東電は、メルトダウンの事実を2カ月も隠していた。燃料露出の程度も意図的に縮小化していた。その東電が、現場資料を公表し、さらにこの23日には、このメルトダウンの「告白」を含む報告書を政府に提出した。そこで、高らかに、『地震の揺れによる機器の損傷については「主要な設備では起きなかった」との従来の見解を踏襲した。』のだそうだ。しかし、私たちが過去記事で指摘したように、共同通信、中日新聞(東京新聞にも同内容の記事あり)、ブルームバーグ・ニュースが、東電の公表資料と取材から、原子炉や配管の「重大設備」が、地震そのものによって、津波到達前にすでに破損していたことをつきとめ東電側を追及していた。 . . . 本文を読む
5月23日に福島の親御さんたちが、子どもたちの被曝基準を年間20ミリシーベルトとすることに抗議し、基準の撤回を求めて文科省に出かけて行った。毎日新聞によれば、『福島県内の父母ら約650人』が集まったということだ。その『要望書を涙ぐみながら読み上げる福島から来た親子』(毎日)や『「我慢ももう限界」と涙声で訴えた』『4児の母親』(朝日)を前にして、文科省の担当者はどう答えたか。 . . . 本文を読む
福島のあと、フェッセンハイム原子力発電所の閉鎖を要求する声が高くなっている。フェッセンハイム原発は、フランスでいちばん古く、福島第一と同じ1970年に建てられた。フランスの東のはずれ、アルザス地域圏オ・ラン県にあって、ドイツ国境まで1・5キロ。欧州議会もある古都ストラスブール(人口28万人弱)まで80キロほどで、20から30キロ圏にコルマール(7万人弱)、ミュルーズ(11万人強)があり、スイスのバーゼルも40キロほどのところにある。 . . . 本文を読む
大手メディアの怠慢翼賛報道の隠ぺいのベールを破るには、通信社・地方紙とともに、やはり海外メディアの突込みにも期待が集まる。Bloomberg.co.jpの『福島原発:津波が来る前に放射能漏れの可能性-地震で既に打撃か(1)』は、そんな期待に応えてくれる大変重要な事実を、共同通信や中日新聞と同様、やはり東電への取材を通して明らかにしている。その重要事実とは、『東京電力福島第一原子力発電所では津波が来る前に放射能が漏れていた--。』 . . . 本文を読む
東電が事故発生直後の原子炉データの詳細を16日に公表したが、大手メディアはその中から1号機の冷却装置である非常用復水器が「自動的に起動したが起動後まもなく停止した」という点を重点的に報道した。というのも、この冷却装置は、正常に動作していれば、『メルトダウンを遅らせることができた可能性もある』(読売)という重要な機能を担っていたからだ。 . . . 本文を読む
読売・朝日・毎日・日経・産経などの全国紙が「東電発表」を安直にそして堂々と繰り返しているだけなのに、共同通信に続いて中日新聞も、極度に重要な事実を、『東電など複数の関係者』に対する独自の取材に基づいて明らかにしてくれた。今度は2号機の話。地震そのものによって圧力抑制室(格納容器下部)が破損しており、その破損箇所から水素が漏れて、外の酸素に触れた結果、3月15日の2号機の爆発を引き起こしたというものだ。 . . . 本文を読む
5月15日、共同通信は福島原発事故に関して、今後、極度に重要な意義を持ってくる事実を報道した。すなわち、3月11日の地震直後、「津波より前」の時点で、ということは、津波が原因ではなく地震が原因で、「重要設備が被害を受けていた可能性」があると、東電自身が認めたという報道である。以下の記事は細心の注意を持って読まれるべきだ。また、知らずにいる人たちに対して、なるべく広範囲に知らせてあげるべきだ。 . . . 本文を読む
