ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「半沢直樹 アルルカンと道化師」

2020年11月19日 | 書籍関連

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東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹(はんざわ なおき)と或る案件が持ち込まれる。大手IT企業「ジャッカル」が、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいと言うのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、軈て背後に潜む秘密の存在に気付く。有名な絵に隠された「謎」を解いた時、半沢が辿り着いたたどりついた驚愕の真実とは?
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池井戸潤氏の小説半沢直樹シリーズ」。其の第5弾が、今回読んだ「半沢直樹 アルルカンと道化師」で、銀行による買収工作の闇を描いている。

半沢直樹シリーズを読んだ事が在る方ならば知っているだろうが、半沢直樹が言った言葉に銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す。というのが在る。「取引先企業が少しでも経営が厳しくなると、銀行はあっさりと融資を断るが、経営状態が良いと、必要も無いのに融資を押し付ける。」という銀行の身勝手さを表した言葉だ。銀行員として働いていた経験を持つ池井戸氏だけに、彼の作品で描かれる“銀行の後ろ暗い面”は、非常にリアルで興味深い。

大手でも無く、業績も低迷している美術系出版社に、買収の話が持ち上がる。東京中央銀行大阪西支店が手掛ける事となった案件だが、買い手の大手IT企業は何故、メリットが無さそうな買収に多額の金銭を出そうとしているのか?「半沢直樹 アルルカンと道化師」の最大の謎だ。

バブル末期に大手都市銀行『東京中央銀行』に入社し、『基本は性善説。でも、理不尽な事を遣られたら、倍返しで遣り返す。』というのがモットーの半沢が、銀行内外で起こる“不正義”に対し、身を挺して闘う。」というのが、半沢直樹シリーズの半沢の様な姿、現実社会のサラリーマンは果たせないからこそ、彼の勝利に多くの読み手がカタルシスを感じるのだろう。

今回の作品にも半沢の“天敵”が登場し、彼を徹底的に追い詰めて行く。強大な権力を持つ天敵に立ち向かう半沢には、個々としては強い力を持たないが、半沢を信じて結集する仲間が存在する。「結果的には、半沢が勝利する。」というのは判っていても、どんどん引き込まれて行く面白さが、半沢直樹シリーズには在り、今回の作品も変わらない。

総合評価は、星4.5個とする。


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