様、
『おおむね妥当』
付録:
さて今日は、日々、保安院など経産省のゼンインアホの原発官僚と闘っておられる枝野経産大臣に、はげましのファックスを送ることにします。署名運動のサイトのご忠告に従って、ここまで書いてきたような「暴言」にならないように注意させてもらいます。
『拝啓、枝野幸雄経済産業大臣閣下、
閣下の管轄下にある経済産業省の原子力安全・保安院の開き直りとも取れる堂々たる原発利権擁護ぶりには、閣下も日々、その繊細なお心をお痛めでいらっしゃることと推察申し上げます。この組織は、玄海4号機の再稼働を、「おおむね妥当」として世論の逆鱗に触れ、キセノン検出の報告を、シナリオができるまで保留し、また今度は、東電の「キセノン」自発分裂説に国家のお墨付きを与えようとしています。この保安院なる、政府機関内部の原発利権集団が、東電福一原発事故の直後から国民を裏切り、政府への信頼そのものを揺るがした事実は、本年度の流行語大賞が確実視されている表現「ホアンインゼンインXX」(「暴言」にならないよう2字伏字)にいかんなく表れております。このような原発利権官僚たちの野放図な暗躍を見過ごしておられることは、閣下や政府が「脱原発依存」の名目でもくろんでいる原発の延命、良心的かつリーズナブルな原発の全国的再稼働にとっても多大の障害となることはあきらかであります。しかも、この原発利権官僚集団は、僭越ながら「大臣の首を取る」意図を有しておると推察されます。すでにわきの甘い前大臣を罠にはめた実績もあります。閣下におかれましては、このようなマキャベリスト官僚たちにゆめゆめ油断めさることなく、常に毅然とした態度で人事権を振り回し、一切の妥協なく戦われて政治主導の実をあげていただきますよう、こころよりご健闘をお祈り申し上げます。天下りの蜜に魂の芯まで浸食された利権官僚たちが、すでに死に体の保安院を利用して推進する悪あがきの原発闇市政策は、東電福一原発事故の思いがけない悪化や、第二、第三のFukushima再来すら招きかねません。』