カープからFA宣言していた丸佳浩選手が一昨日、ジャイアンツ入りを表明した。カープ、マリーンズ、そしてジャイアンツの3球団が争奪戦に名乗りを上げていたが、個人的には「最終的には、カープに残留するだろうな。」と予想していたので、ジャイアンツ入りという結果には驚かされた。
FA宣言していた炭谷銀仁朗選手(ライオンズ)、自由契約となっていた中島裕之選手(バファローズ)、そしてクリスチャン・ヴィヤヌエバ(パドレス)に続き、今回の丸選手の獲得と、今オフのジャイアンツの補強は凄まじい物が在る。4年連続でリーグ優勝を逃し、来季のリーグ優勝が義務付けられている原辰徳監督だけに、「形振り構ってなんかいられない。」という事なのだろう。
FA制度が始まったのは、1993年オフの事。FA制度でジャイアンツ入りした初の選手は落合博満氏で、丸選手は26人目の使者という事になる。此方にFA制度でジャイアンツ入りした歴代選手が紹介されているが、昨年迄の24人を対象に獲得の成否を判定してみると、甘く判定しても成功は「8人」。詰まり、成功率は約33.3%と決して高く無い。
過去に何度か書いているが、「『自前の選手を徹底的に鍛え上げ、其れでも足りなければ補強する。』という形が普通で、無節操に補強に走るのは駄目。」というのが自分の考え。だから、ジャイアンツの補強に関しては、不満を感じる事が多かった。
若手選手が育って来ているとはいえ、4年連続でリーグ優勝を逃しているという現実を考えると、今オフにジャイアンツが補強に走るのは理解出来る。でも、先月の記事「FAでジャイアンツが選手を獲得するのならば」で書いた様に、炭谷選手の獲得は望ましいと思えなかったし、中島選手の獲得にも疑問を感じている。
では、「丸選手はどうなのか?」という事になるが、3つの点でジャイアンツにメリットを齎すと考える。
1つ目は、「ジャイアンツの打撃力が上がる。」という点。チャンスに強い打撃は、敵だと非常に嫌だが、味方にするとこんなに心強い存在は無い。(三振数の多さは気になるけれど。)彼の直向きな練習姿勢も、チームに良い影響を与える事だろう。
2つ目は、「“難攻不落”のカープの戦力を削ぎ落す。」という点。“正々堂々とした手法”とは言い難いが、戦国武将が良く使っていた手法。「ライヴァル・チームの戦力を削ぎ落す事で、自チームの勝利数を増やす。」というのは、古くは「別所引き抜き事件」に見られる様に、ジャイアンツの十八番と言っても良い。
そして3つ目だが、「カープがジャイアンツに強い理由を、丸選手を通じて知る事が出来る。」という点だ。今季を含めて過去4年間(2015年~2018年)、ジャイアンツはカープに勝ち越せていない。今季で言えば、ジャイアンツは「7勝17敗1引き分け」と、大きく負け越している。こんなにも負け越しているのは、「カープのチーム力が非常に強い。」というのは在るだろうけれど、7月の記事「見抜かれている」で記した様に、「『ジャイアンツ投手陣の癖』や『ジャイアンツのキャッチャーの配球(特にカープがチャンスを迎えた際)の癖』がカープに見抜かれている。」のではないかと考える。だから、丸選手から内情を知る事で、効果的な対策が打てるのではないだろうか。
ジャイアンツの次に好きなチームがカープなので、丸選手の獲得は辛い部分も在る。でも、“有効な補強”という意味では、彼の獲得はジャイアンツにとって非常に大きいだろう。