ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「チーム・バチスタの栄光」 Part1

2007年05月22日 | 書籍関連
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バチスタ手術

学術的な正式名称を「左心室縮小形成術」という。一般的には、正式名称より創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称の方が通りが良い。拡張型心筋症に対する手術術式で在る。

肥大した心臓を切り取り小さく作り直すという、単純な発想による大胆な手術。余分な物なら取っちまえというラテンのノリ。こんな手術を思い付くだけで既に常軌を逸している。その上実行迄してしまうサンバの国、ブラジル

手技は難しく、リスクは高い。成功率平均六割。バチスタ手術に手を出さない医療施設も多い。門外漢の俺にもこの程度の基礎知識は在る。一般的では無いが、有名な手術で在る。
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海堂尊(かいどう・たける)氏の著書「チーム・バチスタの栄光」の中で、「バチスタ手術」に付いて触れられた箇所で在る。この作品は2005年度に「第4回『このミステリーがすごい!』大賞」を受賞し、昨年度の「週刊文春ミステリーベスト10(国内編)」では3位にランキングされる等、かなりの高評価を得ている事は以前より知っていた。書店に足を運べば、黄色の地に手術用具が描かれた表紙のこの本が目立つ位置に積み上げられているのを何度も目にしたし。しかし、この作品をずっと読む気にはなれなかった。無知な自分は「チーム」、「バチスタ」、「栄光」という単語から、てっきり全く興味の起こらない「サッカー」を題材にした作品とばかり思い込んでいたからだ。

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東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術で在るバチスタ手術の専門の、通称”チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名轟かせている。

ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。

壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか・・・。

栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。 (折り返しに記載された粗筋より)
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著者・海堂尊氏にとってこの作品はデビュー作に当たり、奥付に記された同氏のプロフィールは「1961年、千葉県生まれ。現在勤務医。」と紹介されている。つまり、現役医師が記した作品。故に医療現場の実態や抱えている問題点等が赤裸々に描かれていて、門外漢の自分をぐいぐい作品内に引き込んで行く。特に手術シーンは、正に自分がその場に居るかの様な錯覚を覚える程。下手な作家ならば「読者の置いてきぼり」や「著者自身のマスターベーション」となってしまう専門用語の飛び交いも、著者の巧みな文章力&構成力でそれ自体が”良い味付け”になっている。

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