昔から自民党という政党が嫌いな自分だけれど、そんな自民党に所属していた(又は所属している)議員の中にも、シンパシーを感じる者が存在しなかった(又は存在しない)訳では無い。古くは田中角栄元首相や大平正芳元首相、後藤田正晴元官房長官等は好きな政治家だった。
「今の自民党は、安倍晋三首相の顔色を窺い、安倍首相が『右!』と言ったら無条件で右を向くイエスマン許りだが、非常に少数乍らも好感を持てる者も居る。村上誠一郎氏や石破茂氏等だ。
石破茂氏に関して言えば、其の主義や主張に相容れない所が在ったりはするけれど、「不都合な質問に対して話を逸らしたり、餓鬼の様に打ち切れる何処かの首相。」とは異なり、「常に冷静に、且つ理論的話す石破氏。」の姿は大した物だと思っている。
今、彼が著した本「日本列島創生論 地方は国家の希望なり」を読んでいるのだけれど、彼の理論形成の元になっている思考が窺えて中々面白い。其の一方で、「私は〇〇と思うのだけれど、『〇〇では無い。』と思う人達が居るのも理解出来る。』といった記述が非常に多い。」事が気になった。自分もそういう傾向が在るので判るのだけれど、周りに対して配慮し過ぎな面が強いのだと思う。悪く言えば「何方付かずに受け取られ勝ち。」という事になるだうし、こういうタイプはリーダーに向かなかったりする。
「自民党の中でも、真面な部類。」と捉えている石破氏だが、特定秘密保護法案に対してデモ活動が相次いでいた中、「単なる絶叫戦術は、テロ行為と其の本質に於て余り変わらない様に思われます。」と発言したのは、非常に残念な事だった。「発言の前後を無視し、一部だけを取り上げて批判している。」というのは失言&暴言を吐いた政治家が良く口にする言い訳だけれど、石破氏の此の時の発言は全文を確認するも、余りに乱暴な括り方だった。
暴言と言えば・・・。
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「『ヒトラー、動機正しくても駄目。』=麻生氏が再び問題発言」(8月29日、時事通信)
麻生太郎副総理兼財務相は29日、自らが率いる自民党麻生派の研修会で行った講演で、「(政治は)結果が大事だ。何百万人殺したヒトラーは、矢っ張り幾ら動機が正しくても駄目だ。」と述べた。
ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺の「動機は正しい。」と擁護したとも受け取れる発言で、野党等から批判が上がりそうだ。
麻生氏の発言は、所属議員に政治家の心構えを説く中で出た。ヒトラーへの言及に続き、「国民に確たる結果を残して初めて、名政治家だったと言われる。人が良いだけで遣れる様な職業じゃ無い。」と語った。
麻生氏は2013年に講演で「ドイツのヴァイマル憲法も、何時の間にかナチス憲法に変わっていた。誰も、気が付かなかった。彼の手口に学んだらどうかね。」と発言して批判を浴び、撤回している。
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其の言動が、過去に何度も批判されて来ている麻生副総理。「未曾有」を「みぞゆう」、「踏襲」と「ふしゅう」と読む等、漢字の読み間違いで猛批判を浴びた事は、個人的に「そんなのどうでも良いじゃない。」と気の毒に思ったけれど、2013年の「ドイツのヴァイマル憲法発言」は、流石にアウト!
そして、今回の発言だが、「(政治は)結果が大事だ。」や「国民に確たる結果を残して初めて、名政治家だったと言われる。人が良いだけで遣れる様な職業じゃ無い。」は其の通りだけれど、「何百万人殺したヒトラーは、矢っ張り幾ら動機が正しくても駄目だ。」は、決して許されない発言だ。
一見すると「何百万人殺したヒトラー=良く無い。」という事で間違っていない様に思うが、「幾ら動機が正しくても」としている事が大問題。「劣性民族たるユダヤ人が、ドイツを駄目にしている。だから、ユダヤ人を迫害しろ。」というのがヒトラーが“政策”を推し進めた“最大の動機”だった筈。動機自体が正しく無かったからこそ、あんな最悪の事態を招いたのではないか。
2013年の発言に続き、今回の発言でハッキリした事は、「麻生副総理は、ナチス・ドイツが非常に好き。」という事。“単なる失言”では済まされない、“確信的な暴言”だと思う。