ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

昔は「笑うシーン」では無かったのだろうけれど

2011年09月07日 | 其の他

3ヶ月前の記事「寂しい光景」の冒頭で、1970年代に映画館で上映された「東映まんがまつり」が今秋にDVDにて発売される事を紹介した。「『東映まんがまつり』とは何なのか?」等に付いては当該記事に詳しく書いたので其方を見て戴きたいのだが、DVDが発売される事を記念して「一夜限りの上映会」が催されたので、2度程「東映まんがまつり」を観に行った“嘗ての子供”の1人として参加する事に。

 

会場となったのは、日本教育会館内の一ツ橋ホール。本好きの人間神保町には何度も足を運んでいたが、日本教育会館が在るのは知らなかった。3階に在る一ツ橋ホールの入り口には「長靴をはいた猫 80日間世界一周」(動画)のペロ、仮面ライダーX動画)、イナズマン動画)、そしてロボコン動画)という「東映まんがまつり」とはが深い4人(?)が来場者を御出迎え。同年代以上のおっさん達が嬉々として写真撮影しているのが、何とも微笑ましかった。

 

上映されるのは「ゲッターロボ」(動画)、「イナズマンF」()、「フィンガー5の大冒険」、「魔女っ子メグちゃん」(動画)、「マジンガーZ対暗黒大将軍」(動画)、そして「五人ライダー対キングダーク」*1の合計6作品で、此れ1974年7月25日に公開されたラインナップと全く同一なのだとか。「寂しい光景」の中でも書いた様に、自分が最初に観に行った東映まんがまつりは正に「1974年7月25日公開版」で在り、非常に楽しみだった。又、上映前には“水木のアニキ”のミニ・ライヴが行われるというのも、自分の気持ちを弥が上にも高めさせていた。

 

自分と同年代以上のおっさん達が大勢居るのは想定内だったけれど、意外だったのは10~20代の若者が結構居た事。「東映まんがまつりなんて知らないで在ろう兄ちゃん達が、何でこんなに居るの?」と不思議だったのだけれど、水木のアニキのミニ・ライヴ(「最高!!」の一言。)後に「ももいろクローバーZ」なる女性アイドル・グループが登場&ミニ・ライヴを行った事で、理由が判明。可愛らしい女性アイドルの登場には「おーっ!」と喜んでしまった自分だけれど、彼女達を大声で声援する若者軍団には圧倒されてしまった。「大声且つ振り付きで彼女達を応援する若者軍団の一画」と「どうして良いのか判らずに凍り付いていた(自分を含む)おっさん軍団の一画」という対比が余りにも面白く、思わずニンマリ。

 

上映された作品に関してだが、「イナズマンF」及び「フィンガー5の大冒険」はグダグダな感じで面白くなかった。特に「フィンガー5の大冒険」は“悪い意味で”「典型的なアイドル映画」という、遣っ付け仕事的な内容。此の作品の監督を務めたのは石ノ森章太郎(当時は「石森章太郎」。)氏なのだが、生み出した漫画の数々は素晴らしいのだけれど、どうも彼が監督をした映像作品には此の手のグダグダ感を感じる物が少なくないのは、実に残念な事。

 

「面白いなあ。」と感じたのは、「場内で笑いが起きたシーン」に付いて。「魔女っ子メグちゃん」を例に挙げると、当時のCMで流行っギャグを登場人物の1人が使っていたのだが、当時は生まれていなかったで在ろう観客のみならず、当時を知っていたの観客もがクスリとも笑わなかったのは「ギャグの賞味期限切れ」という事で判るのだけれど、「当時は笑わなかった。」というか、「『観客が笑うシーン』と、当時の制作者が全く考えていなかった。」所でドッと笑いが起こっていたのが、実に興味深かったのだ。

 

魔界の女王に相応しい資質身に付ける修行の、人間社会に送り込まれた魔女のメグ先輩魔女で在り、今は人間と結婚して2人の子供を儲けている神崎マミの元で「娘」(主人や2人の子供にはマミが魔法を掛けて、昔からメグが家族の一員で在る様に思わせる。)として暮らす事になるのだが、「家族」という物が存在しない(らしい)魔界で暮らしていたメグには、「家族の愛情」という概念が判らなくて、“父親”や“小さな弟及び妹”と打ち解けられない。父親を「おじさん」と呼び、挙句には親愛の情から他愛無い悪戯を仕掛けて来た弟達に暴力を振るってしまう。当惑乍らも「御姉さんなのだから、此の程度の事で弟達に暴力を振るってはいけない。」と優しく諭す“父親”に対して、「弟達だけが可愛くて、私なんかは可愛くないんでしょ!」と怒鳴るメグ。そんな彼女に対して“父親”はびんた食らわすのだが、此のシリアスなシーンで何故かドッと笑い声が。若い観客の間から起こった笑い声だったが、「何で此の程度でびんたなの?」という違和感からの笑いだったのだろうか?友達感覚の親子が増え、中には「親から一度も手を上げられた事が無い。」若者も珍しくないと聞く。「そんな彼等からすると、そう感じてしまってもおかしくないのかな。」と推測した自分。

 

怒って家を飛び出したメグが海で溺れる等し、びしょ濡れの姿で神崎家の前に倒れているのを“父親”が発見。直ぐに彼女を抱き抱えて家に入り、介抱する。子供達に布団等を持って来る様に指示した“父親”が、メグの濡れた服を脱がすシーンが在るのだが、其処でもドッと笑い声が。自分も笑ってしまったなのだが、実直で優しそうな“父親”がした行為で在っても、“娘”の服を脱がして下着姿にするというのは、「常識外の破廉恥沙汰」が珍しくない現代では、「エロ親父が娘に悪戯している。」という思いを抱かせてしまうのだろう。

 

又、必死で介抱してくれた“家族”に心を打たれ、メグが“父親”と抱擁するシーンが在るのだが、此処でもどっと笑いが起きたのは同様の理由と思われる。何方のシーンも、当時の制作者は「観客の笑い」なんぞ全く予想も期待もしていなかったに違いない。時代が変われば、人の感覚も変わるという事か。

 

*1 日本の危機を知り、仮面ライダーXを助けるべく、世界各国から駆け付けた仮面ライダー1号仮面ライダー2号仮面ライダーV3、そしてライダーマンの4人。各々何処から駆け付けて来たかを仮面ライダー1号が“おやっさん”に説明するシーンが在るのだが、其処でも場内は大爆笑。そりゃあそうだろう。仮面ライダー達は悪の組織を追って世界中に飛んでいるというのに、他のライダー達の様にニューヨークモスクワだというのなら判るけれど、「タヒチから飛んで帰って来た。」なんていうライダーマンには「ヴァカンスか!」と突っ込みを入れたくなるだろうから。


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