5月14日19時のNHKニュースは、福島県知事が池袋で福島の産物と観光の安全性をアピールするイベントに出席したと報じた。テレビはにこにこしながら選挙の時と同じ「ガンバロー」コールをするこの政治家を大写しにした。・・・そのニュースの直前には、メルトダウンが確実となった1号炉の圧力容器に穴が開き、さらに格納容器も漏れた大量の汚染水が地下にたまり、「今までで一番高い」2000ミリシーベルト/時という放射線量を記録したと伝え、さらに海には、ここ数日、基準値の3000倍とも6000数百倍ともいう濃度の放射性物質が放出され続けている現状における「福島の安全」とはなんだろう。 . . . 本文を読む
浜岡原発停止以来、産経新聞は絶好調で吠えている。原発停止は、火力による代替などではどうしようもない電力不足を引き起こし、基幹産業を崩壊させる。電力不足は全国に及び、「生産拠点の海外シフトを進める動き」、産業の空洞化は避けられない。要するに、
『日本のものづくり機能はとどめを刺される』(こういうのは風評被害にはいらないのでしょうか?)これに対して、どうも産経ほど腰のすわらない新聞もある。 . . . 本文を読む
学校の「安全」基準で、仲間内からも批判を浴び、地元住民からの抗議・交渉や地元自治体からの要望をうけて、なんだか文科省は、大臣以下、気分を害しているようだ。校庭の土を入れ替えろ、と言われて、はい、かしこまりましたでは、国家統制の権威を保てない。 . . . 本文を読む
浜岡原発停止の経済的影響を、「オオカミが来るぞ」という論調で報道する大新聞が、われ先にこぞって引き合いに出すのが、中部地方の自動車産業。昨日の記事で引用した毎日新聞のほかに、産経にもこんなのがあった。
・・・どう見ても、浜岡原発停止による「電力不足が現実となれば」スズキにとっても「深刻な問題とな」り、したがって、スズキも大変に困っている、と読める。 . . . 本文を読む
浜岡原発の停止を政府が要請した。福島原発事故の収束と、福島の人々に対するまっとうな対策を求めつつ、日本そして世界の脱原発を願うものにとって、わずかながら貴重な前進である。さて、日本の原発の今後にも大いに影響を持つと考えられるこの出来事を大新聞はどのように報道したか。政府の声明の第一報の後、各紙とも注目したのが、中部電力の反応とともに、「今後の電力・経済見通し」であった。各紙とも、オオカミが来るぞ!の大合唱。 . . . 本文を読む
4月10日に高円寺で反原発デモをやったおかしな集団「素人の乱」が、今度の5月7日(土)には渋谷で「超巨大サウンド・デモ」という反原発の事象(イベント)を呼びかけている(大阪・神戸・名古屋でもある)。前に、高円寺のデモ紹介のときに言及したが、この「素人の乱」の中心メンバーは松本哉(はじめ)氏である。この人の本「貧乏人の逆襲は」はいきなりこんな宣言で始まる。 . . . 本文を読む
前2回の記事で記した経緯を経て、とうとうペルラン氏(以下、ペ氏)は2006年に「重大詐欺」で被疑者として取調べられることになった。フランス国民は捜査と報道の過程で、この男のことを「放射能雲は国境で停止した」というフレーズとともに記憶した。ところが、数か月まえ、ペ氏の弁護団は、裁判所に「控訴棄却」を請求。奇しくも福島原発の事故後日も浅い3月中旬に予審判事は捜査の一時停止を命じられる。3月31日、パリ控訴院(高裁相当)が開廷し(保守派のフィガロ紙でさえ「もっといいタイミングはなかったものか」と慨嘆)、公訴棄却について審議。結論を9月に出すとした。
. . . 本文を読む
2001年3月1日。チェルノブイリ原発事故による放射性物質の飛来・降下に関するフランス当局の対応が、甲状腺がん等の病気の深刻化をもたらしたとして、「フランス甲状腺病患者連合」(1999年結成)が、被疑者不詳のまま提訴。提訴の数は、その後2002年4月までに、400件に達した。 . . . 本文を読む