ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

毎年、10の○○が消滅

2007年05月31日 | 書籍関連
英国放送協会(BBC)のジャーナリスト兼プロデューサーのジェシカ・ウィリアムズ女史が著し、2004年初めにイギリスで刊行された本「50 FACTS THAT SHOULD CHANGE THE WORLD(世界を見る目が変わる50の事実)」。これを子供向けに編み直し&和訳した「みんなで考えよう 世界を見る目が変わる50の事実」を読破。世界が抱える問題を50個ピックアップし、その現状と問題が生み出された要因を平易な言葉と多くのイラストで、非常に判り易く解説している。子供向けという事では在るが、大人が読んでも面白い本だと思う。

今回の記事では、50の事実の中から5つを紹介したい。

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① 世界には今も2,700万人の奴隷が居る。

現代にも奴隷と呼ばれる人達が南極大陸を除くあらゆる大陸に居り、その数は約2,700万人にも上るという。彼等は農場や工場で働かされたり、危険な仕事や売春、ポルノ産業に従事させられている。

最も多いのは、多額の借金を背負わされて働かされている「借金奴隷」と呼ばれる人達。法外な利子を課され、僅かな給料しか貰えない為、働けど働けど借金は減るどころか増える一方。親が返し切れなかった為、その子供迄もが奴隷にさせられるケースも。

次に多いのは、「強制労働」という形の奴隷。「好条件の仕事が在る。」と騙して大都会や外国に連れて行き、逃げられない様にして奴隷にする。アラブ首長国連邦でラクダ・レースの騎手をさせられていた少年が、実は4歳の時にバングラデシュから誘拐され、体重を軽くする為に食事や水を殆ど与えられない状態で育っていたというケースも在ったそうだ。

エイブラハム・リンカーン大統領が「奴隷解放宣言」をした1862年迄、アメリカ南部の農園では黒人奴隷達が働かされていた訳だが、当時の奴隷は現在の金銭に換算すると1人約4万ドル(約464万円)で売買されていた。それに対して、現代の奴隷の平均売買価格は約90ドル(約1万円)という。


② 肥満の人の3人に1人は、発展途上国に住んでいる。

現在、世界には3億人以上の人が肥満状態にあり、その3分の1は発展途上国に住んでいる人達。貧しい人達が太っているというのは妙な気もするだろうが、これは先進国から糖分過多な加工食品や脂肪分の多い肉(先進国ではペット・フードや肥料に使われる様な代物。)が大量に輸入され、それ等が地元で捕れる魚よりも安く買えてしまう為、発展途上国の人達が結果的に肥満を促進する食材を挙って購入してしまうからだとか。サモアの大臣が安い輸入肉の事を「富裕国が貧困国に押し付けるジャンク・フード。」と非難したそうだが、正にその通りだろう。

1990年代、アメリカでは肥満から来る病気に費やされた費用は、煙草が引き起こす病気の2倍にもなったというが、先進国が金儲けの為に発展途上国に”病気”を輸出していると言えるのかもしれない。


③ 世界の人口の70%以上は、電話を使った事が無い。

現代はインターネット時代と言われているが、インターネットを使っているのは世界の人口の10%に過ぎず、その内90%は先進国に住んでいる。アメリカでは2人に1人がインターネットの利用者だが、アフリカの中部南部の国では利用者が250人から400人に1人という状況。それ以前に、アフリカでラジオを持っている人は4人に1人、電話は40人に1人に過ぎず、世界全体で見ると人口の70%は禅話さえ使った事が無い計算になるとか。

インターネットが普及する一方で、「情報を持っている人」と「情報を持たない(持てない)人」との格差、即ちデジタル・ディバイド(情報格差)は発展途上国のみならず先進国の間でも広がっており、それが更なる経済格差をも生み出している。


④ ロシアで夫や恋人に殺される女性は、毎年1万2千人以上。

女性の3人に1人は、生涯の間に殴られたり強姦されたりと何等かの暴力被害に遭っているという。特にロシアでは、夫や恋人から受ける「DV(家庭内暴力)」が多く、1年間に1万2千人~1万4千人もの女性が殺されているそうで、これは43分間に1人殺害されているという恐ろしい計算になる。アメリカでは2000年にDVで殺された女性の数が1,238人という事なので、人口では約半数のロシアが10倍の被害者を生み出しているというのは、如何に異常な数値か理解して戴けるだろう。

ロシアでこれ程迄に「DVによる殺害者数」が多いのには、生活苦や住宅不足、女性を保護するシェルターの不足等、貧困から来る要因が挙げられているが、最大の要因は人々の固定観念に在るのではないかとされている。ロシアでは「男が女を殴るのは愛しているからだ。」というとんでもないが存在。昔から女性を生きた財産として扱って来た歴史が在り、娘を嫁がせた父親はその見返りに夫から金銭を貰い、夫は夫で「金を払って妻を買ったのだから、妻をどうしようが勝手。」という考え方が根強く在るとか。

 
⑤ 毎年、10の言語が消滅している。

20年程前に「生物が一日一種消えてゆく: 滅びの動物学」という本を読んでショックを受けたが、ユネスコによると世界では毎年、10の言語が消滅しているという。世界で話されている言語は約6千種類在るが、その半分は絶滅寸前状態。カメルーンのルオ語やオレゴン州のクラマス語等は、話せる人間が今や一人しか居らず、この人達が亡くなってしまったらその言語を解せる人は地上から居なくなってしまう可能性が高い。

言語が消滅して行く理由には、子供達が世界で広く使われる言語(英語等。)を習得し、先祖代々伝わって来た言語を学ばなくなったという事が挙げられる。元々限られた地域でしか話されていなかった言語は、その人達が都会に移住したり、故郷を追われると、使われなくなる。政府が「公用語」を押し付け、その結果廃れてしまった言語も。嘗てオーストラリアでは、土着アボリジニ言語が400種類も在ったが、政府から使用を禁止された事で現在は僅か25種類になってしまったそうだ。

言語の絶滅は、それを使用していた民族のアイデンティティーの喪失にも繋がる。ニュージーランドマオリ族の牧師が語ったという言葉自分の言語を話さずに育てば、自分が何者かも判らなくなる。は非常に重い。

因に紀元200年頃に一旦は話す人が居なくなったとされるヘブライ語も、幸い乍ら読み書きには使われて残り、19世紀後半に完全に蘇った。今ではイスラエル国民の81%がヘブライ語を話しているという。
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